2022年11月13日日曜日

リカルド・ロドリゲス監督解任によせて

先月31日にリカルド・ロドリゲス監督の監督職の解除が発表された。リカルド監督と歩んだ浦和レッズの2年を振り返りどんな監督だったか、どんな2年間だったかを残しておく。

リカルド ロドリゲス監督との契約について | URAWA RED DIAMONDS OFFICIAL WEBSITE

■1年目
開幕戦のホームFC東京戦の衝撃が今でも忘れられない。2020年までのレッズのサッカーはとにかくビルドアップがメタメタで中盤より前にボールが出せないし運べないし蹴れないしで酷かった。西川か岩波が橋岡目がけて蹴っ飛ばして繋がればラッキーくらいのパターンしか思い出せない。ところが開幕戦で見せた新生レッズのビルドアップは有利な立ち位置でボールを受けスムーズに前を向き劇的に改善されていた。

もっとも順調な滑り出しとは言えず6節までで1勝3敗2分け(カップ戦も1敗1分け)で苦しい立ち上がりとなった。怪我人の復帰やシーズン中に次々に加入が発表される新戦力もあり4月から着実に結果がついてくるようになる。リーグ戦では終盤に失速を見せたものの終わってみれば勝ち点63で6位フィニッシュ。天皇杯を優勝しACL出場権まで得られたのは望外の結果だった。

■1年目のオフシーズン
1年目終了時点でのいちサポーターとしての来季に向けた勝手な期待は「1年目に築いたサッカーをベースに弱みを克服し強みをさらに伸ばした順当な強化」といった方向性でのチームビルドを期待していた。ところがいざ2022シーズンが始まってみるとレッズのサッカーはその期待を裏切るものになっていた。フットボール本部が当初に掲げたコンセプトと1年目に見せたリカルドのサッカーに乖離が見られたためおそらくそこへの軌道修正を強く意識したトレーニングと補強を進めたものと思われた。

「チームコンセプトに準じて評価しているので、そのフィードバックは半期に1回やりました。ポゼッション重視なんだけれど、レッズのカラーとして縦に速いサッカーも求められているし、魅力でもあると。だから、『速攻ができるときには狙うべきではないか』といった要望もクラブとして伝えました。リカルドも理解してくれています。
【西野努TDインタビュー】「プロは勝たないと説得力がない。だからこそ『悔しい! 今に見てろ!』と」

そのためのオフシーズンの大幅な放出と加入だと考えれば納得がいく。具体的なソースこそ見つけられなかったもののオフの編成も監督よりフットボール本部主導によるものだったのでは。その結果どうなったかと言えばコンセプトの体現はおろか1年目に出来ていたことすら失われてしまうマイナス収支の補強になったことが開幕してから明らかになった。

■2年目
リーグ戦は5節磐田戦を最後に1敗8分けで9試合勝ち無し。天皇杯は3回戦敗退。ACLでもグループステージ突破はなんとか果たしたものの大邱FCには1ゴールも奪えず課題は残ったまま。折り返しの17節名古屋戦くらいからリーグ戦でも勝ち星を積めるようになりACLも過酷な日程ではあったもののホームの利を活かして決勝進出。しかし好調は長く続かず1年目同様終盤は失速し勝ち点45で9位フィニッシュ。監督解任が発表され今に至る。

■リカレッズの終焉
掲げたコンセプト実現のために獲得した選手が間違っていたか、そもそもリカルドにその適性が全く無かったかはわからないが「二兎を追って一兎も得られず」なシーズンに終わってしまったリカレッズの2年目。

コロナ感染やコンディション不良や怪我人にシーズン中ずっと悩まされたことは監督に同情の余地がある。しかし編成の失敗さえ無ければ使いたくても使えない選手が出たとしても勝ち星が拾えていたのでは。シーズン中の補強が1年目の6人と比べ今季はたった2人だったことも苦しむ監督をフロントがフォローできなかった。なので2年目の失敗の根本原因は昨季オフの編成の失敗に集約されるというのが個人的な結論になる。

とは言えリカルドに全く非が無いわけではなくフットボール本部の掲げるコンセプトは就任当初から聞かされていたはず。それを実現しないまま1年目にある程度の結果を出したがそれで良しとせず監督にさらに要求したこと自体も悪くはない。問題は軌道修正をやり過ぎたことにある。

慎重に慎重を期して少しずつやるべきところを1年目のオフで大きく舵を切り過ぎてしまった。性急に事を進め過ぎた。そこまで急いだ理由は何か。ここで3年計画がネックになる。「優勝という計画は達成できたのにコンセプトは全く実現できませんでした。」とはさすがに言いたくなかったのかもしれない。

2年目が失敗に終わり解任も発表されてしまった今となっては1年目の路線を継続したリカレッズを見てみたかったとつくづく思う。この2年で得られた学びが「フロントの失敗からの成長」だけでなくリカルドが植え付けたサッカーも来季に活かされることを願いたい。

2022年9月22日木曜日

今夏移籍選手の浦和レッズとの対戦経験

移籍して加入した選手、放出された選手がレッズにとって相性が良かったか悪かったかを調べてみた。
調査対象は国外からJ1クラブに加入及びJ1クラブから国外へ移籍した選手の浦和レッズとの全試合を調査。

2022/6/22 スパチョーク
ブリーラム・ユナイテッドFCより北海道コンサドーレ札幌に期限付き移籍
開催日大会ホームスコアアウェイ出場
時間
GA
2019.03.06ACL浦和3-0ブリーラム9000
2019.05.07ACLブリーラム1-2浦和9000

2022/7/1 上田綺世
鹿島アントラーズよりサークル・ブルージュKSVに完全移籍
開催日大会ホームスコアアウェイ出場
時間
GA
2019.07.31J1浦和1-1鹿島100
2019.11.01J1鹿島1-0浦和1700
2020.07.12J1浦和1-0鹿島2300
2020.11.29J1鹿島4-0浦和7220
2021.04.03J1浦和2-1鹿島9000
2021.11.07J1鹿島1-0浦和7200
2022.05.21J1浦和1-1鹿島9000

2022/7/29 エメルソンサントス
柏レイソルよりアトレチコゴイアニエンセに期限付き移籍
開催日大会ホームスコアアウェイ出場
時間
GA
2021.05.05ル杯3-3浦和9000
2021.10.22J1浦和5-19000

2022/7/7 キムスンギュ
柏レイソルよりアル・シャバブ・サウジに完全移籍
開催日大会ホームスコアアウェイ出場
時間
GA
2016.06.25J1浦和3-1神戸9000
2016.08.27J1神戸2-1浦和9000
2017.04.01J1神戸1-3浦和9000
2017.10.14J1浦和1-1神戸9000
2018.04.11J1神戸2-3浦和9000
2018.09.23J1浦和4-0神戸9000
2019.04.20J1浦和1-0神戸9000
2020.10.14J11-1浦和9000
2021.10.22J1浦和5-19000

2022/8/22 田中聡
湘南ベルマーレよりKVコルトレイクに期限付き移籍
開催日大会ホームスコアアウェイ出場
時間
GA
2020.12.12J1浦和0-0湘南9000
2021.04.28ル杯湘南0-0浦和8700
2021.06.20J1浦和0-3湘南8301
2021.08.29J1湘南0-0浦和9000
2022.03.06J1浦和2-0湘南9000

2022/6/19 北川航也
SKラピード・ウィーンより清水エスパルスに完全移籍
開催日大会ホームスコアアウェイ出場
時間
GA
2015.06.07J1浦和1-0清水300
2017.05.20J1浦和3-3清水900
2017.08.27J1清水1-2浦和2200
2018.04.15J1浦和2-1清水5900
2018.08.19J1清水3-3浦和8701
2019.04.28J1清水0-2浦和8000

2022/7/24 松原后
ジュビロ磐田に完全移籍
開催日大会ホームスコアアウェイ出場
時間
GA
2015.06.07J1浦和1-0清水9000
2017.05.20J1浦和3-3清水9000
2017.08.27J1清水1-2浦和9000
2018.04.15J1浦和2-1清水9000
2018.08.19J1清水3-3浦和9000
2019.04.28J1清水0-2浦和9000
2019.10.06J1浦和2-1清水9000

2022/6/30 齋藤学
名古屋グランパスより水原三星ブルーウィングスに完全移籍
開催日大会ホームスコアアウェイ出場
時間
GA
2008.12.06J1浦和1-6マリノス7200
2009.03.29ナ杯マリノス0-1浦和2900
2010.06.09ナ杯浦和0-0マリノス9000
2011.12.17天皇杯愛媛1-3浦和9000
2012.05.03J1浦和1-2マリノス9010
2012.09.15J1マリノス1-2浦和9000
2013.07.17J1浦和2-3マリノス9010
2013.08.28J1マリノス3-0浦和9001
2014.04.29J1浦和1-0マリノス3200
2014.11.03J1マリノス0-1浦和9000
2015.04.18J1浦和2-1マリノス9000
2015.08.29J1マリノス4-0浦和9020
2016.11.03J1浦和1-1マリノス9000
2017.02.25J1マリノス3-2浦和9002
2018.05.02J1川崎0-2浦和3800
2018.08.01J1浦和2-0川崎1200
2019.02.16ス杯浦和0-1川崎2000
2019.11.05J1浦和0-2川崎9000
2020.09.20J1浦和0-3川崎8901
2021.05.30J1浦和0-0名古屋1600
2021.12.04J1名古屋0-0浦和700

2022/7/1 鈴木武蔵
KベールスホットVAよりガンバ大阪に完全移籍
開催日大会ホームスコアアウェイ出場
時間
GA
2012.05.12J1浦和1-1新潟SUBGA
2013.08.31J1浦和1-0新潟800
2014.07.19J1浦和1-0新潟6100
2016.10.22J1新潟1-2浦和3100
2017.05.14J1新潟1-6浦和6410
2017.07.09J1浦和2-1新潟8900

2022/7/27 小林祐希
江原FCよりヴィッセル神戸に完全移籍
開催日大会ホームスコアアウェイ出場
時間
GA
2012.07.28J1浦和2-0磐田3000
2016.03.06J1浦和1-2磐田9001

2022/7/18 橋本拳人
SDウエスカに移籍
開催日大会ホームスコアアウェイ出場
時間
GA
2016.06.22J1浦和3-2東京9010
2016.09.17J1東京1-3浦和9000
2016.10.05ル杯東京1-2浦和9000
2016.10.09ル杯浦和3-1東京9000
2017.04.16J1東京0-1浦和9000
2017.08.19J1浦和2-1東京9010
2018.12.01J1浦和3-2東京9000
2019.03.30J1浦和1-1東京9000
2019.11.30J1東京1-1浦和9000
2020.07.18J1東京2-0浦和9000
2022.06.26J1神戸0-1浦和9000

2022/8/16 ジュニオールサントス
サンフレッチェ広島よりボタフォゴFRに期限付き移籍
開催日大会ホームスコアアウェイ出場
時間
GA
2020.11.14J1マリノス6-2浦和9030
2021.05.26J1広島2-2浦和9000
2021.08.25J1浦和1-0広島5400
2022.05.13J1浦和0-0広島9000

一番の天敵は通算で4ゴール4アシストされた齋藤学と言えるか。というよりジュニオールサントスにハットトリックされていることからもマリノスが苦手過ぎるだけな気もするが。
意外にも上田からは2ゴールしか被弾していなかった。もっとやられているイメージもあったが。

2022年8月6日土曜日

2022 J1リーグ 第23節 川崎フロンターレ戦

■スタメン
レッズは前節からの入れ替えは小泉が江坂に、ショルツが知念に変更。川崎は相手都合により22節が延期になったため21節からのメンバー変更はチャナティップが遠野に、山根が瀬古に、佐々木がシミッチに、車屋がジェジエウに変更。

■おおまかな流れ
立ち上がりは立て続けにCKが2本とれたこともあってキックオフから3分間一度も相手に自陣に踏み込ませることなく先制に成功するレッズ。敵陣左サイドでボールを奪い合っている中で江坂が逆サイド大外のモーベルグに展開し右足クロスを上げて中でジェジエウと谷口の間に立った敦樹が頭で合わせて先制。

立ち上がりにいきなり失点してしまった川崎だが慌てる様子もなくボールを持てばじっくり攻め非保持ではじわっとプレスをかけてくる。やたらと長いボールを蹴っ飛ばしたり西川からのフィードを自陣で直接相手に奪われてしまったりとレッズのほうがよほど慌てていた。

ところが押されていたはずのレッズに16分に追加点。岩波が下りた松尾に長い縦を入れて左大外の関根に展開。出してすぐ走った松尾に関根はリターン。バイタルで受けたもののスリップしロストしかけたところを敦樹がすぐ拾って松尾の足元に転がりこんできたボールを右足をダイレクトで振り抜き追加点。

追加点を取って今度はレッズが落ち着いたものの、西川のフィードがいつもの精度ではなかったりモーベルグの守備が若干怪しかったり知念の足元がおぼつかなかったりで気を抜けないレッズ。川崎は川崎でそこを突いてくる様子もない。川崎にも小さいミスが多発していて決定機どころかシュート数自体増やせない。今季初の30℃超えという過酷な環境が双方にミスを生んでいるように見えた。

37分に脇坂が抜け出しダミアンがニアで合わせる決定機、その1分後に江坂のスルーパスにモーベルグが抜け出しループシュートを狙う等互いに決定機を1度ずつ作るもどちらもGKのファインセーブでゴールならず。30分以降は殆ど川崎がボールを握り続けたもののシュートはこの1本ずつで前半終了。

HTに交代はどちらもなし。じっくりボールを動かして押し込むまではスムーズだがそこから決定機までは作れない川崎と、奪ったら手数をかけず早めに縦に出してカウンターを意識するレッズ。過酷な環境下での消耗を意識してかいつになく早めにカードを切るリカルド監督は61分に酒井と江坂を下げて馬渡と小泉を投入。交代カードを切りたくても切れない川崎と違い圧倒的に有利なはずのレッズだが2枚替えをしても状況は好転せず相変わらず押し込まれ続ける。飲水タイムを挟んでまたも2枚替え。松尾と敦樹を下げてユンカーと柴戸を投入。ようやく少しポゼッションは回復。勿論追加点を奪うまでには至らない。

レッズが流れを取り戻しかけていた80分、柴戸がエリア内で橘田を倒しPK献上。家長が冷静にこれを決めて1点差にされてしまう。一気に反撃ムードも漂いかけた4分後に馬渡のスローインからユンカー、関根、最後に岩尾が飛び込んでダメ押しの3点目を決める。ATにダミアンにエリア内でオーバーヘッドを許しあわや失点しかけるも西川のセーブで難を逃れる。実に4年7試合ぶりの川崎からのリーグ戦勝利となった。

■ポジティブ
少ないチャンス一つ一つを確実にモノにして勝ち切ったこと。

■課題
映像でよくよく見直すとスコアほどの差は感じられない内容だった。ボールを易々と相手に渡し押し込まれる時間が長くなるのはレッズが本来やりたいサッカーではない。ベストメンバーを組めない中でも結果を出したことは評価すべきだがいつ誰を欠くかわからない今の状況だからこそ勝てている間に内容を見直して次に繋げて欲しい。

■気になった選手
西川
ゴールキックやパントキック等のフィードが全部で3、4回くらい相手にカットされたところ以外は最高のセービングでチームを救った。1回の決定機が1ゴールに相当するならこの日の西川は3ゴール稼いだことになる。マンオブザマッチ
関根
西川と関根のどちらをMOMにするか迷うくらい関根の働きも素晴らしいものだったが、帰陣の遅れと自陣でのファウルによるFK献上が気になったので関根は見送り。2点目で松尾に斜めに出したパスは普通ならカットされていてもおかしくないギリギリのコースだったし、3点目はあの時間にあの暑さの中最後まで走って走ってアシストした姿には感動した。
知念
リーグ戦初スタメンとなった知念だがまだ早かったという結論を出さざるを得ない。いきなりショルツの代役を務めて欲しいとは思っていないが例えば岩波のような中・長距離に右足から繰り出す高精度のフィードとか何かたった一つでも秀でたスキルを見せてくれれば今後に繋がる一戦になったと言えたかもしれなかったがこれでは岩波の代わりとしても心許ない。

2022年7月24日日曜日

2022 J1リーグ 第22節 清水エスパルス戦

■スタメン
レッズは前節からの入れ替えは大久保が関根に、大畑が明本に変更。清水は前節から片山が立田に変更したのみ。

■おおまかな流れ
オープニングでいきなり松尾のシュートがあり一気に主導権をレッズが握るかと思われたが3分にカウンター、5分に山原のミドル、6分にCKからこの日最も危ない場面を清水に作られ、立ち上がりは例によって押され気味のレッズ。3分や7分に見られたような最前線の神谷へのロングフィード1本でカウンターを狙う清水。

10分くらいから徐々にレッズの反撃開始。ビルドアップの要はショルツの持ち上がり。いつもはアドリブっぽい仕掛けでその先のパスが繋がらないがこの日は縦に出して松尾、裏に蹴って松尾と度々松尾にボールが入る。ポゼッションは回復するも圧倒的優勢というわけでもなく崩しの局面でなかなかシュートを打つまで至らないレッズ。お互いに決定機もピンチもないまま膠着状態が続く。

レッズにとってこの日最初の決定機が訪れたのは飲水タイム明けの31分。CKのこぼれ球を関根がダイレクトで合わせたが6分に西川が見せたビッグセーブに負けじと権田もここでビッグセーブ。ただここで見せた関根のプレーが伏線になったかのように41分に抑えのきいたグラウンダーのシュートを権田にファンブルさせこぼれ球を松尾が押し込みレッズが先制に成功。

後半1点リードのレッズは受けに回ることもなく積極的に前に出る。1点リードしてることもあり押し込んでからじっくり時間を使って確実なシュートチャンスを狙うレッズに対し、カウンターに全てを賭け多少強引でもミドルを放つ清水。61分に交代カードを切って2枚替えしてからは清水も押し込んでじっくり崩そうと試みる。清水はこの時間帯、SBを高い位置に押し上げレッズのブロックの外側に立たせて内のレーンとのコンビネーションや早めにアーリークロスを放り込むプレーでレッズゴールに迫る。前からのプレスがハマらなくなり押し込まれる時間が増えるレッズ。

70分にようやくこの日最初の交代カードを切るレッズ。すると前節同様またも投入直後の江坂のクロスから追加点が生まれる。左のスローインから後ろまで戻し逆サイドへ展開し外→内→外→内→外とテンポよく回しながら前進し最後は江坂のクロスに明本が飛び込み相手のオウンゴールを誘発し追加点。

76分に敦樹が白崎を倒しFKを献上すると山原が直接決めて清水に1点返される。その後レッズは交代でDFを増やしピッチにはっきりと残り時間の使い方を共有しなんとか逃げ切り成功。

■ポジティブ
前節同様交代策がハマり交代直後に追加点が生まれたこと。

■課題
何度かあった追加点のチャンスを決め切れなかったこと。1点返されてからの逃げ切り方、時間の使い方の拙さ、采配。

■気になった選手
関根
先制点の伏線になったシュートと先制点のきっかけになったシュートはどちらも素晴らしかったがそれ以外にも個人的に目を引いたのは間でボールを受けるプレー。そこからターンして前を向きドリブルなり縦パスなりでボールを前進させることに成功していた。惜しむらくはリードしてからの高い位置での1on1で何も出来なかったことと90分最後までやれなかったこと。あと69分にあったモーベルグのファークロスに反応できなかったこと。とは言え守備面でのポカも見られずむしろ素早い帰陣も高評価のためマンオブザマッチ
小泉
前プレスは引き続き精力的に励んでいて相手のビルドアップを阻害していた。松尾や関根が後ろから縦パスを引き出した時に次のボールを受けていたのが小泉で「居て欲しい位置に居る」姿に昨季の頼り切りなレッズを思い出した。
松尾
前線から下りて間で受ける動きも出来れば、前線で我慢して裏抜けを狙う動きも出来るし「CFWじゃない」と言われる選手だが板についてきたようにも見える。サイドに流れた時しっかり体を内に向けてクロスを入れるので密かに酒井や明本よりもクロスは上手いのではないかと睨んでいる。

2022年7月17日日曜日

2022 J1リーグ 第21節 FC東京戦

■スタメン
レッズは前節からの入れ替えは関根が大畑に、明本を小泉に変更。東京は前節から紺野が渡邊に、アダイウトンがディエゴに変更。

■おおまかな流れ
立ち上がりはお互いに長いボールを蹴り合って落ち着かない。東京は奪ったらディエゴ、松木、渡邊らを目がけて早めに縦に出す。ショルツや岩尾のミスでなかなか流れを掴めなかったレッズだが、ボールを失ってからの守備への切り替えは実に素早く序盤から度々ショートカウンター発動。相手のミスを誘うプレスを小泉が前からかけていて主に岩尾、敦樹が何度もボールを奪っていた。

8分にレッズがこの日1本目の繋ぐビルドアップからの酒井のシュートを見せて以降は試合はレッズの流れに。10分に敦樹のエリア内シュート、直後のCKで大久保のファークロスにショルツが合わせるシーンも。立て続けに決定機を作る。

すると飲水タイム明け程なくレッズに先制点。松尾と岩尾の前プレスで相手のビルドアップのミスを誘い超ショートカウンターからモーベルグが押し込んだ。失点後の東京はビルドアップが少し改善し後ろから繋いで前線まで運ぶことに成功もしたがシュートは直接FKで狙った一本にとどまる。

HTに東京は失点に絡んだ梶浦を紺野に交代。前半から引き続き前からプレスをかけてミスを誘って中盤で奪うレッズ。後半開始5分で早くも追加点。押し込んでから後ろに戻してやり直そうと岩尾から敦樹にボールが渡るとバイタルからグラウンダーの左足ミドルをゴール右隅に対角に突き刺した。

2点のビハインドを背負いようやく敵陣からプレスを開始する東京。56分にアクシデントが発生しディエゴと山下が交代。66分にはレッズも松尾、小泉、大畑を下げて江坂、明本、馬渡を投入する3枚替え。東京も長友と東を下げて鈴木と品田を投入。

すると前半同様飲水タイム直後にまたも追加点。馬渡のスローインを受けた江坂がクリア気味に逆サイドへ蹴ると右ペナ脇で収めたモーベルグが佳史扶を前に例のまたぎフェイントを入れながらカットインしシュートコースを作るように左へ持ち出す。佳史扶を引き付けてできたスペースに縦に出してオーバーラップした江坂がダイレクトで大久保へショートパス。大久保もダイレクトで右足を合わせニアサイドに突き刺し3点目。

小泉と松尾が下がっても明本と江坂が引き続き前から厳しくプレスをかけ続けたこともあってその後も主導権はレッズが握り続け何度もゴール前に迫った。その後岩波と知念、大久保と関根が交代し交代カードを全て使い切る。強引にミドルを打たれるシーンもあったものの西川のセービングもあり見事クリーンシートで勝利。

■ポジティブ
複数得点とクリーンシートで勝てたこと。3ゴール全てが流れの中からのゴールだったこと。最後まで相手に流れを渡さずに追撃の手を緩めなかったこと。

■課題
後ろから細かく繋ぐビルドアップが殆ど無かったこと。

■気になった選手
小泉
序盤から再三効果的なプレスでボールを奪ったり遅らせて時間を作ることが出来ていた。小泉のプレスの良いところはポジションなど関係ないと言わんばかりに遠い位置からかっ飛んできてボールホルダーへ容赦ないプレスを敢行するところ。ただボールを持った時にじっくり出し所を選びたがる性分は相手がラフなタックルばかりだと自分の体を痛める一方なのでたまにはフリックなんかも織り交ぜて適度に相手のプレスを無力化して欲しい。最悪審判によってはファウルをとらない場合もあるのだから。
酒井
ミスをした際にプロ1年目のルーキーのように足を止めて何かリアクションしているのはいかがなものか。アウトオブプレーになっていれば天を仰ぐくらいは誰にでもあるが続いているにもかかわらず膝をついて足を止めた48分のシーンはさすがに目を疑った。誰かと接触して怪我でもしたのかと一瞬心配した。
伊藤敦樹
松尾、小泉が前から厳しくプレスをかけて相手が強引に出した縦パスを岩尾や敦樹が奪う。ボール非保持、守備への切り替えの両局面においてこの日のレッズは計画的に組織的に守備が出来ていた。敦樹はいい守備に加えポジトラの局面でも度々前線に顔を出しシュートを3本放ち最高の時間帯に追加点をもたらした。マンオブザマッチ

2022年7月14日木曜日

2022 J1リーグ 第20節 京都サンガ戦

■スタメン
レッズは前節からの入れ替えは大畑が関根に、宮本が酒井に、柴戸が敦樹に、小泉をモーベルグに、江坂を松尾に変更。京都は前節からレッズからレンタル移籍中の荻原がメンデスに変更したのみ。

■おおまかな流れ
キックオフ直後にエリア内までモーベルグが持ち込むチャンスがあったものの立ち上がりは京都優勢。レッズはプレスがはまらず京都のボール前進に規制をかけられず再三自陣深くに押し込まれる。6分に明本が倒されFKを獲得するとエリア内で岩波の顔にメンデスの手が当たりPK獲得。モーベルグが決めて先制に成功したが先制後も引き続きボールは京都が握り流れは変わらない。序盤から何度もレッズの左サイドを突破される場面が目に付く。京都はビルドアップでも崩しの局面でも武富がキーになって目立っていたがこれをレッズが捕まえ切れなかったこと、関根がスタメンから初のSBを任されたこと、岩尾や敦樹が相手の縦を切れなかったことなどが京都にボールを運ばれる原因になっていた。

ところがそんな劣勢の中でも決定機はレッズが作りCKから酒井の右足シュート、松尾の抜け出しからPK獲得等立て続けに追加点のチャンスを作る。どちらも追加点にはならなかったが。前半ラスト10分だけは劣勢からイーブンくらいまで持ち直した。

HTにレッズは明本と江坂を交代。おそらくはハマらない前からのプレスを改善したかったものと思われるがいきなりその効果が出たわけではないものの後半立ち上がりはレッズが京都を押し込み攻め続ける。ところが1本のCKを与えると武富にニアで合わせられあっさり同点を許すと、その直後ビルドアップのミスを突かれあっという間に逆転された。そのまた僅か3分後に岩尾のクイックリスタートから前線に長いボールを出すとモーベルグが収めて左足を振り抜き同点。

振り出しに戻って残り30分はシュート数も上回り決定機も3度作ったことからもレッズ優勢。5人の交代枠を全て使い果たした京都に対しレッズは85分に関根を大畑に交代し計2人代えただけで終わった。この日はかなり涼しく殆どの選手が最後まで走れていたため決してベンチに代えられる選手がいなかったというわけではなかった。

■ポジティブ
繋ぐことに固執せず割り切った攻撃でゴール前に迫り決定機を作れていたこと。

■課題
2回目のPK、ラスト30分で何度も作った決定機。これらを活かせず勝ち切れなかったこと。

■気になった選手
明本
キックオフ直後のモーベルグに繋いだポスト、先制点になったFKを獲得したシーン、前半終了間際のロングフィードを収めたトラップ。この日の明本は前線のターゲットとしてボールを引き出し、収めて何度も決定機を演出していた。
松尾
ラストパスを引き出すポジショニングにしろ抜け出すタイミングにしろ非凡なスキルを持っているのは間違いない。今のプレーを続けていれば歓喜の瞬間はそう遠くないのかもしれないが怪我人の復帰や海外からの新戦力が加わっても今と同じ出場機会を得られるかどうかはわからない。出番があるうちに結果を出さなければならないことは誰より本人が理解しているはず。
モーベルグ
ボール保持時、カウンター時、モーベルグは常にスプリントして右サイドの高い位置をとってくれたのはボールホルダーからすれば非常にありがたい存在だったはず。しかも出し手の精度の高さもあってか非常によく収まって何度もエリア内への進入に成功してチャンスメイクしていた。

2022年7月1日金曜日

2022 J1リーグ 第18節 ヴィッセル神戸戦

■スタメン
レッズは前節からの入れ替えは関根がユンカーに、敦樹が柴戸に変更。神戸は前節から菊池が汰木に、郷家が大迫に変更。

■おおまかな流れ
15節セレッソ戦を最後に戦列を離れていたユンカーの復帰戦となった試合だが開始5分で早々に負傷交代。キックオフ直後の最初のシュート後に既に右脚付け根部分を気にしていた。

立ち上がりレッズはいきなりアクシデントに見舞われたせいか8分までに計3本のシュートを相手に打たれやや劣勢。8分以降は敵陣でのプレータイムを伸ばし盛り返すがシュート数はあまり稼げず決定機もゼロ。レッズはいつものサッカーと比べると少し縦に急いでいたように見えた。いつもならボールを奪ったら一度戻してやり直そうとする場面でも強引に縦に出していた。

一方神戸はレッズの前からのプレスが効いていたせいか後ろから繋ぐビルドアップはあまり見せられずシンプルに蹴っ飛ばすボール多め。ターゲットは大迫か武藤。ただ相手の前からのプレスに苦しんだのはレッズも同じでビルドアップで西川まで戻して蹴っ飛ばしてボールロストといった場面が複数回見られた。自陣での不用意なファウルで何度か相手にFKを献上すると19分から流れは神戸に傾く。この時間帯レッズにとって最も危険なプレーを見せたのは汰木。幅を取って大外で受けてからのカットイン。対面の相手を抜き切らずに強引に入れるクロス。どちらもレッズはギリギリで耐えてなんとか跳ね返すことに成功していたが失点してもおかしくない危険な場面は何度か見られた。終盤に2度ほどカウンターを見せ神戸ゴールに迫ったもののトータルで見ればホームチームの前半で終わった。

レッズはHTに宮本と酒井が交代。すると後半開始早々何度も酒井がボール保持での違いを見せる。ビルドアップでは持ち前の推進力を発揮し崩しの局面では大久保と息の合った連携で神戸ゴールに迫った。他にも柴戸や大久保のポジショニング、岩尾の攻撃参加等もあり後半は45分通してほぼレッズの時間だった。神戸は汰木を下げたことや交代で出た選手が2度も同じ位置でファウルしFKを与えたことが結果的に勝敗を分けたように思える。結局はAT突入直前にその2度目のFKをモーベルグが見事叩き込みウノゼロでレッズが勝利した。

■ポジティブ
交代で入った選手が結果を出したこと。90分を通して守備で集中を切らさなかったこと。

■課題
流れの中からゴールを奪えなかったこと。

■気になった選手
岩波
前半序盤立て続けにミスを連発。クリアがどれもこれも中途半端で自陣で相手に直接収まってしまっていた。そしてファーストチョイスが「安全第一」過ぎて残念。ただ32分に見せた大迫を相手にシュートを打たせずクリアしたシーンには痺れた。
大久保
仕掛ける姿にばかり注目されがちだがボールを引き出すポジショニングが秀逸。ターンも上手い。そして最後まで衰えない運動量。43分に自ら作った決定機。走行距離、スプリント数両チーム含めてNo.1。今季初の90分フル出場。後半ショルツが珍しく主審に食ってかかりそうになった際にもなだめ役を買って出ていたのもグッド。マンオブザマッチ
明本
歪な編成のせいで何度もポジションチェンジが発生し便利屋として振り回される明本には同情するが栃木時代は1年ガッツリと務めたCFのポジションなのだからもう少しらしさを見せてほしい。あのポジションでシュート数ゼロはいかがなものか。それこそ往年の大迫のようなラフに蹴っ飛ばしたボールをレイオフさせて江坂あたりにフリーでシュートさせるのが正しい明本の使い方だと思うのだが裏抜けばかりさせようとしていた。つまり周りが彼の活かし方をわかっていない面もある。

2022年6月21日火曜日

2022 J1リーグ 第17節 名古屋グランパス戦

■スタメン
レッズは前節からの入れ替えはシャルクが関根に、小泉が大久保に、松尾が江坂に変更。名古屋は前節からランゲラックが武田に、柿谷が石田に変更。

■おおまかな流れ
4分にマテウスのマイナスクロスから稲垣の決定機があり立ち上がりは名古屋が流れを掴んだかに思われたが西川のビッグセーブもありレッズも慌てることなくその後機能した守備を見せる。中断前同様アタッキングサードまでは運べるレッズ。10分までにシュート2本と徐々に相手ゴールに迫る。

名古屋は前からプレスをかけようとはせず引いてブロックを形成するためレッズは比較的容易に敵陣までボールを運べた。最後の崩しのフェーズでどう振る舞うかという中断前までの課題に取り組んだ成果をまさに披露することになったが、中断前と比べ次のプレーを判断する速度は上がったように見えた。多少強引でもミドルやクロスを放つと徐々にCKも増えてくる。20分に4本目の左CKを得ると岩尾の蹴ったインスイングのボールにショルツが合わせ先制に成功。僅か2分後にまたも左CKを得ると岩尾の蹴ったボールをニアで明本が頭でそらしファーで敦樹が押し込む9節神戸戦の2点目で見せたゴールと同じ形で追加点を決める。

2点のビハインドを背負いようやく相手陣内でのプレスを開始する名古屋。この日初スタメンの石田も26分早々に阿部と交代。しかし小さいミスが減らずボールを持つ時間も増やせずレッズの攻撃を制限することも出来ない。35分にはカウンターからさらなる追加点を許してしまう。結局前半までに名古屋のシュートは計3本にとどまる。

後半も立ち上がりは引き続きレッズが主導権を握りながら試合を進める。敵陣までボールも運べるしクロスもラストパスも出せるがシュートは打てないでいると60分を過ぎたあたりから押し込まれ自陣でプレーする時間が増えてくる。レッズの一部の選手にミスが増えたこと、名古屋がむやみに蹴っ飛ばすことをやめて繋ぐビルドアップを見せ始めたこと。これらの要素が重なり容易に敵陣でボールを持てなくなった。とは言え名古屋の決定機は阿部の右足シュートを宮本がブロックしたシーンにとどまる。

その後交代カードを切っても劇的な変化はなく互いにこれといった決定機もなく(ATに2本レッズのシュートがあったものの)名古屋を無失点に抑え試合終了。実に3か月、10試合ぶりの勝利をホームで飾った。

■ポジティブ
中断前までに出来ていた切り替えからのいい守備等は失われずそのままに、出来なかったことが出来て少し改善されていたこと。中断明け最高のスタートが切れたこと。

■課題
交代カードで流れを引き戻せなかったこと。

■気になった選手
江坂
何故90分出場したか不可解なほど後半のパフォーマンスは低調で何度もボールロストが発生。非保持における守備、前からのプレスだけは最後までやり切った。
伊藤敦樹
1ゴール1アシストという目に見える明らかな数字もさることながら守備時に相手のボールをひっかけて奪う場面を何度も確認できた。惜しむらくは90分フルでやり切れなかったこと。マンオブザマッチ
大久保
おそらくこの日最もスタジアムを沸かせた選手。何度も仕掛け何度も相手をかわし何度もボールを運んだ。中断前のいいプレーを継続できていた。初スタメンでこのプレーぶりなら間違いなく序列は上がったはずなので出場時間の増加とともに数字もついてくるはず。
宮本
双方合わせてスプリント数1位。走行距離3位。相変わらずの運動量でそのタフネスを遺憾なく発揮。代表キャップを持つ相手のWBと何度もマッチアップし何度もバックパスをさせ殆ど仕事をさせない守備も目を引いた。課題はクロスの精度と飛び込むタイミングか。

2022年3月30日水曜日

2022 J1リーグ 第5節 ジュビロ磐田戦

■スタメン
レッズは前節からの入れ替えは岩波が犬飼に、明本がユンカーに変更。磐田は前節から契約上レッズとの試合に出られない杉本がジャーメインに変更したのみ。

■おおまかな流れ
レッズは開始6分でCKからの先制に成功したため一見再現性のない偶発的な先制に見えたかもしれないが、CKを得るに至った過程が決定機演出によるものなので必然の先制点と言っていい。この日レッズがビルドアップする上でのいつもと最大の違いは犬飼がスタメンで出たこと。開幕京都戦も犬飼は出たが隣はショルツではなく岩波だった。この日は真ん中に犬飼、右にショルツ、左に大畑の3人でビルドアップを開始する。酒井は大きく前に出てライン際に立つと割とフリーになって45秒に岩尾から酒井、5分に小泉から酒井とどちらも磐田DFラインの裏に抜け出してクロスを供給できている。いつもの酒井はここまで高い位置を取れないがこの日は酒井サイドの右にショルツが立ちショルツがボールを持って前に出れると酒井も高い位置を取れていた。さらにこの日はスタメンにユンカーがいたため先制する6分までの間に3度もユンカーを狙ったボールを供給できていた。

2点目は江坂のプレスで相手のビルドアップのミスを誘い最後はユンカーの個人技で追加点というもの。しかし2点目から僅か3分後に関根が危険な位置で鈴木を倒しFKを献上するとあっさり1点返されてしまう。レッズの守備は十分に人数は揃っていて抜かれて即失点となるような状況でも無かったように見えた。その後磐田にボールを握られる時間が続く。磐田のビルドアップのキーマンは松本。彼が常に幅を取る役目を担ってジャーメインに縦に出したり、遠藤とのコンビネーションから自身が裏に抜け出したりして繋ぐビルドアップでは常に松本からボールが出ていた。とは言え松本がいる左サイドはショルツと酒井がいるレッズの右サイド。決定機はおろかシュートも打たせない。ただレッズの不用意なロストからのカウンターのほうが磐田はゴール前に迫れていた。レッズはボールを失った直後のプレスが上手くハマらなかった。

21分にユンカー、31分に関根の決定機がどちらもカウンターから生まれるレッズ。一方押し込む場面も増えたものの最後の肝心なところを好きにさせないレッズの守備に33分伊藤槙人が頭で合わせようとした1本しかシュートを打てない磐田。その直後にまたもレッズがカウンター。そしてPK獲得。ショルツが落ち着いて決めて3-1。前半終了間際に岩尾のロングフィードに酒井が裏に抜けてクロス、疑似カウンターから関根の裏抜けと相手にチャンスを与えず逆に決定機を作るレッズ。

後半は互いに選手交代もあり配置も変わる。レッズはユンカーと関根に代わって明本と初出場のモーベルグ投入。ショルツと犬飼も左右入れ替わり小泉が左WG、モーベルグが右WGに。磐田は大井に代わってゴンザレス。CBの大井が抜けて左右のWBがSBに入り4バックに変更。すると後半開始から僅か3分弱で来日初ゴールをモーベルグが独力で決め切る。その後スコアは動かずレッズの勝利で試合は終わるが磐田は前半より余程チャンスを作りシュートも打てていた。1番の理由は後半から入ったゴンザレスが前を向いたレッズの選手の背後から何度もプレスをかけてそこからボールを奪えていたこと。とは言えレッズも4点目以降ノーチャンスだったわけではなく三浦のビッグセーブが複数回見られたように決定機を作ることに成功していた。

■ポジティブ
不安視されていた得点力不足を払拭するスコアで勝てたこと。新加入選手がいきなり結果を出せたこと。実戦が久々のモーベルグのコンディションがかなり良いこととユンカーは今季初スタメンで前半のみとは言え今季最も長くピッチに立てたことからもコンディションが上向いてきた。

■課題
よくない失点の仕方をしたこと。2-0は危険なスコアと言われる所以は1点入ることによって流れを持っていかれ一気に逆転される可能性を恐れる心理から来ているが実際この日も失点後はしばらく相手にボールを握られてしまった。それでもチャンスは与えずシュートすら打たせなかったことは評価できるが。

■気になった選手
ユンカー
単純に相手のビルドアップが拙かっただけかもしれないが、江坂とユンカーの前からのプレスはよく連携していた。決定力は確かだがユンカーを使う際の懸念は守備面にあると思われていたがあれだけ前から連携してプレスをかけられるなら十分なのであとは90分やれる位コンディションが戻ってくれれば最高のユンカーが見られるはず。
ショルツ
元々レッズのCBの中では1番足元が確かで運べるCBなのに基本は動かずボールを前に出すのは専ら岩波だった。しかしショルツが前に出ることは本人が持つ資質以上に周りにもたらすメリットの大きさを証明した試合になった。この発見は非常に大きい。守備においても相変わらずの安定感を見せつけミスらしいミスなくレッズのゴール前に蓋をした。文句なしのマンオブザマッチ
モーベルグ
鮮烈デビュー弾もさることながら直前に打った1本目のシュート然り、62分のシュート然り、モーベルグのプレーは相手ゴールを脅かすことに成功していた。あとはボール非保持の守備対応で穴にならないような存在になれるか。前からプレスをかける動きは見られたが押し込まれた時の対応は殆ど見られなかったため未知数。守備も出来て当たりにも強いマルティノスの完全上位互換であって欲しい。
伊藤敦樹
PK獲得のシーンに代表されるような積極的な攻撃参加はカウンター時のみならず押し込んで崩しの局面でもボールに絡んでいたし、被カウンター時にもギリギリのところでタックルやインターセプトで相手の攻撃を寸断。勿論ビルドアップでも顔を出すしあらゆる局面で欠かせない選手だった。西川、江坂に次いで3番目の出場時間の長さも納得の活躍。

2022年3月24日木曜日

2022 J1リーグ 第4節 サガン鳥栖戦

■スタメン
レッズは前節からの入れ替えは平野が敦樹に、松崎が小泉に変更。鳥栖は前節からファンソッコが田代に、島川が原田に、藤原が宮代に変更。

■おおまかな流れ
立ち上がりに後ろからパスを繋いでビルドアップする鳥栖。対照的に長いボールを蹴ってビルドアップを省略しようとするレッズ。レッズが本来やりたいサッカーを相手にやられ逆にレッズはプレスに苦しみダイレクトプレーを強いられる展開。とは言えこういう展開は何もこの試合に始まった話ではなく開幕京都戦でも既に体験済み。おそらくこうなることも織り込み済みで監督は準備していたと思われる。しかし誤算もあったはずでそれこそが開幕戦ほどセカンドボールを拾えなかったこと。ダイレクトプレーの肝とも言えるセカンドボール争いに勝てずボールを収められないシーンが目についた。

早めに蹴っ飛ばしてボールを手放すレッズと後ろから丁寧に繋ごうとする鳥栖では分かりやすくポゼッションに差が出て開始15分で鳥栖64:36レッズ。とは言え一方的に押し込まれたわけでもシュートを打たれまくったわけでもなくボールが互いの陣地を行ったり来たりするオープンな展開が続く。13分を過ぎたあたりから落ち着き敵陣深くまでボールを運ぶことにお互い成功するもシュートは相変わらず打てず30分を過ぎてお互いにシュート2本ずつ。しかしこの時間から徐々に鳥栖がペースを掴みエリア内への進入とシュートが増える。スローインから逆サイドへ大きく展開したりレッズのビルドアップに対し前からのプレスでミスを誘い奪って一気にシュートまで持ち込む場面が見られる。

前半のラスト15分は完全に劣勢を強いられながらもなんとか耐え忍び0-0のまま前半終了。後半レッズは関根の配置を替えたり敦樹が前に顔を出したりシンプルにワンタッチで前線へ繋いだり前への圧を強め立ち上がりに反撃に成功する。46分にはレッズにとってこの試合最大の決定機となる明本のシュートも見られるが先制ならず。ボール非保持でもレッズのプレスがようやくハマり始め後半開始から15分は内容の伴った攻撃を見せる。

流れは依然としてレッズが握っていると思われた中で唐突に先制点が生まれたのが70分。敦樹と小泉のビルドアップのミスから自陣深い位置でボールを奪われ堀米の短いクロスに垣田が頭で合わせ失点。その後86分に一度だけ決定機を作るも奮闘虚しく敗戦。

■ポジティブ
劣勢だった前半からHTで監督が持ち前の修正力を発揮し後半盛り返したこと。

■課題
失点に繋がった敦樹と小泉のミスはあの瞬間2人とも疲れているように見えた。敦樹はフリーなのにワンタッチで小泉へリターンしてしまったし、小泉はそれに反応できなかった。ここまでの5試合で敦樹は492分。小泉は221分。小泉は敦樹に比べればそこまでの出場時間ではないし何と言っても前節から中6日あったのだからしっかりリカバリーできていなければこの先困る。では何がそこまで2人を疲弊させたのか。攻めても攻めても点が入らないことではないだろうか。終わりの見えない作業を続けることの精神的負担というのはサッカー経験のない人でも皆知っている。体はまだ動くのに集中力が続かない状態。それがあの瞬間の2人の状態だったのでは。ウノゼロの負けはスコアだけ見れば守備に問題があったように見えかねないが本を正せばゴールを決め切れないという開幕節から続いている最大の課題を解決できていないことが全ての原因になっている。いつの時代もどんな国でもサッカーについて回る永遠の悩みなので簡単な解決法は無いが「信じて続けるだけ」と言い続けてもう6試合が終わってしまった。

それと前半のゲームプランも失策のように思える。このサッカーは結果が出なかった開幕京都戦で既に見切りをつけたものと思っていた。相手は2人交代直後に先制しこちらも2人交代直後に失点したことからも采配で相手に劣っていたことも気になった。

■気になった選手
酒井
前半はかなり良くなかった。岩崎に体を入れられ頭で合わされたり、岩崎にインターセプトされたり何度かマッチアップした岩崎には負けていたようにも見えた。
小泉
酒井よりも良くなかった。小泉慶にかなりマークされボールを奪われたり背後から倒されたりしていた。危険な位置でファウルしFK献上する場面も。
関根
ボール前進にも絡めばゴール前でラストパスやシュートシーンにも絡むいつも通りの関根だったがトラップミスやパスミス等、残念ながら彼も肝心なところでミスが多かった。

2022年3月9日水曜日

2022 J1リーグ 第3節 湘南ベルマーレ戦

■スタメン
レッズは前節からの入れ替えは馬渡が大畑に、敦樹が岩尾に、柴戸が平野に、小泉が松崎に変更。湘南は前節から畑が舘に、大野が大岩に、山田が平岡に、タリクが町野に変更。

■おおまかな流れ
開始10分までにCK3本、シュート2本、相手はゼロ、自陣より敵陣でのプレーが長かったレッズが立ち上がりは主導権を握る。ただし、後ろから繋いで前線へ供給できたビルドアップはゼロ。スローインやセカンドボールを奪ってからのカウンターでボール前進が出来ていた。圧倒的にボールを握り倒して好き放題攻め続けていたわけではないもののレッズの先制点が唐突に生まれる。この日何度かあった最終ラインからの長い楔が高い位置の江坂に入りワントラップから前を向いて大畑へのスルーパス。左ペナ脇からマイナスクロス。江坂が飛び込んで右足ダイレクトのシュートは谷の左膝に当たってゴール右上隅に突き刺さりレッズ先制。

先制後も引き続きレッズ優勢のまま試合が進む。ただし相変わらず後ろから丁寧に繋ぐビルドアップは無く長い楔が最終ラインからズバッと前線に入るシーンが目立つ。この時楔を受けるのが決まって江坂なので相手も徐々に対応してくると24分にこの日湘南1本目のシュートをエリア内で打たれる。27分にも岩波が正面から腹で受けたもののエリア内で町野にシュートを打たれる。直後に山本に強引にミドルシュートを打たれるとなんと前半30分に平野を敦樹と交代。どうも平野にアクシデントがあったようだがこの交代以後シュートは打たれなくなる。ボールを握られ押し込まれる時間は減らなかったが。プレスがハマらなくなり押し込まれる時間は増えたものの相手も前がかりなせいか奪ってからのカウンターは精度高く実行できて2度ほど決定機を作れていた。

湘南はHTに平岡を米本に、茨田を永木に交代。湘南は後半球際の強度を高め少しラフでも強引に相手のドリブルを止めたりボールを奪おうとするシーンが増える。前半から引き続きカウンターが何度も発動するレッズ。60分までの間に3度明本にシュートチャンスが訪れるがまともに打てたのは大岩のタックルでゴールに飛ばなかった1本だけ。あとの2本はどちらもクロスに飛び込むも届かなかった。

レッズは59分に3枚替えを敢行。関根を小泉に、松崎を大久保に、大畑を馬渡に交代。リカルド監督にしては珍しく早い時間の交代策だったが関根の疲労などははっきり見てとれたのでこれは英断。3度のチャンスをものに出来なかったことからも明本の疲労も考慮してか、ボール非保持で前からのプレスを小泉や馬渡が担当する場面が目につき明本は左SBに下がって守備対応をするようになる。このあたりの時間からレッズはボールを奪ってから速攻をかけずゆっくり攻めるようになる。これもまた疲労の蓄積を考慮した切り替えと思われる。

その後も明確なボール前進の手立てが見当たらない湘南とカウンターに勝機を見出し何度かゴール前に迫るレッズ。湘南がウェリントンを投入するとレッズも江坂を犬飼と交代。馬渡と明本の位置を入れ替え再び明本が前線に。すると西川のゴールキックのセカンドボール争いから敦樹が前線へアバウトに蹴ると明本が抜け出し舘と大岩に前に立たれてペナルティアークでストップ。少し溜めて左をオーバーラップした馬渡へクロス。左足一発で収めて左足でニアをぶち抜きダメ押しの追加点。その後唯一恐れていたウェリントンを使ったパワープレーも見られず相手にシュートを打たせないまま2-0クリーンシートで5試合目にしてようやくリーグ戦初勝利を飾った。

■ポジティブ
ベストコンディションでなくともしっかり勝ち切ったこと。90分を通して相手に決定機を作らせずほぼ完封して勝てたこと。

■課題
ポジティブが守備面のことなら課題はやはり攻撃。この日も何度も決定機を作りながらなかなかゴールを決め切ることが出来なかった。追加点をもっと早い時間に取れればもっと有利な試合運びも出来たはず。とは言え選手も指揮官も「続ける事が大事」と何度も口にしている。この意識がチーム全体に共有されていることは重要なこと。そして実践できていることも大事なこと。信じて続けた結果が5連戦のラストにようやく結実した。次節も忘れず継続できているか注意深く見守りたい。

■気になった選手
ショルツ
最後に相手が触ってラインを割りそうになったボールをわざわざ残してパスしたら相手にひっかけるミス。ビルドアップ時になんでもない横パスを危険な位置で相手にひっかけるミス。らしくないミスの連続はやはり5連戦の疲労だろうか。今のレッズにとって最も替えのきかない選手だと思っているので疲れていてもなんとかやってもらう他ない。
江坂
先制ゴールもさることながらかなり高い位置で何度も中間ポジションをとって最終ラインからの縦パスを引き出しスルーパスを狙っていた。ボール非保持での前からのプレスも周りとよく連動し相手のビルドアップを阻害できていた。マンオブザマッチ
明本
もう2度としてくれるなと願っていたサイドバックへの配置転換だが試合中とは言えまたも便利屋の如くそこでの任務を命じられてしまった。しかし腐らず疲れていても決してサボらず最後の最後に再び巡ってきたCFWのポジションでも懸命に走りボールを収めそれこそマンオブザマッチ級の仕事をして試合を決定付けた。9節神戸戦は心底腹が立ったがやはり彼を信じて送り出した監督は正しかった。

2022年3月7日月曜日

2022 J1リーグ 第10節 川崎フロンターレ戦

■スタメン
レッズは前節からの入れ替えは宮本が酒井に、大畑が馬渡に、出場停止中の岩尾が柴戸に、松崎が明本に変更。川崎は前節から佐々木が登里に、知念がダミアン、小林が遠野に変更。

■おおまかな流れ
立ち上がりは拮抗した五分の流れ。川崎は家長の単独持ち上がりからレッズを押し込む。川崎が相手を押し込んでからのサイド攻略を急がずゆっくりやれるといつもの川崎のペースになりやすいがレッズはここの引いてからの守備で慌てることなく無理に奪おうとせず食いつかずどっしり構えて迎え撃つことができた。レッズは長いボールを蹴ってからのセカンドボールの回収でやや分がありそこからのカウンターでボール前進を図る。川崎がバックパスをすれば追撃プレスをかけ長いボールを蹴らせて回収のシーンを複数回確認できた。

16分あたりからレッズが自陣深くまで相手を引き付けての擬似カウンターを見せるようになり試合はレッズ優勢の流れに。擬似カウンターだけでなく前からのプレスもハマり始め川崎のミスが増える。26分に登里にアクシデントが発生し塚川の緊急登板があったこともミスが増えた原因の一つ。CKとシュートが増えるレッズ。川崎はファウルも増え始め自ずとセットプレーも増えていたレッズに先制点が生まれたのは偶然ではなかった。塚川が江坂に対し遅れて頭から突っ込みイエローカード。敵陣右ペナ角の手前からFKを獲得。キッカーは馬渡。蹴る瞬間誰もがゴールに向かう中唯一人岩波だけがバックステップでマークを外すとフリーで頭で合わせニアサイドに流し込み先制点。

先制後もプレスの手を緩めず前から厳しくプレスをかけるレッズ。先制後の川崎のシュートを1本に抑え1点リードのまま前半終了。後半は立ち上がりこそレッズも決定機を作るほどの流れだったもののセカンドボールが握れなくなり徐々に流れは川崎ペースに。レッズは前半に比べボールを奪ってから後ろに戻してやり直そうとするシーンが減って縦に急ぐ攻撃が増えていた。それで上手く相手のプレスをかいくぐれれば51分の明本のような決定機も作れはするが後ろがついてきていないのでやはり単発に終わっていた。奪ってからが短く終わるレッズに対し、敵陣でもじっくり時間をかけて守備ブロックを攻略しようとする川崎。

61分に後半1本目の川崎のCKから同点ゴール被弾。そして2分後にあっさり逆転。こう書くといかにも守備崩壊したかのような印象も受けるが逆転された後ではっきりと崩され決定機を作られたシーンは無かった。押し込まれるシーンは多々あったものの。その後74分に3枚替えでユンカーを今季初登板させるものの結局ユンカーのボールタッチはATにサイドに流れてクロスを上げようとした1回のみ。相手のファウルで何度かバイタルエリアからのFKを得るものの決定機創出には至らずむしろ無駄に時間ばかり浪費させられあえなくタイムアップ。

■ポジティブ
疑似カウンターをかなりの再現性を持って発動できていたこと。そこから1点でも取れていれば相手にチラつかせる価値のある強力な武器になっていたが。

■課題
後半のレッズの試合運びを見るに、ひょっとするとチームの狙いとして明確に自陣に守備ブロックを敷いてからのカウンター狙い、所謂堅守速攻を狙っていた可能性もあったのかもしれないが結果だけ見れば川崎相手にそれは悪手だった。あるいは後半頭からユンカーを使って谷口一人では帳尻を合わせられない一撃必殺のカウンターを決められれば追いつかれる前に先に追加点もあり得たのかもしれない。しかしスーパーカップでは江坂と明本の2人でやり切った追加点の記憶もまだ新しく監督もそこに期待していたと思われるが期待通りにはならなかった。川崎の修正以上に出場停止明けの明本のメンタルもスーパーカップとは大きく異なったのではないか。何せやらかし明けからの禊の1戦。自分で決めようとする意志はスーパーカップよりも強く感じたし周りも明本に取らせようとするプレーが見られた。逆転弾を浴びたきっかけになった脇坂にかわされた柴戸の食いついたシーンにしても同様にメンタル的な未熟さが起因したミスのように見受けられる。若返りを果たしたチームの宿命と割り切るか、プロとして甘いと切って捨てるかはこの先の補強の動向で伺えるはず。

■気になった選手
岩波
殊勲の先制弾を挙げたこともさることながらこの日はダミアンへの守備対応を強く意識してやっていたと感じた。ダミアンにボールが入りそうになると必ず前に出てボールをカットしていた。
馬渡
セカンドボールに対する予測が正確で速い。カバーエリアも広い。機を見て前にもガンガン顔を出せる。そして先制点を演出したキックの正確さ。試合を重ねる度に馬渡の魅力が増すばかり。彼を獲得し6番という番号を背負わせたフロントへの信頼もさらに上昇。マンオブザマッチ
明本
暴力行為による退場から出場停止明けの1戦。これまでと変わらない奮闘ぶりを見せてくれたことにまずは一安心。極力使わないようにしている言葉だがこの試合に関しては明本の「気持ち」がこもったプレーが見えた気がした。

2022年3月4日金曜日

2022 J1リーグ 第2節 ガンバ大阪戦

■スタメン
レッズは神戸戦からの入れ替えは馬渡が宮本に、柴戸が岩尾に、明本が小泉に変更。ガンバは前節から石毛が三浦に、パトリックがレアンドロペレイラに変更。レッズはミッドウィークに神戸とのリーグ戦があり同日ガンバはルヴァンカップを戦っている。ガンバは三浦とレアンドロペレイラのみ連戦となる。

■おおまかな流れ
立ち上がりガンバが黒川の左サイドからの縦の突破や昌子のサイドチェンジでレッズゴールに迫るのに対しレッズは初手から繋ぐビルドアップを選択。8分には岩尾から縦に関根、前を向いて江坂、クロスに松崎がエリア内中央で合わせる決定機。13分にも敦樹から江坂へ縦が通り関根へスルーパス。ガンバのボール非保持は前からの規制もかからなければ軽く左右に振っただけでスライドも間に合っていないような守備だった。そのうえ奪ってからのポジトラもレッズのプレスがきつく収まる選手もいないため10分以降はほぼほぼレッズがボールを握り続けるワンサイドゲーム。相手を自陣に押し込んでボールを握り続けひたすら攻め続けるというリカルド監督がやりたいサッカーが体現できていた前半ではあった。

しかし22分に関根の決定機、24分に敦樹がシュートを打ったのを最後にレッズの攻撃はやがて沈黙。ガンバがレッズの猛攻を耐え凌いだことで後ろでしっかり構えた守備で十分守り切れる自信を与えてしまったように見えた。岩波や岩尾の無茶な縦パスや小泉や松崎のトラップミスも発生。引き続きレッズがボールを握り続けてはいたしゴール前にも迫ってはいたものの肝心のシュートは34分に関根が放ったミドル1本のみで0-0のまま前半は終了した。

レッズはHTに大畑を馬渡と交代。ガンバも柳澤と石毛、レアンドロペレイラを山見に交代。レッズは前半の終盤からもそうであったように長いボール多用したビルドアップを見せ繋ぐビルドアップは殆ど見られなくなる。ロングフィード自体はなかなか通らないもののセカンドボール争いには分があるレッズが前半に引き続きボールを握るもののシュートはなかなか打てない。

ボールは持てども打てないレッズとひたすら耐え忍ぶガンバの構図のまま膠着状態が続いた80分。岩尾が2枚目のイエローカードで退場になった直後失点。失点後レッズは柴戸と犬飼を投入するも効果もなく、盛り返すどころか1人少ないせいか逆に攻め込まれるシーンが増える。犬飼に至っては完全にパワープレー要員として前線に張り付かせたままにしたものの特に見せ場もなく試合終了。

■ポジティブ
監督が本来やりたいサッカーを体現できたこと。その時間帯を作れたこと。

■課題
迂闊なカードトラブルが多いこと。この試合はたまたま岩尾が退場になったものの敦樹もどうなっていたかわからない。特に今季のレッズはトランジションやセカンドボール争いでの接触プレーを厭わずガンガン体をぶつけている。中盤の選手はなおのこと。調べてみると警告を受けた選手をすぐに交代させずに引っ張るこの傾向は昨季からのようなので選手が気を付ける以外ない。監督の選手交代が遅いことも気になる。局面を打開できる選手が少ないせいで膠着状態で切れるカードがないことには同情するが選手交代でもたらされる効果は局面の打開だけでないことくらい監督は百も承知だろう。だがこの日のような事態は想定していただろうか。中盤の選手だけは豊富に人材が揃っているだけに交代はもう少し早くてもよかったのではないかと思ってしまう。

■気になった選手
江坂
前線に決定力の無い選手が多いのだからせめて江坂にはフィニッシュワークにもっと専念させたい。ビルドアップの出口になることはおろか中盤まで下りてビルドアップに参加するなど言語道断としたい。これで下りても絶対に奪われないならまだしも背中に張り付かれると案外簡単にロストするのだから控えるべき。周りの選手もそれが出来るように振る舞うべきだと思う。とにかく簡単に下りて来ないでもっと前で我慢して欲しい。
馬渡
この試合に限らずオフザボールでやや動きすぎのきらいがある。動いてる選手に合わせるのはボールの出し手、受け手双方に技術が求められるが受け手である馬渡本人のボールタッチに自身のスピードを許容できるほどの技量は無いように見受けられる。
宮本
ボール保持においては何も出来ずバックパスに終始した。80分以上も出場させたのはひとえに人材不足なだけ。フィジカル的にももう少し強さが欲しい。

2022年3月1日火曜日

2022 J1リーグ 第9節 ヴィッセル神戸戦

■スタメン
レッズは前節からの入れ替えは酒井宏樹が大畑に、犬飼がショルツに、安居が松崎に変更。神戸は前節から大崎が初瀬に、出場停止の扇原が郷家に、汰木がボージャンに変更。

■おおまかな流れ
勝っているのに退場して試合を壊した選手が本当に不快だったためいつも以上に内容薄目でさらりと振り返り。

4:30にペナルティエリアギリギリで松崎が大迫の足を踏んでしまいPK献上。キッカーは武藤。西川は体を右に倒しながら広げた右手でボールを弾くとバーに当たってエリア内に残る。槙野が誰より早く反応したが蹴り損じて岩波がクリア。しかし直後のスローインで初瀬が入れて大迫がコーナーフラッグ付近で初瀬に戻して山口に出すとワンタッチで岩波を抜いてエリア内ゴールラインギリギリで武藤へ。浮き球を右足でワントラップして左足ボレーを放つとループ状のシュートが左サイドネットに突き刺さり神戸が先制。

しかしレッズボールで再開した失点直後の11分に同点ゴールが生まれる。大畑ロングフィード、槙野跳ね返す、山口トラップ、柴戸がプレス、関根が奪って江坂とワンツーで裏へ抜けようとしてサンペールのタックル、ギリギリ倒されずにエリア内左で松崎へ、右足のタッチで体の左にボールを置いて左足でシュート、前川が指先でほんの少し触るものの右ポストを叩きボールはゴール内側へ吸い込まれ松崎移籍後初ゴール。

キックオフからずっとバタバタしていた展開がようやく落ち着き始めた矢先の18分。左CKをレッズが獲得しキッカーは馬渡。ニアに鋭く速いボールを蹴るとGK付近に張り付いていた明本が一気に回り込んで左足でフリック。ファーサイドに落ちたボールを柴戸が頭で合わせ逆転。

その後流れは神戸がボールを握る展開になるものの決定機もエリア内への進入回数もレッズが上回り神戸はむしろ押されていた。神戸のビルドアップはボージャンや大迫が下りてサンペールから直接縦パスが出るとボール前進ができていたが、サイドに展開した時に詰まってバックパスが目立っていた。レッズのラインが低いせいか敵陣には割とすんなり運べていたものの最後の崩しまではなかなか辿り着けていなかった。右サイドはマークの受け渡し含め松崎がしっかり蓋をしていたし、左サイドは大畑が若干怪しいものの関根と柴戸のカバーが効いて神戸の好きにはさせなかった。それとレッズのネガトラで目立っていたのがファウルになってでも相手を潰し切る勢いのファーストプレッシング。特に柴戸と敦樹は見てて冷や冷やするほど厳しく当たっていた。一方神戸のボール非保持はプレスには前線から行くもののパスコースを切るプレスができていないためレッズは縦にも横にもパスが通せていた。29分の決定機への一連の流れにはそれが凝縮されていた。

ただ40分を過ぎた前半終盤にはレッズにとって危険なシーンも複数回作られていた。神戸側に生まれた変化は槙野が前に出てボールを運ぶようになったこととそれに伴い酒井高徳が高い位置をとるようになったこと。関根が酒井高徳をかなり気にして酒井高徳へのプレスも行けず背後のパスコースも切れずにレッズの左サイドから前半ラスト5分だけで3度もエリア内への進入を許してしまった。それと大迫や武藤の相手をするには大畑では荷が重すぎで何度も裏を取られてしまった。

なんとか前半をしのぎ切りHTに大畑を酒井宏樹に交代したものの明本が暴力行為で一発退場し30分以上防戦一方になったレッズが最後まで耐えきれることなく槙野に同点弾を浴び試合終了。

■課題
昨季チーム内3位の出場時間を叩き出した主力中の主力が暴力行為を働いてしまったこと。幸いにして1試合の出場停止で済んだものの事はそう単純ではない。なぜなら1度やった選手は2度やる可能性も考慮しなければならないからだ。チーム内3位の出場時間を出したのに昨季は1発レッドどころか累積警告による出場停止すら無かった。では昨季と今季の違いは何かと言えばポジションだ。駒不足のせいで昨季は専らサイドバックとして出ていたがプレスの上手さや運動量やフィジカルの強さを買われ今季はようやく本来のポジションであるFWとして出ることになった。しかし前のポジションは後ろよりも相手の守備で厳しくしつこいプレスを受けることになりファウルをとってもらえないこともあってか遂に爆発してしまったということか。しかし今季まだたったの2試合目。スーパーカップを入れてもたったの3試合でこんなことになってしまった。明本が試合後どんな反省の弁を述べたとしても自分が指揮官の立場だったら正直なところ出場停止が明けても使えない、使いたくないのが本音。それほどに彼のやったことはあまりに重すぎる問題行為だったと言える。

2022年2月24日木曜日

【遠征メモ】初サンガスタジアム観戦


2022/2/19(土) リーグ戦第1節 アウェイ 京都サンガFC戦

2月18日(金)
夜に家を出て京都に前乗りし翌日ゆっくりスタジアムへ向かう計画。
東京から京都までのぞみ指定席。
ホテルに着いて風呂に入って就寝。

2月19日(土)
遠征先では真っ先にレンタサイクルを探し自転車で景色を楽しみながら観光がルーティーン。
当初雨予報のため断念していた自転車移動だが午前中は天気がもったため事前に調べておいたPiPPAを使うことに。
30分100円だが最低300円からでないとチャージできないのがトラップ。
2回チャージして2時間しか乗らなかったら200円が無駄になるということ。
例によってradiobagel、RABBIT BAGELS、LAND等のベーグル屋を巡回。
府立植物園あたりから鴨川に沿って自転車で南下したがサッカーボールを蹴っている子供を多く見かけた。

■席
3階バック上層指定席。
レプユニは持参していたが周りが完全に紫一色のため怖気づき未着用。
購入済みの今季のユニフォームも残念ながらまだ届いてなかった。

■飲食
くるみ
インディアンオムライス 600円

京都千丸 しゃかりき murasaki
しゃかりき定番ラーメン 座 780円

radiobagel
ココアクランベリー?
プレーン

RABBIT BAGELS
エブリシング 250円
アールグレイオレンジ 290円

LAND
シナモンレーズン 200円

京洋菓子司ジュヴァンセル
竹取物語 3240円

マールブランシュ
茶の菓 10枚入

2022年2月21日月曜日

2022 J1リーグ 第1節 京都サンガFC戦

■スタメン
レッズはスーパーカップに勝利した日からこの日の試合までに選手・スタッフ合わせ計10人もの感染者を出してしまった。

トップチーム選手・スタッフの新型コロナウイルス感染症 陽性判定のお知らせ | URAWA RED DIAMONDS OFFICIAL WEBSITE(2月15日)
トップチーム選手・スタッフの新型コロナウイルス感染症 陽性判定のお知らせ | URAWA RED DIAMONDS OFFICIAL WEBSITE(2月16日)
トップチーム選手・スタッフの新型コロナウイルス感染症 陽性判定のお知らせ | URAWA RED DIAMONDS OFFICIAL WEBSITE(2月17日)

それを受けてかユース所属の4選手を2種登録する緊急事態。さぞスタメンも弄らざるを得ないだろうと予想されたがスーパーカップ川崎戦との違いは岩尾が安居に、ショルツが犬飼に入れ替わったのみだった。しかしベンチには2種登録されたばかりの16歳早川が入っていることからも緊急事態には違いなかった。京都は新加入選手のうち上福元、メンデス、アピアタウィア、豊川の4人が早速スタメン入り。

■おおまかな流れ
戦前から「川崎戦とは違う展開になるだろう」と予想されていたがレッズにとってそれは悪い意味で的中した。キックオフから6分で相手にエリア内でのシュートを3本許してしまう。京都はビルドアップ時、メンデスと川崎あるいはメンデスとアピアタウィアの2人で開始する。これに対しレッズは江坂と安居あるいは江坂と明本の2人でプレスをかける。この時この日がプロデビュー戦となる安居のプレスがメンデスのパスコースを限定できていないことや背後の関根と連携した守備ができていないことが簡単に相手のボール前進を許した原因となった。1本目はタッチライン際に立つ麻田に関根の背後でボールを受けられ酒井が食いつき豊川が空いたスペースで受けニアの武富へマイナスクロス。2本目は大外の麻田を警戒した関根と柴戸の間に立つ松田への縦パスを入れられ豊川へ繋いで大外の麻田へ。この2本とも安居の付近を川崎がうろちょろしていて安居はそれを気にしてメンデスへ強く行けていないようにも見えた。5:50には馬渡のクリアを武田が頭で武富に繋いでショートカウンター。ウタカに繋がれエリア内中央で豊川のシュートは岩波がギリギリでブロック。

6分を過ぎたあたりでようやく流れがレッズに傾く。レッズのボール保持では主にロングフィードでビルドアップ省略からのセカンドボール争いでとにかく勝って手数をかけずに強引にでもシュートを打っていた。自陣での守備には迷いが見られたが敵陣では思い切った守備が出来ていたことがセカンドボール争いの勝因だった。トランジションが多発すると接触プレーが増えファウルで何度も試合が止まる。この時間帯シュート数を稼ぐことは出来たものの京都のように相手の守備網を崩す攻撃は見られなかった。これもまた本来レッズがやりたいサッカーではないはずだが相手の前からのプレスの激しさとこの日のレッズの2CBがそれに耐えられそうもなかったことからこのやり方を選んでいたものと思われる。

京都がこれに慣れ徐々にレッズがセカンドボールを拾えなくなってくると膠着状態になりそのまま前半終了。後半開始早々に自陣で相手のスローインから失点するレッズ。川崎を誰も止めることができずハーフスペースから斜めにエリア内に侵入され犬飼岩波酒井の3人が揃ってラインを下げさせられどフリーのウタカへラストパスで京都先制。

失点後のレッズに見られた変化はこの日初めて犬飼がボールを自ら運んだプレーが51:30に見られた。ギリギリではあったものの明本へ斜めのパスが通り深い位置からのクロスを江坂に合わせることができこの日初めてレッズの決定機が生まれた。しかしその後もレッズがボールを握り続けることが出来ないこともあってか安居を小泉に交代。直後に関根が右サイド深い位置で1人で粘って粘って抉ってマイナスクロスを供給し江坂が合わせるシーンも。小泉がキープして時間を作るとともにバックラインがようやく前に出始め徐々にレッズが相手ゴールに迫るシーンが出てくる。自陣深い位置まで相手を引き付けて逆サイドへ展開する擬似カウンターも見られた。しかし72分のこの日最大の決定機を生んだCKからの一連の波状攻撃でも決め切れず。

その後犬飼をショルツに、関根を松崎に、酒井を大畑に交代するも決定機は作れず、スーパーカップに勝って流れに乗りたかったレッズとしては手痛い開幕の敗戦となった。

■ポジティブ
途中出場して流れを変えられる選手がいない事を課題に挙げるチームはたまにあるがこの日の小泉は見事に流れを変えたこと。クラスターが発生したにもかかわらず試合を壊さない程度の戦力は確保できていることがわかったこと。この試合に臨むにあたって用意していた策の実行にあたり必要な球際の攻防やトランジションの集中力で負けなかったこと。

■課題
率直に言って京都は狙い通りの本来やりたいサッカーを90分やり通し逆にレッズはそれが出来たのは小泉が投入されて以降の29分だけだったのでは。ショルツにしろ小泉にしろコンディション不良でも怪我を押してのベンチ入りでもなく出ようと思えばスタメンで出れたように思えるパフォーマンスだった。(ショルツはたったの4分+AT5分だけだが)であれば頭からベストメンバーで挑むべきだったように思える。いつも決まったスカッド、ベストメンバーで試合に臨みメンバーの固定化が進むと研究・対策が立てられ易いことや疲労の蓄積やいざアクシデントが発生した時の代役不在など様々な弊害があることは分かるがチームに来て日が浅い選手に関しては後半途中から出させて徐々に経験を積ませるほうが得策だったように思える。

■気になった選手

小泉
ピッチ内の誰もが相手のプレスに苦しみボールをキープできずすぐに手放してしまう中で後半途中から入った小泉はチーム随一のキープ力を発揮しボールを落ち着かせた。マンオブザマッチ
江坂
きついマークを受けボールを受けても悉く潰されるか奪われるかしていた。代表招集やスーパーカップのパフォーマンスでさらに警戒が上がったことは言うまでもないのでもっと自覚して欲しい。
明本
小泉投入前のレッズの攻撃で一番勝機を見出せそうだったのが明本。枠内シュート、クロス、カットイン、西川からのロングフィードのターゲット役。この日も全てで魅せてくれた。


2022年2月15日火曜日

FUJIFILM SUPER CUP 2022 川崎フロンターレ戦

■スタメン
新戦力に注目が集まる中、レッズは岩尾と馬渡。川崎はチャナティップがいきなりスタメンに名を連ねた。

■おおまかな流れ
冒頭からお互いにかなり高い位置からプレスに行く。そのせいか開始2分くらいまではGKにバックパスしては長いボールを蹴ってロスト、というシーンがお互いに続く。2:20にようやくレッズのパスが3回以上続くシーンが見られる。どちらが主導権を握ったとも言い難い状況でいきなり先制点が生まれたのが6分。敵陣右でレッズのスローインから密集を酒井が抜け出し短いグラウンダークロスをニアの江坂に出すとダイレクトで右足を合わせて左のサイドネットに突き刺した。

先制しても手を緩めずプレスをかけ続けるレッズ。ハイプレスが効いてボールを握るレッズ。15分過ぎから川崎の反撃開始。明本江坂の2人の1stプレスに対し谷口車屋の2人で開始していたビルドアップを山根が下りて3人で開始することにより1stプレスをかいくぐることに成功。低い位置からビルドアップを開始することによりレッズの陣形を間延びさせることで中盤に生まれたスペースを活かしレッズを自陣に押し込むことに成功。19分にはついにCBから長いボールを前線に出すダイレクトプレーを解禁。車屋が蹴って家長が落としてダミアンがミドルシュートを放ちこの日川崎の最初のシュートになる。

31分を過ぎたあたりからレッズが盛り返す。ショートパスよりロングフィードより13分にも見られたような酒井の長距離独走持ち上がりが一番チームに推進力をもたらし相手ゴールに迫れていた。CKから江坂と敦樹の2発のシュートを放つレッズ。37分にも関根からマイナスニアクロスに敦樹が合わせてシュートを打つもミートせず。特にこの時間帯柴戸と岩尾がビルドアップで躍動。しつこいプレスに奪われず倒されずキープする柴戸の姿はベンチ外のはずの小泉を彷彿とさせられた。岩尾はショルツが前に出ればさりげなく下がってカバーしてロングフィードを中盤の関根へピタリ。不発に終わったものの裏抜けスルーパスを2本出せていた。その後互いに危険なシーンが生まれることなく前半終了。

HTに川崎はシミッチとマルシーニョを交代。後半は再び川崎のターン。川崎はビルドアップで浮き球のミドルパスを使って主にSBをタッチライン際に立たせてそこへ出すシーンが開始2分で2度見られた。カウンターでも前半より速攻を意識していた。この日レッズにとって一番危険なシーンが58:35のチャナティップから家長に出たファークロス。家長が折り返しを誤ったおかげで事なきを得たものの。

その後なかなか互いにシュートに至らず膠着状態が続く。前半より接触プレーが増え度々笛が吹かれ試合が止まる。交代カードを2枚使って川崎は選手を3人入れ替える。リードしているレッズにとっては時計を進められる有利な展開。試合を決定付ける追加点が生まれたのが79分。脇坂と入れ替わりで入った瀬古から明本がボールを奪い江坂、柴戸、敦樹と繋いですぐ前線へ走った明本目がけてロングフィードでカウンター。車屋と競りながら収めてターンし背負いながら少し我慢してから江坂へ横パス。右足のファーストタッチで谷口の背後にボールを置いて左足を振り抜き追加点。

直後に即交代カードを切り試合をクローズにかかるリカルド監督。敦樹と犬飼を交代し5バックにし明確に逃げ切りのメッセージを選手たちへ伝える。その後知念慶にエリア内でシュートを打たれる唯一危ないシーンを作られるも最後まで強度の落ちない柴戸の奮闘もあり2-0クリーンシートでレッズが勝利。実に3年半、10試合ぶりの川崎からの勝利となった。

■課題
勝利という結果をもたらしたことは最善だが
欲を言えば、我々はもう少しボールを持って主導権を握って、敵陣のゴール近くでプレーする時間を長くしたいと思っています。
と、試合後の監督コメントにもあるようにまだまだこれが理想ではないことは明らか。ただ目的は理想のサッカーをすることではなく勝つことにあるため理想のサッカーを捨ててでも勝つことを優先する姿が昨季に引き続き見れたことは素直に喜びたい。

■気になった選手
江坂
決して簡単ではなかったチャンスを見事ものにしこの日2ゴール。リーグ戦開幕にも間に合うかどうか微妙なユンカー不在というサポーターの不安を払拭して余りあるパフォーマンスにマンオブザマッチ
柴戸
元々出来る選手と確信していたので守備面は驚きはないものの、川崎を相手に堂々と前を向いてビルドアップを遂行しようとする姿に感動。ただ相変わらずの体を投げ出す危うい守備には今年も1年寿命を縮められそう。
馬渡
この日何度も発生した家長とのマッチアップで何度もバックパスをさせてやり直させた。いかなリカルドチルドレンと言えどJ2から来た30歳のSBがここまで出来るとは思っていなかった。


2022年2月8日火曜日

2022 J1リーグ 順位予想

以下順位予想するにあたって参考にしたデータ。

■ACL
過去10年分のACLに出場したクラブの前年と出場年の順位を比べたところ、前年以上の順位を維持できたのは38クラブ中6クラブのみで他は全て前年より順位を落としていた。 リーグ戦の上位3ないし4クラブが出場するのでACLに出場しながらその高い順位をキープすることがJリーグにおいてどれだけ難しいか、またACLがどれだけ負担になるかがよく分かる。 ただ、川崎はここ10年で5回出場し3回前年以上の順位を残したことは覚えておきたい。

■出場時間
移籍情報は順位予想をするうえで重要なデータだが加入した選手がフィットするかどうかは始まってみなければ誰にも分からない。 だがクラブを去った選手がどれだけ出場時間を稼いだかはそのシーズンにどれだけクラブに貢献したかを示す確かなデータだ。 そこで全18クラブの移籍情報からクラブを離れた選手の2021シーズンの合計出場時間を出してみた。
ただこのデータは昨季の予想にも使ったが合計時間トップだった福岡は8位、4位だった鳥栖は7位フィニッシュだったことからも必ずしも最終順位と直結するわけではない。 選手を引き抜かれる側のクラブは合計時間の上位に集まりやすく、その結果シーズン最終順位の下位にも集まりやすくなるということは確か。

■コロナ対策
どれだけ対策しても罹るときは罹る。これは事実だと思う。だが「2度あることは3度ある」を裏付けるように複数のクラブが急拡大の影響を受けるように感染者を出してしまっていることも事実。地域の問題等クラブとしてはどうすることもできない問題もあるかもしれない。しかしクラブとしてどうすることもできないということは今季も同じ問題は付きまとうということ。従ってコロナ3年目のJリーグの順位予想もこれまでのクラブごとの感染者のデータを考慮に入れる必要は十分にある。ここはかなり順位ダウンの要因とした。詳しくは次の項で。

■予想順位

1位 浦和レッズ
説明不要。サポーターとしての義務。

2位 川崎フロンターレ
26節まで無敗を誇った川崎がついに負けたのは有望な2人の若手が海外へ旅立ってほどなくだった。今季もその悩みは付きまとうかもしれないがさすがに若手はもう出し尽くした感もあるので昨季ほどの夏の戦力ダウンは恐れる必要もなさそう。

3位 ヴィッセル神戸
古橋ほどの選手を放出しても補って余りある大型補強で穴を埋めるどころかクラブ史上最高順位の3位でフィニッシュするくらいだし多少今オフの移籍がおとなしくたって余裕でサマーブーストをかけてくるのでは。

4位 FC東京
新監督を迎えるにあたって選手の入れ替わりが少ないことはマイナスに思えるが2019年のロティーナセレッソは浦和ほどの入れ替えが無くとも順位は上がった。

5位 鹿島アントラーズ
クラブ初の欧州からの監督招聘。未だ来日の目処立たずとのことでいきなり川崎、神戸との対戦も控え昨季同様序盤の躓きはあるかも。移籍情報に目を向けると3000分プレーヤーが1人、2000分プレーヤーが2人、1700分プレーヤーが1人と放出した人員は決して軽くない。鈴木の復帰は今オフ一番の朗報のはずだがこの4人の中にFWは1人もいない。

6位 横浜Fマリノス
ただでさえ移籍した前田の穴埋めには一抹の不安を抱えているというのに今月まさかのチアゴマルチンス移籍で戦力ダウンした感は否めない。先月だけで6人の選手の感染者を出していることも怖い。前任の監督が率いたシーズン前半よりも現監督が率いたシーズン後半のほうが勝率が悪いことも気になる。夏に的確な補強をすることには定評があるのでそこはプラス。

7位 京都サンガ
昇格組をこの位置に予想すること自体完全に暴挙と言っていい。それほど他クラブにネガティブな情報ばかり目に付くので消去法で押し出された結果と言える。京都にも唯一の不安があって昨季出場時間トップだった守備の要バイスの移籍。これさえ目をつぶればJ1で戦う準備はできたのでは。

8位 アビスパ福岡
昨季の福岡の成績を見ていて思うのは5月末から再開後の8月までの9試合で1勝しかできず5連敗を喫した夏の失速が気になる。リーグ戦上位のチームとの連戦がこの時期たまたま重なる、主力が夏に移籍、クラブ内の感染者発生、このどれにも当てはまらず。放出した選手の合計出場時間こそ抑えられたもののチームのトップスコアラーとアシスト数トップの選手を揃って放出していることもマイナス。

9位 清水エスパルス
例年の清水の順位を鑑みればこの位置で予想するのは大胆な予想と言える。37節レッズ戦で見せた平岡監督のサッカーが悪くなさそうに見えたことが一番の要因かも。移籍情報も可もなく不可もなくなので中位予想はアリかと。

10位 ガンバ大阪
開幕直後の3月にクラスターが発生し活動停止を余儀なくされ大きく出遅れることになってしまった。これが2021年のガンバの全て。その後の監督解任も一時降格圏に沈むことも含め何もかも。そして悪夢は繰り返されてしまった。今月頭に選手9人スタッフ3人が感染するクラスター発生。序盤は苦戦必至だし立て直しがシーズン中に間に合うかどうか。個人的にレッズに強奪して欲しいリスト1位にランクインしていた徳島から来た福岡には注目している。

11位 サンフレッチェ広島
新監督を迎えるにもかかわらず新加入選手はリーグ最少人数。入れ替わり少ない同士でもFC東京との差は監督招聘が国内か国外か。主力の離脱も特に無かったので現状維持するくらいの戦力は揃っていると思われる。

12位 北海道コンサドーレ札幌
チャナティップ、アンデルソンロペス、キムミンテ、ジェイの移籍は戦力ダウンに見えるので順位もダウンの予想。

13位 セレッソ大阪
8月26日に監督交代しリーグ戦の3分の1を小菊監督が率いた結果6勝7敗。改善したとも改悪したとも言い難い。2人のスコアラーと1人の守備の要がチームを離れたこともマイナス。4月に感染者を複数人出したことや移籍情報など柏と似た点が多い。

14位 名古屋グランパス
昨季の課題はその堅守ぶりと対照的な得点の少なさにあることは明白だが課題解決を任せられる新加入選手が見当たらない。非常に納得感のある監督交代ではあるが今月頭に選手7人、クラブスタッフ2人の感染者を出してしまったのは痛恨の極み。

15位 サガン鳥栖
夏にも冬にも、上位からも中位からも草刈場にされるのは例年と同じ。それにしても今オフは酷すぎる。最早チームを解体する勢いで引き抜かれまくった。監督が代わって選手もごっそり入れ替わったのは東京・名古屋とは対照的だがここまでのドラスティックな変化は内部昇格した監督にとってはむしろマイナスでは。

16位 湘南ベルマーレ
鳥栖と違いいつになく主力流出が無かったのが湘南。セレッソとほぼ同じタイミングで監督が交代しており前任者が稼いだ勝ち点が27試合で26。山口監督は11試合を指揮し勝ち点11。勝ち点ベースではほぼ互角。シーズン途中からの就任の方が難しいしこれだけで監督の実力も互角と見るには早計ではあるもののとてつもない伸びしろを秘めた名将中の名将の予感もしないので順位は据え置き。

17位 柏レイソル
前半4勝13敗、後半8勝8敗。夏に主力級が移籍してしまったにもかかわらずシーズン後半の方が勝率がいいことはプラス材料。4月だけで6人の感染者を出してしまったことが前半戦に響いた可能性も。しかし先月だけで5人の感染者を出してしまったことはマイナス。チームトップスコアラーと最多アシスト数を記録した選手が揃って移籍したこともマイナス。

18位 ジュビロ磐田
チームトップのゴール数とアシスト数を稼いだルキアンみたいな選手がJ1に引き抜かれるのは昇格組あるあるとは言え22ゴール8アシストの代わりはそうそう見つからないのでは。