2022年7月24日日曜日

2022 J1リーグ 第22節 清水エスパルス戦

■スタメン
レッズは前節からの入れ替えは大久保が関根に、大畑が明本に変更。清水は前節から片山が立田に変更したのみ。

■おおまかな流れ
オープニングでいきなり松尾のシュートがあり一気に主導権をレッズが握るかと思われたが3分にカウンター、5分に山原のミドル、6分にCKからこの日最も危ない場面を清水に作られ、立ち上がりは例によって押され気味のレッズ。3分や7分に見られたような最前線の神谷へのロングフィード1本でカウンターを狙う清水。

10分くらいから徐々にレッズの反撃開始。ビルドアップの要はショルツの持ち上がり。いつもはアドリブっぽい仕掛けでその先のパスが繋がらないがこの日は縦に出して松尾、裏に蹴って松尾と度々松尾にボールが入る。ポゼッションは回復するも圧倒的優勢というわけでもなく崩しの局面でなかなかシュートを打つまで至らないレッズ。お互いに決定機もピンチもないまま膠着状態が続く。

レッズにとってこの日最初の決定機が訪れたのは飲水タイム明けの31分。CKのこぼれ球を関根がダイレクトで合わせたが6分に西川が見せたビッグセーブに負けじと権田もここでビッグセーブ。ただここで見せた関根のプレーが伏線になったかのように41分に抑えのきいたグラウンダーのシュートを権田にファンブルさせこぼれ球を松尾が押し込みレッズが先制に成功。

後半1点リードのレッズは受けに回ることもなく積極的に前に出る。1点リードしてることもあり押し込んでからじっくり時間を使って確実なシュートチャンスを狙うレッズに対し、カウンターに全てを賭け多少強引でもミドルを放つ清水。61分に交代カードを切って2枚替えしてからは清水も押し込んでじっくり崩そうと試みる。清水はこの時間帯、SBを高い位置に押し上げレッズのブロックの外側に立たせて内のレーンとのコンビネーションや早めにアーリークロスを放り込むプレーでレッズゴールに迫る。前からのプレスがハマらなくなり押し込まれる時間が増えるレッズ。

70分にようやくこの日最初の交代カードを切るレッズ。すると前節同様またも投入直後の江坂のクロスから追加点が生まれる。左のスローインから後ろまで戻し逆サイドへ展開し外→内→外→内→外とテンポよく回しながら前進し最後は江坂のクロスに明本が飛び込み相手のオウンゴールを誘発し追加点。

76分に敦樹が白崎を倒しFKを献上すると山原が直接決めて清水に1点返される。その後レッズは交代でDFを増やしピッチにはっきりと残り時間の使い方を共有しなんとか逃げ切り成功。

■ポジティブ
前節同様交代策がハマり交代直後に追加点が生まれたこと。

■課題
何度かあった追加点のチャンスを決め切れなかったこと。1点返されてからの逃げ切り方、時間の使い方の拙さ、采配。

■気になった選手
関根
先制点の伏線になったシュートと先制点のきっかけになったシュートはどちらも素晴らしかったがそれ以外にも個人的に目を引いたのは間でボールを受けるプレー。そこからターンして前を向きドリブルなり縦パスなりでボールを前進させることに成功していた。惜しむらくはリードしてからの高い位置での1on1で何も出来なかったことと90分最後までやれなかったこと。あと69分にあったモーベルグのファークロスに反応できなかったこと。とは言え守備面でのポカも見られずむしろ素早い帰陣も高評価のためマンオブザマッチ
小泉
前プレスは引き続き精力的に励んでいて相手のビルドアップを阻害していた。松尾や関根が後ろから縦パスを引き出した時に次のボールを受けていたのが小泉で「居て欲しい位置に居る」姿に昨季の頼り切りなレッズを思い出した。
松尾
前線から下りて間で受ける動きも出来れば、前線で我慢して裏抜けを狙う動きも出来るし「CFWじゃない」と言われる選手だが板についてきたようにも見える。サイドに流れた時しっかり体を内に向けてクロスを入れるので密かに酒井や明本よりもクロスは上手いのではないかと睨んでいる。

2022年7月17日日曜日

2022 J1リーグ 第21節 FC東京戦

■スタメン
レッズは前節からの入れ替えは関根が大畑に、明本を小泉に変更。東京は前節から紺野が渡邊に、アダイウトンがディエゴに変更。

■おおまかな流れ
立ち上がりはお互いに長いボールを蹴り合って落ち着かない。東京は奪ったらディエゴ、松木、渡邊らを目がけて早めに縦に出す。ショルツや岩尾のミスでなかなか流れを掴めなかったレッズだが、ボールを失ってからの守備への切り替えは実に素早く序盤から度々ショートカウンター発動。相手のミスを誘うプレスを小泉が前からかけていて主に岩尾、敦樹が何度もボールを奪っていた。

8分にレッズがこの日1本目の繋ぐビルドアップからの酒井のシュートを見せて以降は試合はレッズの流れに。10分に敦樹のエリア内シュート、直後のCKで大久保のファークロスにショルツが合わせるシーンも。立て続けに決定機を作る。

すると飲水タイム明け程なくレッズに先制点。松尾と岩尾の前プレスで相手のビルドアップのミスを誘い超ショートカウンターからモーベルグが押し込んだ。失点後の東京はビルドアップが少し改善し後ろから繋いで前線まで運ぶことに成功もしたがシュートは直接FKで狙った一本にとどまる。

HTに東京は失点に絡んだ梶浦を紺野に交代。前半から引き続き前からプレスをかけてミスを誘って中盤で奪うレッズ。後半開始5分で早くも追加点。押し込んでから後ろに戻してやり直そうと岩尾から敦樹にボールが渡るとバイタルからグラウンダーの左足ミドルをゴール右隅に対角に突き刺した。

2点のビハインドを背負いようやく敵陣からプレスを開始する東京。56分にアクシデントが発生しディエゴと山下が交代。66分にはレッズも松尾、小泉、大畑を下げて江坂、明本、馬渡を投入する3枚替え。東京も長友と東を下げて鈴木と品田を投入。

すると前半同様飲水タイム直後にまたも追加点。馬渡のスローインを受けた江坂がクリア気味に逆サイドへ蹴ると右ペナ脇で収めたモーベルグが佳史扶を前に例のまたぎフェイントを入れながらカットインしシュートコースを作るように左へ持ち出す。佳史扶を引き付けてできたスペースに縦に出してオーバーラップした江坂がダイレクトで大久保へショートパス。大久保もダイレクトで右足を合わせニアサイドに突き刺し3点目。

小泉と松尾が下がっても明本と江坂が引き続き前から厳しくプレスをかけ続けたこともあってその後も主導権はレッズが握り続け何度もゴール前に迫った。その後岩波と知念、大久保と関根が交代し交代カードを全て使い切る。強引にミドルを打たれるシーンもあったものの西川のセービングもあり見事クリーンシートで勝利。

■ポジティブ
複数得点とクリーンシートで勝てたこと。3ゴール全てが流れの中からのゴールだったこと。最後まで相手に流れを渡さずに追撃の手を緩めなかったこと。

■課題
後ろから細かく繋ぐビルドアップが殆ど無かったこと。

■気になった選手
小泉
序盤から再三効果的なプレスでボールを奪ったり遅らせて時間を作ることが出来ていた。小泉のプレスの良いところはポジションなど関係ないと言わんばかりに遠い位置からかっ飛んできてボールホルダーへ容赦ないプレスを敢行するところ。ただボールを持った時にじっくり出し所を選びたがる性分は相手がラフなタックルばかりだと自分の体を痛める一方なのでたまにはフリックなんかも織り交ぜて適度に相手のプレスを無力化して欲しい。最悪審判によってはファウルをとらない場合もあるのだから。
酒井
ミスをした際にプロ1年目のルーキーのように足を止めて何かリアクションしているのはいかがなものか。アウトオブプレーになっていれば天を仰ぐくらいは誰にでもあるが続いているにもかかわらず膝をついて足を止めた48分のシーンはさすがに目を疑った。誰かと接触して怪我でもしたのかと一瞬心配した。
伊藤敦樹
松尾、小泉が前から厳しくプレスをかけて相手が強引に出した縦パスを岩尾や敦樹が奪う。ボール非保持、守備への切り替えの両局面においてこの日のレッズは計画的に組織的に守備が出来ていた。敦樹はいい守備に加えポジトラの局面でも度々前線に顔を出しシュートを3本放ち最高の時間帯に追加点をもたらした。マンオブザマッチ

2022年7月14日木曜日

2022 J1リーグ 第20節 京都サンガ戦

■スタメン
レッズは前節からの入れ替えは大畑が関根に、宮本が酒井に、柴戸が敦樹に、小泉をモーベルグに、江坂を松尾に変更。京都は前節からレッズからレンタル移籍中の荻原がメンデスに変更したのみ。

■おおまかな流れ
キックオフ直後にエリア内までモーベルグが持ち込むチャンスがあったものの立ち上がりは京都優勢。レッズはプレスがはまらず京都のボール前進に規制をかけられず再三自陣深くに押し込まれる。6分に明本が倒されFKを獲得するとエリア内で岩波の顔にメンデスの手が当たりPK獲得。モーベルグが決めて先制に成功したが先制後も引き続きボールは京都が握り流れは変わらない。序盤から何度もレッズの左サイドを突破される場面が目に付く。京都はビルドアップでも崩しの局面でも武富がキーになって目立っていたがこれをレッズが捕まえ切れなかったこと、関根がスタメンから初のSBを任されたこと、岩尾や敦樹が相手の縦を切れなかったことなどが京都にボールを運ばれる原因になっていた。

ところがそんな劣勢の中でも決定機はレッズが作りCKから酒井の右足シュート、松尾の抜け出しからPK獲得等立て続けに追加点のチャンスを作る。どちらも追加点にはならなかったが。前半ラスト10分だけは劣勢からイーブンくらいまで持ち直した。

HTにレッズは明本と江坂を交代。おそらくはハマらない前からのプレスを改善したかったものと思われるがいきなりその効果が出たわけではないものの後半立ち上がりはレッズが京都を押し込み攻め続ける。ところが1本のCKを与えると武富にニアで合わせられあっさり同点を許すと、その直後ビルドアップのミスを突かれあっという間に逆転された。そのまた僅か3分後に岩尾のクイックリスタートから前線に長いボールを出すとモーベルグが収めて左足を振り抜き同点。

振り出しに戻って残り30分はシュート数も上回り決定機も3度作ったことからもレッズ優勢。5人の交代枠を全て使い果たした京都に対しレッズは85分に関根を大畑に交代し計2人代えただけで終わった。この日はかなり涼しく殆どの選手が最後まで走れていたため決してベンチに代えられる選手がいなかったというわけではなかった。

■ポジティブ
繋ぐことに固執せず割り切った攻撃でゴール前に迫り決定機を作れていたこと。

■課題
2回目のPK、ラスト30分で何度も作った決定機。これらを活かせず勝ち切れなかったこと。

■気になった選手
明本
キックオフ直後のモーベルグに繋いだポスト、先制点になったFKを獲得したシーン、前半終了間際のロングフィードを収めたトラップ。この日の明本は前線のターゲットとしてボールを引き出し、収めて何度も決定機を演出していた。
松尾
ラストパスを引き出すポジショニングにしろ抜け出すタイミングにしろ非凡なスキルを持っているのは間違いない。今のプレーを続けていれば歓喜の瞬間はそう遠くないのかもしれないが怪我人の復帰や海外からの新戦力が加わっても今と同じ出場機会を得られるかどうかはわからない。出番があるうちに結果を出さなければならないことは誰より本人が理解しているはず。
モーベルグ
ボール保持時、カウンター時、モーベルグは常にスプリントして右サイドの高い位置をとってくれたのはボールホルダーからすれば非常にありがたい存在だったはず。しかも出し手の精度の高さもあってか非常によく収まって何度もエリア内への進入に成功してチャンスメイクしていた。

2022年7月1日金曜日

2022 J1リーグ 第18節 ヴィッセル神戸戦

■スタメン
レッズは前節からの入れ替えは関根がユンカーに、敦樹が柴戸に変更。神戸は前節から菊池が汰木に、郷家が大迫に変更。

■おおまかな流れ
15節セレッソ戦を最後に戦列を離れていたユンカーの復帰戦となった試合だが開始5分で早々に負傷交代。キックオフ直後の最初のシュート後に既に右脚付け根部分を気にしていた。

立ち上がりレッズはいきなりアクシデントに見舞われたせいか8分までに計3本のシュートを相手に打たれやや劣勢。8分以降は敵陣でのプレータイムを伸ばし盛り返すがシュート数はあまり稼げず決定機もゼロ。レッズはいつものサッカーと比べると少し縦に急いでいたように見えた。いつもならボールを奪ったら一度戻してやり直そうとする場面でも強引に縦に出していた。

一方神戸はレッズの前からのプレスが効いていたせいか後ろから繋ぐビルドアップはあまり見せられずシンプルに蹴っ飛ばすボール多め。ターゲットは大迫か武藤。ただ相手の前からのプレスに苦しんだのはレッズも同じでビルドアップで西川まで戻して蹴っ飛ばしてボールロストといった場面が複数回見られた。自陣での不用意なファウルで何度か相手にFKを献上すると19分から流れは神戸に傾く。この時間帯レッズにとって最も危険なプレーを見せたのは汰木。幅を取って大外で受けてからのカットイン。対面の相手を抜き切らずに強引に入れるクロス。どちらもレッズはギリギリで耐えてなんとか跳ね返すことに成功していたが失点してもおかしくない危険な場面は何度か見られた。終盤に2度ほどカウンターを見せ神戸ゴールに迫ったもののトータルで見ればホームチームの前半で終わった。

レッズはHTに宮本と酒井が交代。すると後半開始早々何度も酒井がボール保持での違いを見せる。ビルドアップでは持ち前の推進力を発揮し崩しの局面では大久保と息の合った連携で神戸ゴールに迫った。他にも柴戸や大久保のポジショニング、岩尾の攻撃参加等もあり後半は45分通してほぼレッズの時間だった。神戸は汰木を下げたことや交代で出た選手が2度も同じ位置でファウルしFKを与えたことが結果的に勝敗を分けたように思える。結局はAT突入直前にその2度目のFKをモーベルグが見事叩き込みウノゼロでレッズが勝利した。

■ポジティブ
交代で入った選手が結果を出したこと。90分を通して守備で集中を切らさなかったこと。

■課題
流れの中からゴールを奪えなかったこと。

■気になった選手
岩波
前半序盤立て続けにミスを連発。クリアがどれもこれも中途半端で自陣で相手に直接収まってしまっていた。そしてファーストチョイスが「安全第一」過ぎて残念。ただ32分に見せた大迫を相手にシュートを打たせずクリアしたシーンには痺れた。
大久保
仕掛ける姿にばかり注目されがちだがボールを引き出すポジショニングが秀逸。ターンも上手い。そして最後まで衰えない運動量。43分に自ら作った決定機。走行距離、スプリント数両チーム含めてNo.1。今季初の90分フル出場。後半ショルツが珍しく主審に食ってかかりそうになった際にもなだめ役を買って出ていたのもグッド。マンオブザマッチ
明本
歪な編成のせいで何度もポジションチェンジが発生し便利屋として振り回される明本には同情するが栃木時代は1年ガッツリと務めたCFのポジションなのだからもう少しらしさを見せてほしい。あのポジションでシュート数ゼロはいかがなものか。それこそ往年の大迫のようなラフに蹴っ飛ばしたボールをレイオフさせて江坂あたりにフリーでシュートさせるのが正しい明本の使い方だと思うのだが裏抜けばかりさせようとしていた。つまり周りが彼の活かし方をわかっていない面もある。