2021年7月20日火曜日

2021 J1リーグ 第19節 柏レイソル戦

■スタメン
レッズは前節からの入れ替えは鈴木が西川に、西が宇賀神に、明本が山中に、槙野がトーマスデンに、金子が柴戸に、大久保が汰木に、田中が関根に、小泉が武藤に、ユンカーが興梠に変更と大幅なターンオーバー。柏は前節から仲間が瀬川に、神谷がイッペイに変更。

■おおまかな流れ
立ち上がりから目まぐるしく攻守が切り替わるオープンな展開。開始10分までに計3本のシュートを放った柏が序盤の主導権を握ったように捉えられるかもしれないが個人的には五分の序盤だと感じた。柏の3本のシュートは枠内は最初の1本だけであとは枠外。打った位置も全てエリア外から強引に打ったシュートだった。
ではレッズの攻撃はどうだったかというと、まず7分までに2度のシュートチャンスを作った。結局その2度のチャンスでどちらも打つ前に潰されてはいるがどちらも柏のDFラインの裏に抜け出しエリア内でチャンスメイクできていたことが大きい。とは言え序盤に明確に相手を崩した場面はこの2回きりなのでやはり一進一退の五分と見るのが妥当か。

柏は長いボールを蹴っ飛ばすにしろ前線から下りて受けに来させるにしろ最初の選択肢がまずアンジェロッティにボールを預けることがあった。ルヴァンカップGS5節に柏との試合でアンジェロッティにやられっ放しだったせいかこの日のレッズは彼への警戒心が異常に高かった。後ろ向きでボールを受けようものなら絶対に前を向かせないよう背後にへばりつき、トラップをミスろうものならすかさずボールをかっさらい、放り込みには気合と根性で悉く跳ね返していた。アンジェロッティを抜きにしてもこの日のレッズのネガトラは即時奪回もディレイ対応も上手く機能していた。

10分以降は互いにシュートを打てない時間が続く。飲水タイムまでの13分間で3度のエリア内進入と2本のクロスと1本の強引な枠外ミドルを打たれているためここは柏の時間になった。

飲水タイム後の27分に興梠の裏抜け成功からヒールで汰木がダイレクトで合わせて枠外シュート。これを皮切りにレッズの反撃開始。38分に敦樹のロングカウンターからシュート。飲水タイム後に改善したのは守備。圧倒的に敵陣でボールを奪える回数が増えた。ただそこから速攻で相手ゴールに迫ろうという意思は感じられず少し勿体ない気も。43分に山中のクロスから武藤のミートしないシュートを最後に前半終了までの間柏に押し込まれる時間になるがシュートは打たせず。

後半立ち上がりにトーマスデンのフィードから興梠が裏抜けに成功し枠外シュートを放ったのを最後に特に見せ場なく武藤と共に60分にベンチに下がる。すると直後のユンカーのエリア内でのシュートに続き3分後には見事レッズが先制に成功する。先制ゴールの一連の流れにユンカーが直接かかわったわけではないが周りの選手の攻撃へのスイッチ、ギアの上げ方が選手交代後目に見えて変わったのがはっきり見て取れた。

その後飲水タイムを経ても交代カードを切っても流れが柏に傾くこともなく、76分にトーマスデンによる自作自演のピンチとなる瀬川のシュートを辛うじて止めると80分にCKから柴戸の追加点が決まりその後も流れが変わることなく試合終了。

■ポジティブ
前節から9人入れ替えのターンオーバーで完勝できたこと。惜しむらくはいつもは控えに甘んじているサブ組がもっと結果を残せれば良かったがそれができたのは宇賀神だけだった。

■課題
相手のセットプレーで簡単にゴール方向へボールを飛ばされたシーンが複数回見られたこと。何度かあった決定機をものにできず試合を難しくしたこと。特に後者は監督の悩みの種として今後もしばらくつきまといそう。

■気になった選手
トーマスデン
ビルドアップのミスが多過ぎる。前節ビルドアップのミスが即失点につながるシーンをその目で見ていながら臆さず強気で長い縦の楔を入れていく姿勢は買いたいが成功率はもっと上げるべき。少なくとも「今そのチャレンジ必要か?」という状況を見た判断力は早急に身に付けなければならない。ただ守備面では76分に中途半端にクリアしたボールを収められてシュートを打たれたシーン以外は致命的なミスもなく最後まで集中してしつこく厳しい守備対応を見せた。
興梠
ひたすら裏抜けを狙って走り出すプレーは素晴らしい。だが持ち場を離れてボールを受けに下りて来る回数が相変わらず多いし、受けに来たからボールを出したのにもかかわらずワンタッチバックパスをミスして奪われているのではチームにとって不利益しかもたらさない存在となってしまいかねない。
山中
先制点をアシストした関根へクロスを上げたのが山中。追加点のCKを蹴ったのも山中と攻撃面で結果を残した山中だがどちらかと言えば相手の長いボールやクロスを跳ね返したりプレスバックでボールを奪うシーン等、守備面での貢献が目に付いた。
伊藤敦樹
トーマスデンと同じか或いはそれ以上にミスが多かった。特に後半のミスが多かったのは疲労によるものかも。
汰木
前半攻撃面でいいプレーを見せていて決定機も訪れていただけに結果を残せなかったことだけが悔やまれる。


2021年7月5日月曜日

2021 J1リーグ 第18節 湘南ベルマーレ戦

■スタメン
レッズは前節からの入れ替えは山中が大久保に、関根が田中に、武田が敦樹に、柴戸が金子に変更。湘南は前節から富井が谷に、岡本が畑に、中村が田中に、町野がタリクに変更。

■おおまかな流れ
立ち上がりから終始ボールも主導権もレッズが握る展開。後ろで回す時間がやたらと長い数字だけのポゼッションではなくしっかりと敵陣内でのパス数など内容を伴うポゼッションで湘南を圧倒。ゴール自体の再現性は乏しいものの、開始8分で先制点という形で実を結ぶのも必然だった。先制点のシーンとその5分前のシーンでどちらも重要な動きを見せたのが小泉。左のハーフレーンで浮いて一度目は大久保にワンタッチで縦に、二度目は明本に縦のスペースに出してクロスを上げさせている。
湘南は序盤から目立ったのがファウル。レッズの先制点も田中達也へのファウル後のFKのセカンドボールを拾ったところから生まれている。

先制後少し相手にボールを持たれる時間になるがシュートは打たせない。むしろ気になったのはレッズのボール保持。飲水タイムまでに何度か後方からのつなぐビルドアップが見れたがどれもかなり危なっかしかった。体力と走力を頼みに前からの、特にバックパスに対しては容赦ない前プレスをガンガンかけてきた湘南に対しレッズのビルドアップは出口まで辿り着けずに苦戦した。
そして21分にあわやの事故になりかけたシーンを見せた金子のミスから26分に同点弾を許してしまう。この金子のパスミスになってしまったシーン、最初に槙野に出そうとしているが田中聡が遠目から槙野へプレスをかける素振りを見せているだけで金子は槙野へのパスを諦めて岩波へ方向転換している。落ち着いて見えていれば岩波とウェリントンとの距離のほうが近いことに気付けたはずだが。理想を言えば金子自身へのプレスをかけに来たタリクをかわして縦に出すことが出来ればそれが一番だがそれが無理でも鈴木へ戻すことも選択肢としてはあったはずだが結局この時は一番リスキーな選択をしてしまった。

その後カウンターにロングフィードにクロスと複数のパターンで相手ゴールへ迫り決定機も作りシュートも打てていたがゴールは奪えず前半終了。
後半も立ち上がりからレッズがボールを握り攻め立てていたが53分にカウンターから勝ち越しゴールを奪う。その後もユンカーのポスト直撃弾や大久保のカットインからのシュートなど攻め手を緩めないレッズ。

後半の飲水タイム直後の69分に畑のアーリークロスからウェリントンが中で合わせて同点ゴールを奪われる。それまで右のWBを務めていたはずの畑が61分に町野と名古が交代で入ったあたりから逆サイドの高橋と入れ替わっていた。右にいる間、対応する明本は畑との1on1が何度も発生しほぼ完封していたのだがこの失点シーンでの西の対応は何の制限もかけられないままクロスを入れさせてしまった。飛び出して触れなかった鈴木や競っていない槙野も同様に残念だったが。
その後レッズがボールを握り攻め続ける時間が続いていたが86分、またも後方からのビルドアップのミスによるボールロストから逆転弾を許す。その後結局シュートを打つことはできず試合終了のホイッスル。

■ポジティブ
内容の伴ったボール保持ができたこと。

■課題
同点直前に左右のWBが入れ替わった畑と高橋。一方天皇杯とルヴァンカップを経て久々にリーグ戦のスタメンに抜擢されたが失点の引き鉄になるミスを犯した金子。奇しくも監督の采配に差が出た試合だった。確かにカップ戦での金子のパフォーマンスは悪くなかったがこの湘南を相手にスタメン起用するのは相応しかったのかどうか。カップ戦の2試合で金子のプレス耐性は試されていたのかどうか。GKからのビルドアップで湘南の前プレスを事前に想定できていたのかどうか。

■気になった選手
大久保
3週間ぶりのリーグ戦ということで2人の選手がその間の天皇杯とルヴァンカップを経てこの試合に抜擢されていた。1人は金子でもう1人がこの大久保だが前半の大久保は何も持ち味を発揮できなかった。後半多少改善され逆サイドの田中よりも長い時間ピッチに残ることになったが結果を残せたわけではない。
明本
この日何度も発生した畑との1on1では42分に許したマイナスクロスたった1本を除いてあとは畑を完封。ボール保持でも決してサボらず上下動を繰り返し先制点の起点になるクロスも入れた。
ユンカー
この日も確たる結果を残したチームトップスコアラーが問答無用のマンオブザマッチ
小泉
中間ポジションをとって素早く縦。少し運んでパスコースを作って縦。針の穴を通すスルーパス。この日の小泉はあらゆる攻撃のスイッチ役になり存分にタクトを振るった。ユンカーに次ぐマンオブザマッチ