2024年4月11日木曜日

2024 J1リーグ 第7節 サガン鳥栖戦の感想

6節FC東京戦は4節湘南戦同様まともに視聴できなかったため感想を断念し7節の感想。

開始4分でいきなり先制してしまったためもう少しイーブンの時間が長ければどうなっていたかわからないがこの日のレッズの守備は前からのプレスがかなり上手くハマっていた。1分に敵陣左サイドで奪い、14分に敵陣右サイドで奪い、23分に敵陣中央で奪い、31分に敵陣左サイドで奪う他、GKまで何度もボールを戻させ蹴らせてラインを割らせてレッズのスローインにしていた。ただ14分のショートカウンターなどはシュートまで打ててはいたもののこれらのショートカウンターから決定機自体は多く作れなかった。

全ての前プレスで必ず奪い切るなどということは不可能なので網を抜け出されることもあったが、肝心なところで相手にミスが出ることとそのミスを見逃さずに素早い切り替えで帰陣した選手がボールを奪うなど、こと守備においての意識の高さは際立っていた。

前半で相手に作られた危険な形として12分にブロックの外で原田が受けて菊地に斜めに出しエリア内で折り返しを許しそうになったシーンがあるが、その後31分に似たようなシーンでは松尾が下がって5-4-1のような形を作って対応。37分には飛び出して穴を空けた渡邊の裏を堀米に使われたもののホイブラーテンがカバーし事なきを得た。どちらも見事に修正してセーフティに対応していた。

HTに鳥栖はヴィニシウスと福田を交代し富樫と横山を投入。キャラクターが変わったこともあって前半より鳥栖のプレスは強みを増す。しかしレッズは簡単に引かず前半から引き続き前に出続け後半開始5分でエリア内からシュートを2本放つどころか52分には松尾の追加点まで生まれる。

その後も55分に敦樹の決定機、73分に松尾と交代で入った中島のシュート、75分にもミートしなかったものの敦樹の決定機、79分にも中島の決定機と鳥栖にはチャンスを作らせずペースを握り続けたまま迎えた82分には前田と交代で入った大久保の追加点で3-0にする。

試合終了まで流れを渡さず最後までレッズが試合を支配したまま3-0で快勝した。

点差以上の圧倒的な試合内容で久々にこんなワンサイドゲームを見た気がする。先制されても流れを握られたままでも相手が変化を見せず、或いは変化したものの効果を発揮しなかったためレッズとしては何一つ試された感が無かったように思える。ただ相手の調子が悪かった、チームとして仕上がっていなかったとしてもそんな相手にすら勝てないよりはずっといいのは言うまでもないことなので内容と結果を伴って勝てたことは称賛するべき。

6節で生まれた課題の解決については8節でまた検証していきたい。

2024年4月2日火曜日

2024 J1リーグ 第5節 アビスパ福岡戦の感想

立ち上がり、レッズのボール保持で福岡はビルドアップの要グスタフソンには主にザヘディが張り付きCBには岩崎と紺野がプレスをかける。佐藤もホイブラーテンも運べないためコースを切りながらの相手のプレスに苦戦。酒井、渡邊のSBに出しても出足のいい相手のWBが迎撃。結局大きく蹴り出しセカンドボール回収からのトランジション勝負をするレッズ。

4分には永石のパントキックを跳ね返してグスタフソンが前田に出してカウンター。渡邊のクロスをサンタナが頭で合わせる決定機は残念ながら枠外。直後の6分にも西川のロングフィードからサンタナが中盤で収めて1人かわしてからのミドルは永石が弾き出す。

一方福岡のビルドアップは松岡か前にボールが入ったら敦樹や岩尾が一気にプレスをかけて無理めのワンタッチパスを出させて回収するやり方で8分に2度ボール奪取に成功。

10分以降は互いに蹴っ飛ばし合い互いに球際で激しく削り合い頻繁に試合が止まる退屈な時間になる。次第にレッズのキックの精度が怪しくなり徐々に福岡が押し込み始める。しかし決定機は作らせず水際で耐えるレッズ。18分あたりから岩尾が下りてビルドアップに絡み始めると19分にはこの日初の後ろから繋ぐビルドアップが成功。22分には福岡も負けじと繋いでビルドアップを成功させる。ただ互いにシュートまでは至らない。

24分にビルドアップのミスから福岡のショートカウンター。エリア内で紺野がこの日福岡の初シュート。すると26分には押し込んでいたレッズに対しボールを奪った福岡のロングカウンター。湯澤の縦パスを渡邊が後逸するとザヘディが拾ってゆうに30m以上はあるかという距離から強烈なミドルシュートを放ちこれがニアに決まり福岡先制。

先制されて以降のレッズは岩尾が下りる前の拙いビルドアップに戻り相手のプレスに屈し西川までボールを戻し苦し紛れのロングボールに逃げるのが2回。36分にはまたもロングカウンターを食らい佐藤がザヘディにかわされあわや2点目のシーンも。(ラストパスは酒井がカット)41分にもグスタフソンが中盤で岩崎に奪われてまたカウンター。紺野のループ狙い?のシュートは西川がキャッチ。ただ奪われたら即カウンターを食らうほどの前掛かりになっていたのは事実でその甲斐もあってか42分から前半終了までに3本のシュートを計上。

後半は開始直後の46分に一度だけ攻め込まれたきりで以降はひたすらレッズがボールを握って攻め続ける時間が続く。52分の岩尾のミドルは枠外。56分サンタナのシュートは目の前のブロックに跳ね返される。決定機こそ無いもののシュート数も重ね着実に相手ゴールに迫っていた。

58分に福岡はザヘディと宮を交代しウェリントンと井上を投入。レッズも大久保が交代し大畑が投入される。61分には渡邊がエリア内でシュートを放つ決定機。交代直後こそ抜けた大久保のポジションにそのまま入った大畑だったが63分以降は渡邊と入れ替わり本来のポジションにつく。すると直後の64分には酒井の山なりファークロスに渡邊がワンタッチボレーで合わせて同点ゴールが決まる。お世辞にも綺麗なゴールとは言えないものの直前の決定機やポジションの入れ替わり等、ゴールに至るまでの伏線は十分過ぎるほど効いていた。

後半ずっと重心が低いまま前に出てこようとしなかった福岡だが同点直後はさすがに前への圧を強める。だが肝心なところで長いボールの精度を欠きボールを失ってしまう。すると68分には佐藤から岩尾への楔が入ると田代の裏へ大きく蹴るとこれが前田に通り右ペナ脇からエリア内に進入し速く鋭いクロスをファーサイドへ放り込むとブロックに入った井上の右腕に当たりOFRによりこれがPK。サンタナがゴール右に思い切り叩き込みレッズが逆転。

74分に福岡は湯澤と紺野が交代し小田と金森を投入。76分には中島と敦樹を交代するレッズ。その後ポゼッションこそ少し回復し敵陣でボールを持つ時間も増えるもののシュートが遠い福岡。この時間の福岡はウェリントン狙いのクロスしか攻め手が無さそうだった。80分にFKからのホイブラーテンのバックヘッド、直後の中島のクロスに酒井が中で合わせる決定機と対照的にシュートを増やすレッズ。86分にも岩尾の浮き球スルーパスに酒井が抜け出しチャンスメイク。88分にも中島の決定機。

ATに岩尾の背中に当たってディフレクトした難しいシュートを西川が弾き出す危ないシーンを作られたものの最後まで攻め続けたレッズがホーム初勝利を収めた。

結果論に過ぎないかもしれないが結果的には交代で入った選手がポジションチェンジで効果を発揮したレッズと、交代で入った選手が失点に絡んでしまった福岡で明暗が分かれた。開幕からの福岡の4試合を見ていないので憶測になるが元々ボールを持たないサッカーを志向していたとは言えさすがに簡単にボールを渡し過ぎではと思った。先制こそされたものの試合全体を振り返るとレッズにとって危険なシーン、福岡にとっての決定機も殆ど作らせない安全な試合だった。

2024年3月27日水曜日

2024 J1リーグ 第4節 湘南ベルマーレ戦の感想

DAZNのシークバーを使った再生箇所の指定や10秒早送り巻き戻しの機能等が何故かこの4節だけ全然使い物にならない(使うと永久にクルクルし続ける)ので流れだけ追ってさらっと見た感想。

キックオフ直後こそ湘南のハイプレスに押されるものの3分を過ぎたあたりから下りた興梠が起点を作って落ち着いてボールを回せるようになる。

5分に相手に引っかかりながらも後ろから繋いで最後は渡邊がクロスを上げるところまで到達。7分にCKから関根のミドルは枠外。8分にFKから佐藤のヘッドも枠外。9分に相手のビルドアップを興梠が引っかけて小泉がエリア内から打った右足シュートも枠外。

直後の西川からのビルドアップでは一度も相手に引っかかることなく後ろからクリーンに繋いでグスタフソンの浮き球スルーパスに前田が裏抜けし興梠へのラストパスで先制に成功。まさに興梠のための前半10分だったなという印象。

先制後も引き続きレッズのペース。16分にはまたも後ろから繋いでビルドアップを成功させ最後はエリア内中央から小泉の左足シュートはまたも枠外。なおレッズの前半のシュートはこれで終わり。

するとその直後くらいから湘南は後ろからゆっくりじっくり何度もやり直しながら繋いで相手のラインを下げさせジワジワ押し込みボールを前進させ22分には鈴木雄斗が渡邊の裏を抜け出しクロス。酒井に当たってラインを割りそうになったボールを杉岡がルキアンに繋いで同点ゴール。

追いついてからも主導権を握り続ける湘南。繋ぎだした湘南とは対照的に雑に蹴っ飛ばしてすぐにボールを手放すようになるレッズ。31分には中央の狭いスペースをあっさり割られついに逆転ゴールを許すレッズ。

その後も中盤のフィルターがかからず簡単に危険な縦パスを何本も通されるレッズ。前半終盤に少し盛り返して攻め続けるも結局シュートは打てず。

HTで小泉と興梠を交代し岩尾と松尾を投入するレッズ。後半開始直後ホイブラーテンから佐藤への横パスを鈴木章斗にかっさらわれそのまま落ち着いて右足を振り抜くとニアの厳しいコースを突いて湘南の3点目が決まる。

出鼻をくじかれたとは言えまだまだ時間は十分あるので焦らず流れを取り戻すレッズ。前半よりもロングボール、及びセカンドボールの収まりが良くなってカウンターで一気に敵陣に攻め込む回数が増える。

47分相手のロングボールを奪ってからの速攻で岩尾のシュートは枠外。50分ホイブラーテンが蹴っ飛ばしたセカンドボールを関根が中盤で収めて右と左から1本ずつSBが放り込むもシュートに至らず。53分も中盤で岩尾の長いスルーパスに関根が抜け出してクロスのこぼれ球をエリア内中央で松尾が合わせるもブロックされる。直後の右CKで混戦からのこぼれ球を松尾がゴールネット上に突き刺しレッズが1点返す。

61分に立て続けにシュートを打たれその直後ビルドアップのミスからショートカウンターを食らって鈴木章斗にシュートを打たれる場面もあり湘南に流れが傾きかけるも、さらにその直後63分のカウンターで前田の移籍後初ゴールが決まりついに追いつくレッズ。

65分に前田と敦樹が交代しサンタナと中島を投入するレッズ。監督のコメントからも前田は足をつっていたため仕方なかったとは言え結果的にはこの交代がブレーキになってしまう。流れを持っていかれたわけではなかったもののレッズが攻め手を欠き膠着状態になると73分にはビルドアップのミスから湘南のショートカウンター。田中のミドルがポストを直撃し跳ね返りをルキアンが押し込み湘南の勝ち越しゴール。

その後もレッズはロングボールを中心に打開を試みるもなかなかシュートを打てずにいたものの松尾の中央突破のこぼれ球をグスタフソンがグラウンダーのミドルを放つと平岡に当たって跳ねたボールが吸い込まれ試合は三度振り出しに。

82分に松尾のクロスにサンタナが頭で合わせるもポスト命中。85分にFKからサンタナが合わせるも枠外かつオフサイド。89分に松尾のミドル。直後のCKで佐藤のヘッドは枠外。相手には打たせず一方的にシュートを積み重ね最後の攻勢に出るも双方合わせ計8ゴールも生んだ壮絶な打ち合いとなった試合もここで打ち止め。4-4のドローで試合を終えた。

流れは引き寄せたり持っていかれたりで終始落ち着かない試合だったしこの壮絶な打ち合いを一言で纏めるのは難しい。どうしても終盤の采配に感想が持っていかれそうになるがやはり交代で入った2人が結果も残せず見せ場や爪痕を残すことも出来なかったことがまず悔やまれる。

せっかく先制したにもかかわらず前半30分でひっくり返された2失点については相手の圧に屈して簡単にラインを下げ過ぎてしまった気がする。前節札幌のことをあんな言い方しておいて今更だが、実はレッズも引いて構える守備に関してはあまり得意ではないと思っている。ましてショルツが不在ならなおさらだろう。簡単にラインを下げずにどこかで前に出て奪わなければならなかった。中盤で相手を規制できずに危険な縦パスを通されてしまったのも問題だが思い切って飛び出して潰して欲しかった。とは言え初スタメンとなった佐藤は想像以上によくやってくれている。3失点目の対応を思えばショルツ復帰後はホイブラーテンを外して佐藤を残してもいいと思えるほどに。

1週休みで中12日となる中断期間にコンディション調整と負傷者の復帰に期待したい。

2024年3月13日水曜日

2024 J1リーグ 第3節 北海道コンサドーレ札幌戦の感想

この日も前節同様現地観戦。この日前半で際立っていたレッズの動きは主に守備面。非保持では中盤で構えてミドルプレスだったが最初のラインを相手が越えてきたら圧力を増して一気に捕まえる奪い方がかなり上手くいっていた。逆に奪われた後のネガトラ対応も追いかける役と待ち構える役がはっきりしていて上手くボールを狩れていた。特に敦樹は非保持、ネガトラどちらの局面においても存在感を発揮していた。

攻撃面はと言うと移籍後初スタメンの前田の突破力とシュート意識の高さから、アタッキングサードまで攻め込む回数とシュート数が伴ういい攻撃を序盤から見せていた。

ビルドアップも後ろから繋ぐこだわりが大幅に無くなり序盤から蹴っ飛ばしまくり。開幕3戦目にしてもう諦めたのかと呆れるかもしれないがこれは相手のマンツーマンを想定したうえでの選択かと思われる。ただ相変わらず成功率は低くサンタナをベンチに回し興梠をスタメンにしても西川やホイブラーテンのロングボールは殆ど収まらなかった。

長いボールを蹴った時のセカンドボール奪い合いから不意のカウンターによって生まれた9分の札幌の決定機はレッズにとって前半唯一にして最も危険なシーンだった。事前にそういう情報は流れていたし現地で見ても一目瞭然だったがこの時の決定機を外したスパチョークはやはり劣悪なピッチ状態を気にしていた。

【札幌】クラブJ1初の開幕から3戦無得点…札幌ドームの芝生デコボコは2月の異常気象原因 - J1 : 日刊スポーツ

札幌と言えばその代名詞とも言えるはずのマンツーマン守備が例年ほどの精度、仕上がりに欠けると見るや15分にはこの日最初の後ろから繋ぐビルドアップを見せるレッズ。その後も割と簡単に札幌のラインが下がるため相手を押し込む時間が増えるレッズ。札幌はお世辞にも引いた守備が得意とは言えず前節ヴェルディ戦のような「押し込めど打てず」とはならずに多少シュート数を稼ぐレッズ。スタッツ的に上回れたであろう時間帯にCKから先制点をレッズが奪ったのは偶然ではない。

公式戦3戦目にしてヘグモ体制初の「リードした後どう振る舞うか」をこの日見せることとなったレッズ。レッズ的にはそれまでと変わらないものの札幌が変化を見せ敵陣でかける人数を増やし前掛かりになる。さすがに押し込まれ受けに回る時間帯になるレッズ。しかも41分には守りの要ショルツにアクシデント発生。前半残り4分というタイミングで交代カードの使用を余儀なくされるレッズ。ショルツと交代で佐藤を投入。リードしてからの振る舞いに加えアクシデントにどう対応するかも試されるレッズ。

危ない場面もあったが1点リードのまま前半終了。後半の札幌は前半よりも落ち着いて相手のプレスをかわすシーンが増えアタッキングサードまで運ばれエリア内への進入を許すレッズ。

後半開始5分で早々に興梠と病み上がりの前田が交代し松尾とサンタナを投入。何度か西川からサンタナ目がけて長いボールを蹴るが開幕戦同様1つも収まらない。サンタナが出る前からこの日も西川のロングボールは殆ど収まっていなかった。

交代と言えばショルツと交代で入った移籍後初出場の佐藤だが1点リードの余裕もあってかCBが晒されるような場面もなくビルドアップで運ぶことも蹴っ飛ばすこともなく、CBとしては最良の結果とは言え見せ場のようなものは作れなかった。個人的に目を引いたのは裏のスペースのケアの意識はかなり高いなと感じた。

69分に松尾のクロスからサンタナが中で合わせるシーンを最後にこの日のレッズのシュートは終わり。70分に札幌は3枚替え。84分に札幌のCKから田中の決定機。前節の失点シーンを彷彿とさせるあっさり許した中への折り返しは要改善。その後は決定機を作らせずバタバタしながらもウノゼロで今季初勝利。

本来苦手なマンマーク主体のチーム、アクシデントの発生しやすい環境、万全とはいかないコンディションでスタメンに選ばれた選手など苦しみながらどうにかもぎ取った辛勝だがアウェイゲームで勝ち点3を取れたことをまずは素直に喜びたい。放置したままの課題と前の2試合から改善された点とそれぞれ変化が見られたが一番の収穫は札幌対策を思った以上にしっかり準備してそれが結果を出せたこと。これが出来るならこれから他のチームと当たっても大きな穴を開けてそこを突かれる脆弱さを見せることも無いのでは。

2024年3月6日水曜日

2024 J1リーグ 第2節 東京ヴェルディ戦の感想

この日は現地観戦だったが現地で見ていても映像を見直してもスタッツを確認しても思ったことは「ラストサードまでボールを運べてもシュートが全然打てないな」ということ。スタッツではレッズの前半のシュート数はたったの1本だけ。30mライン進入回数もこの日のトータルで57回らしいので前半だけでも10回以上は稼いでいるはず。にもかかわらずたったの1本だった。

ビルドアップで上手く前線にボールが供給できなかったわけではない。主に左サイドを中心に何度か突破してラストパスかクロスを入れる段階までは成功していた。そのラストパスかクロスの精度が悪かった、もしくは合わせる側とのイメージの共有が出来ていなかったことがシュート数を稼げなかった一番の原因だった。5分のグスタフソンのクロス。9分の松尾のクロス。10分の関根のクロス。これらは全て相手が跳ね返すまでもなく誰もいないスペースに出したクロスだった。

クロスを中心としたサイド攻撃が不発と見るや大外を使わず中を意識して崩しにかかるも大外ほど自由にはやらせてもらえない。12分に敦樹のラストパス。13分に小泉のサンタナへの浮かせたスルーパス。14分にグスタフソンのフリックはどれも相手CBがカット。

20分に相手のボールを奪ってカウンターからようやくこの日の初シュートが生まれる。いっそボールを相手に持たせて奪ってからの攻撃のほうがよほどシュートチャンスは増えるのではないかとも思われたが誰にもその気はなくその後もボールを握ってサイドからのクロスを試みる。開幕戦ほどカウンターが決まらなかったのは相手の重心が低くラインをそれほど上げなかったからと思われる。

その後もシュートの打てないボールポゼッションを続けているうちに39分から相手に連続でCKを献上し4本目でついに失点。

後半は反撃に出なければならないはずのレッズより相手のほうが果敢にプレッシングラインを上げて攻勢に出る。後半レッズは小泉と関根がポジションを入れ替えたくらいで他に攻め手を変えたようにも見えず、或いは変えたとしても効果を発揮できないまま相手に押され気味の15分を過ごすと60分には一気に3枚替え。サンタナ、関根、小泉を下げて興梠、岩尾、大畑を投入。

投入直後こそ見せ場を作る3人だが、守備では前半ほどプレスがハマらず危険な場面が前半より増える。72分には松尾と交代で中島投入。81分に最後の交代カードを切りグスタフソンと交代で髙橋を投入。監督もそのつもりで切った交代カードと思われるがグスタフソンがいなくなったことによりいよいよ放り込む以外の選択肢がなくなるレッズ。

しかしその放り込みからPKを獲得し試合終盤に何とか追いつき辛くもドローで終わった。

やはり返す返すもシュート数の少なさばかり気になる。多ければ多いほど単純にゴールが増えるわけではないことくらい承知の上だが前半あれだけ攻め込んでたったの1本はやはり少な過ぎる。ビルドアップでは左サイドも右サイドも中央も使って前進しようとする柔軟さがあるのに何故ラストサードではクロスか裏抜けスルーパスの2択だけになってしまうのか。86分の大畑の決定機は中島のミドルがきっかけになっていた。開幕戦の広島も試合序盤からやたら滅多にミドルを乱発していて先制点もミドルからもぎ取った。バイタルエリアでボールを収めた選手は一度もミドルは頭をよぎらなかったのか?さすがに監督から禁止令が出ていたわけではないだろう。

この試合唯一の収穫は交代で入った大畑や中島が違いを見せて決定機を演出したことくらいか。

2024年2月29日木曜日

2024 J1リーグ 第1節 サンフレッチェ広島戦の感想

昨季終盤には見る影もなくなっていたシーズン序盤の丁寧なビルドアップが形を変えて復活していて感動した。但し回数は前半はたったの2回でどちらもシュートは打てず仕舞い。

一方ロングボールを蹴った時の成功率はかなり低かった。サンタナが荒木らに完全に抑え込まれたせいでもある。サンタナ同様酒井へのロングボールもあまり上手く収まっていなかった。松尾ってこんなにトラップ上手かった?というロングボールビタ止めが前半に2回。

前からのプレスは相手のミスを誘うようなプレスがハマっていたと思う。カウンターも昨季までとは段違いに精度が上がり「行き切る、やり切る」シーンが多く見られた。

広島は序盤からミドル打ちまくり。先制点もミドルのこぼれ球からではあったものの無理めの枠外ミドル乱発が先制点の布石になっていたとはさすがに思えない。とは言え先制点のシーンはさすがに自由にやらせ過ぎたか。グスタフソンはやはり上手くてビルドアップでは替えが効かない選手になりそうだが守備はやや軽いか?

スタッツだけ見たら広島の前半のシュート数は15本でフルボッコにも見えかねないがレッズも決定機は複数回作った。失点さえ無ければ前半の内容は五分…はさすがに贔屓目が過ぎるとしても数字ほどの一方的な内容ではなかった。

簡単にボールを奪われない渡邊は上手い。前のポジションでもあんな風に剥がせるならSBのポジションは勿体ない。ただ逆サイドの酒井もだがSBはビルドアップでは上手く絡めていなかった。それどころかビルドアップ時の渡邊はボールの奪いどころとして狙われていた。中野が画面外から渡邊までかっ飛んできてプレスをかける姿を何度か見た。ビルドアップ時にSBが上手く絡めていなかったのはユニット同士の連携不足から来るものか、新しいシステムにおける新しいビルドアップ構築が未完成なだけか。

50分にはグスタフソンの決定機を作ったシーンもあるので決して一方的に押し込まれ続けた後半立ち上がりではなかったが52分にPK献上。それ自体は未遂に終わったもののその1分後に広島の追加点。しかもその直後にもあわや3点目の危ういシーンがあり大橋がかなり上手いにしてもレッズDF陣は簡単に見失い過ぎだったように思う。

相手のマンマークに苦しみ、かと言ってロングボールもなかなか収められず反撃の糸口が掴めないレッズは66分に敦樹と関根を交代し岩尾と前田を投入。スピードに乗ったままラストパスもシュートも打てる純正ウインガーなプレーでチャンスメイクする前田。75分にはサンタナと渡邊を交代し興梠と大畑を投入。立て続けに何本もクロスを放り込み77分には興梠が、80分にも酒井が頭で合わせる決定機を作る。1本目のクロスは前田。2本目は岩尾と見事に交代で入った選手がチャンスに絡めていたことも昨季からの変化と言える。

その後81分に松尾と交代で中島を入れるもさほど効果も無く、終了間際の右CKから岩尾のヘッドがバーを叩く惜しいシーンを作ったのみで試合終了。3年連続の開幕黒星スタートとなった。

スタッツだけ見ればレッズには厳しい数字が並んでいるしチャンスを作ったのに結果を出せなかったのは事実だが内容自体はそれほど悲観するようなものではなかった。昨季からは明確な変化を感じられたことがまずよかったしゴールをゼロに抑えられたとは言えそれもこれも相手はあの広島だからこそだと思えば納得のいく結果と言える試合だった。

2024年2月21日水曜日

2024 J1リーグ 順位予想

今季の順位予想するにあたって参考にしたデータは「移籍収支」「離脱」「昇格組との相性」の3つ。「移籍収支」は今オフの移籍がプラスかマイナスか。「離脱」は怪我と移籍とそしてU-23やA代表招集によるチーム離脱予想。「昇格組との相性」は文字通り昇格した3クラブとの相性。中でもチーム離脱予想は怪我は難しいが移籍と代表招集は確度高く予想できるものと踏んで重視した。

■予想順位

1位 浦和レッズ
説明不要。例年通り。サポーターとしての義務。

2位 サンフレッチェ広島
移籍収支:ベンカリファを放出して大橋が加入。多分プラス
離脱:山崎のU-23招集と大迫、川村のA代表招集。満田、東の海外移籍

満田のいるいないによって出た結果の差が激しすぎて彼が海外移籍するかしないかが広島の生き死にを決めるようにしか思えない。

3位 横浜Fマリノス
移籍収支:一森(レンタルバック)、角田を放出してポープ、渡邊が加入。即戦力としては天野、山村。プラス
※ここにきて西村離脱が決まったのでマイナスかも
離脱:植中のU-23招集、山根陸の海外移籍

昨季の予想時にも同じ事を書いたがどのポジションで何分出てた選手を放出しようと大体なんとかしてしまうのがマリノスなので川崎のような脱落は現時点では予想できない。山根の海外移籍はワンチャンあると思っている。

4位 川崎フロンターレ
移籍収支:山根、登里、宮代、シミッチを放出して際、三浦(甲府)、ブラジル人3人、山本が加入。微マイナス
離脱:高井のU-23招集と三浦のA代表招集、橘田と遠野は年齢的に海外移籍あるかも

川崎のブラジル人ガチャの引きの良さには定評があるので3人のうち2人くらいは最初から戦力として計算できそう。放出した選手の穴埋めはなんとかなったように思えるがACLを戦いながら8位に終わったシーズンの巻き返しが可能なスカッドかどうか。

5位 ヴィッセル神戸
移籍収支:900分以上出場した選手の放出が無くJ1から即戦力を何人も獲得しているのでプラス
離脱:前川のA代表招集、佐々木の海外移籍はありそう

目立った主力の放出も無く即戦力を何人も獲得しているので割引く理由が見当たらない。強いて言えば外国籍枠が埋まっていないこととシーズン後半からのACLをこなしながらリーグ戦もやれるかどうかだが夏の補強に定評ある神戸なので大崩れすることは考えられない。

6位 鹿島アントラーズ
移籍収支:ピトゥカ、広瀬を放出して外国人2人(ともに右WGらしい)加入。外国人が1人メディカル破談で来れなくなったのもあってマイナス
離脱:松村のU-23招集と佐野のA代表招集と海外移籍

10年以上5位内をキープし続けている鹿島にこの順位はかなり大胆な予想と言える。だがそれ以上に上位5クラブをこのスカッド、この監督で上回れるイメージがどうしても湧かない。

7位 ガンバ大阪
移籍収支:クォンギョンウォン、山本悠樹を放出して中谷、鈴木徳真が加入。出てった選手で1000分越えは2人だけなのでプラス
離脱:中野、半田のU-23招集。半田の海外移籍を予想

昨季の惨状と今回の補強を見てこの予想は正気を疑われても仕方ないが大幅に予想を修正したくなるほどPSMでの仕上がりが良かった。浦和サポーターでなければ余裕で優勝予想しているであろう広島を相手にあの試合内容はこれくらいの順位を期待したくなる。

8位 セレッソ大阪
移籍収支:ヨニッチ、山中を放出して田中、ルーカス、登里が加入。微プラス
離脱:西尾のU-23招集と毎熊のA代表招集。毎熊の海外移籍を予想

得点力不足という2022シーズンの課題をそのまま持ち越してしまったセレッソだが課題解決はヴィトール・ブエノに託されたと思っていいのだろうか。未だに評価が難しい監督だが怪我人さえ出なければもっと上を狙える監督だと思っていいのだろうか。疑問ばかりで答えが出ない。

9位 FC東京
移籍収支:スウォビィク、渡邊、アダイウトンを放出して遠藤、小柏、荒木、高が加入。プラマイゼロ
離脱:野澤、佳史扶、松木のU-23招集と松木は海外移籍

ただでさえスウォビクという2年間正GKを務めた主力を放出しているのにその次の候補野澤はU-23に招集されそうだし他にも2人U-23招集で離脱しそうで今年一番オリンピックの影響を受けそうなFC東京。海外移籍にも定評あるFC東京なので松木はオリンピック終了次第そのまま海外直行も十分あり得る。

10位 サガン鳥栖
移籍収支:判断不能
離脱:本田、樺山、横山のU-23招集はあるかどうか微妙

例によって出し過ぎ入れ過ぎな鳥栖は移籍情報ガン無視予想でこの順位。2021年から7位、11位、14位と毎年順位を落とし続けていることは気がかり。

11位 北海道コンサドーレ札幌
移籍収支:田中、福森、ルーカス、小柏を放出して家泉(いわき)、高尾、近藤、鈴木が加入。マイナス
離脱:近藤、馬場のU-23招集

5位以内をキープしてきた鹿島同様大安定の10~12位の中位キープ力に今年も期待してこの順位予想。

12位 アビスパ福岡
移籍収支:ルキアン、山岸、井手口、中村を放出してベンカリファ、岩崎、松岡(清水)が加入。マイナスでは?(井手口中村の放出が特に)
離脱:松岡、鶴野、重見のU-23招集

2年連続チーム内トップのゴール数だった山岸の放出もさることながら井手口中村の同時放出もかなりの痛手のように見えるが、同じようなことを昨季の予想時にも言っていたらまさかの7位フィニッシュ。つまりスカウトがしっかりしているからパッと見頼りなさげな補強に見えて秘めたポテンシャルとそれを引き出す監督の手腕が秀でているということでは。

13位 名古屋グランパス
移籍収支:中谷、藤井、森下を放出して井上(甲府)、成瀬(水戸)、ハチャンレ、山中が加入。前線の即戦力が増えているのでプラス
離脱:成瀬、倍井のU-23招集はあるかどうか微妙

合計1万分以上の出場時間を稼いだ中谷、藤井、森下の3人のDFが抜けているがどちらかと言えば今オフの移籍で力を入れたのは中盤から前線にかけての選手に見える。最後まで解決できたように見えないマテウスが抜けた穴を誰が埋めるのかもわからないままで移籍情報だけ見ていても今年の名古屋がどうなるかさっぱり読めない。

14位 町田ゼルビア
移籍収支:省略
離脱:藤尾、平河のU-23招集

昇格組は移籍情報を見ず離脱しそうな若手とフォーメーションと保持率だけチェック。4-4-2でボールは持たない方らしいので柏以上、鹿島未満くらいと見てこの順位。

15位 アルビレックス新潟
移籍収支:三戸、高、渡邊を放出して小野、長谷川(甲府)、遠藤(いわき)が加入。微マイナス
離脱:小見のU-23招集と小島とトーマスデンのA代表招集

シーズンを通して優れた修正力を発揮する監督と主力が離脱しても的確に補うフロントの二人三脚で今年も残留は堅そうな新潟。

16位 柏レイソル
移籍収支:山田、椎橋、仙頭を放出して木下とJ2から3人MF加入。微マイナス
離脱:細谷のU-23招集と海外移籍

広島同様柏の生き死にを決めるのは細谷のような気がしているが、新潟同様中断期間を経て立て直しに成功しているのでなんとか残留には成功するのでは。

17位 湘南ベルマーレ
移籍収支:大橋、石原、タリクを放出してルキアン、鈴木が加入。石原の穴埋めがいないので微マイナス
離脱:田中と畑と平岡のU-23招集と畑は海外移籍ワンチャンあるかも

毎年のように主力が引き抜かれているイメージのある湘南だが13ゴールも稼いだスコアラーが引き抜かれた例は実は無い。J2からJ1に昇格した2017年のオフに移籍したジネイですら12ゴールだった。それ故大橋移籍のインパクトは決して軽くはないはずだが町野や大橋のようなストライカーがいなくても残留し続けてきたのが湘南なのでギリギリ残留するものと予想。

18位 ジュビロ磐田
移籍収支:省略
離脱:鈴木海音のU-23招集

近年のJ1での成績の悪さにどうしてもイメージが引っ張られ昇格組は移籍情報無視と言いつつついつい見てしまったらブラジル人ガチャ4連というのが横浜FCを想起させられ生き残れる気がしない。

19位 京都サンガ
移籍収支:パトリック、木下、井上、若原を放出してブラジル人、鈴木冬一、J2からCB2人、クソンユン(完全移籍)が加入。微マイナス
離脱:川崎のU-23招集

チーム内トップの10ゴールを稼いだパトリック放出に目を奪われがちだが24節以降ゴールが無かったためフロントも放出問題なしと判断したのでは。取り立てて致命的にマズいと思える要素も大きく飛躍させるような要素も見当たらないのだが勝ち負けを予想した結果このような順位に。

20位 東京ヴェルディ
移籍収支:省略
離脱:山田楓喜U-23招集

J2を3位で終えプレーオフを経てギリギリ昇格という時点でJ1との力の差はかなりあるものと見ている。昇格組の中で一番少ない57得点というのも気になる。失点も一番少ないとは言え。