2021年9月20日月曜日

今の浦和レッズは本当に堅守かどうか

J1リーグ戦は29節を終え残り9試合になった。浦和レッズは15勝8敗6分け勝ち点51で6位。直近5勝1分けで6試合負け無し。しかも天皇杯、ルヴァンカップ共に勝ち残っている。絶好調と言っていい。だからこそあえて警鐘を鳴らしておきたい。リーグ戦を4分の3終えたレッズが本当の意味で試されるのはここからだということを。

今のレッズ好調の要因はリーグ戦直近6試合で8得点1失点のスコアを見て分かる通り守備にあると言っていい。スコアだけを見れば堅守と言って差し支えない守備力だが本当に堅守かどうかはここからの9試合の結果を見てから判断するべき理由が以下の表になる。


この表は今の順位を得点数で並び変えたものだが、レッズは今季ここまでの得点数上位5クラブとの試合をまるっと残している。今季ここまで得点を稼げていないクラブ相手なら最悪引き分けでもクリーンシートで終えることは可能かもしれないが、順位こそレッズより下であっても40得点以上稼いでいる今季得点数上位5クラブを相手にそれができるかどうか。真の堅守が試されるとはそういう意味になる。事実、得点数6位の鳥栖には1失点。ルヴァンカップでは得点数1位の川崎相手に2戦合わせて4失点している。無論目的は勝つことであり無失点に抑えることではないためどちらも目的は達成できていることを思えば悲観的になる必要はない。

ちなみにレッズは33得点で12位だが、6位から10位までの5クラブのうち札幌以外の4クラブに勝っていること。うち3試合がクリーンシートであることもポジティブな材料と言える。得点数で言うと昨日が6位のセレッソ、次節が5位の東京、さらにその次が4位の神戸、11月には川崎、鹿島、マリノスと上位3クラブとの3連戦が組まれているのはまるでこうなることを見越して組んだかのような日程で、日程くんの調整力には恐れ入るばかり。

個人的な一番の楽しみは今のレッズと全く同じ33得点で得点数11位を記録しながら3位につけている名古屋との試合。しかもこれがなんと最終節というのもこれまた何の因果か。失点数は名古屋が22でレッズが26の4点差。勝ち点にしてたったの2差。東欧から加入した新戦力は公式戦9試合7ゴールでブレイク中と何から何まで親近感を覚える成績ぶり。来季のACL出場権を賭けて争うことにでもなった日には万難を排して最終節は現地参戦したいが果たして世情が許すかどうか。もっともコロナ収束が見込めなければACLに出場できても楽しさ半分以下なのでやはり一日でも早いコロナ収束を願うのが先か。

2021年7月20日火曜日

2021 J1リーグ 第19節 柏レイソル戦

■スタメン
レッズは前節からの入れ替えは鈴木が西川に、西が宇賀神に、明本が山中に、槙野がトーマスデンに、金子が柴戸に、大久保が汰木に、田中が関根に、小泉が武藤に、ユンカーが興梠に変更と大幅なターンオーバー。柏は前節から仲間が瀬川に、神谷がイッペイに変更。

■おおまかな流れ
立ち上がりから目まぐるしく攻守が切り替わるオープンな展開。開始10分までに計3本のシュートを放った柏が序盤の主導権を握ったように捉えられるかもしれないが個人的には五分の序盤だと感じた。柏の3本のシュートは枠内は最初の1本だけであとは枠外。打った位置も全てエリア外から強引に打ったシュートだった。
ではレッズの攻撃はどうだったかというと、まず7分までに2度のシュートチャンスを作った。結局その2度のチャンスでどちらも打つ前に潰されてはいるがどちらも柏のDFラインの裏に抜け出しエリア内でチャンスメイクできていたことが大きい。とは言え序盤に明確に相手を崩した場面はこの2回きりなのでやはり一進一退の五分と見るのが妥当か。

柏は長いボールを蹴っ飛ばすにしろ前線から下りて受けに来させるにしろ最初の選択肢がまずアンジェロッティにボールを預けることがあった。ルヴァンカップGS5節に柏との試合でアンジェロッティにやられっ放しだったせいかこの日のレッズは彼への警戒心が異常に高かった。後ろ向きでボールを受けようものなら絶対に前を向かせないよう背後にへばりつき、トラップをミスろうものならすかさずボールをかっさらい、放り込みには気合と根性で悉く跳ね返していた。アンジェロッティを抜きにしてもこの日のレッズのネガトラは即時奪回もディレイ対応も上手く機能していた。

10分以降は互いにシュートを打てない時間が続く。飲水タイムまでの13分間で3度のエリア内進入と2本のクロスと1本の強引な枠外ミドルを打たれているためここは柏の時間になった。

飲水タイム後の27分に興梠の裏抜け成功からヒールで汰木がダイレクトで合わせて枠外シュート。これを皮切りにレッズの反撃開始。38分に敦樹のロングカウンターからシュート。飲水タイム後に改善したのは守備。圧倒的に敵陣でボールを奪える回数が増えた。ただそこから速攻で相手ゴールに迫ろうという意思は感じられず少し勿体ない気も。43分に山中のクロスから武藤のミートしないシュートを最後に前半終了までの間柏に押し込まれる時間になるがシュートは打たせず。

後半立ち上がりにトーマスデンのフィードから興梠が裏抜けに成功し枠外シュートを放ったのを最後に特に見せ場なく武藤と共に60分にベンチに下がる。すると直後のユンカーのエリア内でのシュートに続き3分後には見事レッズが先制に成功する。先制ゴールの一連の流れにユンカーが直接かかわったわけではないが周りの選手の攻撃へのスイッチ、ギアの上げ方が選手交代後目に見えて変わったのがはっきり見て取れた。

その後飲水タイムを経ても交代カードを切っても流れが柏に傾くこともなく、76分にトーマスデンによる自作自演のピンチとなる瀬川のシュートを辛うじて止めると80分にCKから柴戸の追加点が決まりその後も流れが変わることなく試合終了。

■ポジティブ
前節から9人入れ替えのターンオーバーで完勝できたこと。惜しむらくはいつもは控えに甘んじているサブ組がもっと結果を残せれば良かったがそれができたのは宇賀神だけだった。

■課題
相手のセットプレーで簡単にゴール方向へボールを飛ばされたシーンが複数回見られたこと。何度かあった決定機をものにできず試合を難しくしたこと。特に後者は監督の悩みの種として今後もしばらくつきまといそう。

■気になった選手
トーマスデン
ビルドアップのミスが多過ぎる。前節ビルドアップのミスが即失点につながるシーンをその目で見ていながら臆さず強気で長い縦の楔を入れていく姿勢は買いたいが成功率はもっと上げるべき。少なくとも「今そのチャレンジ必要か?」という状況を見た判断力は早急に身に付けなければならない。ただ守備面では76分に中途半端にクリアしたボールを収められてシュートを打たれたシーン以外は致命的なミスもなく最後まで集中してしつこく厳しい守備対応を見せた。
興梠
ひたすら裏抜けを狙って走り出すプレーは素晴らしい。だが持ち場を離れてボールを受けに下りて来る回数が相変わらず多いし、受けに来たからボールを出したのにもかかわらずワンタッチバックパスをミスして奪われているのではチームにとって不利益しかもたらさない存在となってしまいかねない。
山中
先制点をアシストした関根へクロスを上げたのが山中。追加点のCKを蹴ったのも山中と攻撃面で結果を残した山中だがどちらかと言えば相手の長いボールやクロスを跳ね返したりプレスバックでボールを奪うシーン等、守備面での貢献が目に付いた。
伊藤敦樹
トーマスデンと同じか或いはそれ以上にミスが多かった。特に後半のミスが多かったのは疲労によるものかも。
汰木
前半攻撃面でいいプレーを見せていて決定機も訪れていただけに結果を残せなかったことだけが悔やまれる。


2021年7月5日月曜日

2021 J1リーグ 第18節 湘南ベルマーレ戦

■スタメン
レッズは前節からの入れ替えは山中が大久保に、関根が田中に、武田が敦樹に、柴戸が金子に変更。湘南は前節から富井が谷に、岡本が畑に、中村が田中に、町野がタリクに変更。

■おおまかな流れ
立ち上がりから終始ボールも主導権もレッズが握る展開。後ろで回す時間がやたらと長い数字だけのポゼッションではなくしっかりと敵陣内でのパス数など内容を伴うポゼッションで湘南を圧倒。ゴール自体の再現性は乏しいものの、開始8分で先制点という形で実を結ぶのも必然だった。先制点のシーンとその5分前のシーンでどちらも重要な動きを見せたのが小泉。左のハーフレーンで浮いて一度目は大久保にワンタッチで縦に、二度目は明本に縦のスペースに出してクロスを上げさせている。
湘南は序盤から目立ったのがファウル。レッズの先制点も田中達也へのファウル後のFKのセカンドボールを拾ったところから生まれている。

先制後少し相手にボールを持たれる時間になるがシュートは打たせない。むしろ気になったのはレッズのボール保持。飲水タイムまでに何度か後方からのつなぐビルドアップが見れたがどれもかなり危なっかしかった。体力と走力を頼みに前からの、特にバックパスに対しては容赦ない前プレスをガンガンかけてきた湘南に対しレッズのビルドアップは出口まで辿り着けずに苦戦した。
そして21分にあわやの事故になりかけたシーンを見せた金子のミスから26分に同点弾を許してしまう。この金子のパスミスになってしまったシーン、最初に槙野に出そうとしているが田中聡が遠目から槙野へプレスをかける素振りを見せているだけで金子は槙野へのパスを諦めて岩波へ方向転換している。落ち着いて見えていれば岩波とウェリントンとの距離のほうが近いことに気付けたはずだが。理想を言えば金子自身へのプレスをかけに来たタリクをかわして縦に出すことが出来ればそれが一番だがそれが無理でも鈴木へ戻すことも選択肢としてはあったはずだが結局この時は一番リスキーな選択をしてしまった。

その後カウンターにロングフィードにクロスと複数のパターンで相手ゴールへ迫り決定機も作りシュートも打てていたがゴールは奪えず前半終了。
後半も立ち上がりからレッズがボールを握り攻め立てていたが53分にカウンターから勝ち越しゴールを奪う。その後もユンカーのポスト直撃弾や大久保のカットインからのシュートなど攻め手を緩めないレッズ。

後半の飲水タイム直後の69分に畑のアーリークロスからウェリントンが中で合わせて同点ゴールを奪われる。それまで右のWBを務めていたはずの畑が61分に町野と名古が交代で入ったあたりから逆サイドの高橋と入れ替わっていた。右にいる間、対応する明本は畑との1on1が何度も発生しほぼ完封していたのだがこの失点シーンでの西の対応は何の制限もかけられないままクロスを入れさせてしまった。飛び出して触れなかった鈴木や競っていない槙野も同様に残念だったが。
その後レッズがボールを握り攻め続ける時間が続いていたが86分、またも後方からのビルドアップのミスによるボールロストから逆転弾を許す。その後結局シュートを打つことはできず試合終了のホイッスル。

■ポジティブ
内容の伴ったボール保持ができたこと。

■課題
同点直前に左右のWBが入れ替わった畑と高橋。一方天皇杯とルヴァンカップを経て久々にリーグ戦のスタメンに抜擢されたが失点の引き鉄になるミスを犯した金子。奇しくも監督の采配に差が出た試合だった。確かにカップ戦での金子のパフォーマンスは悪くなかったがこの湘南を相手にスタメン起用するのは相応しかったのかどうか。カップ戦の2試合で金子のプレス耐性は試されていたのかどうか。GKからのビルドアップで湘南の前プレスを事前に想定できていたのかどうか。

■気になった選手
大久保
3週間ぶりのリーグ戦ということで2人の選手がその間の天皇杯とルヴァンカップを経てこの試合に抜擢されていた。1人は金子でもう1人がこの大久保だが前半の大久保は何も持ち味を発揮できなかった。後半多少改善され逆サイドの田中よりも長い時間ピッチに残ることになったが結果を残せたわけではない。
明本
この日何度も発生した畑との1on1では42分に許したマイナスクロスたった1本を除いてあとは畑を完封。ボール保持でも決してサボらず上下動を繰り返し先制点の起点になるクロスも入れた。
ユンカー
この日も確たる結果を残したチームトップスコアラーが問答無用のマンオブザマッチ
小泉
中間ポジションをとって素早く縦。少し運んでパスコースを作って縦。針の穴を通すスルーパス。この日の小泉はあらゆる攻撃のスイッチ役になり存分にタクトを振るった。ユンカーに次ぐマンオブザマッチ


2021年6月20日日曜日

夏場にゴール数が減った外国人ストライカーがいるか調べてみた

浦和レッズに移籍して以降ハイペースでゴールを量産しJリーグを席巻しているキャスパー・ユンカー選手。あまりにも絶好調過ぎるからか彼に対する心配のコメントで最近やたらと見かけるのが「日本の夏ガー」「暑さへの慣れガー」といった文言。涼しい北欧出身の選手だからアフリカ人でもキツイと言われる日本の夏に適応できるか?という疑問は確かにわかる。しかしここまで心配されるというのは「北欧の選手は暑さに弱そう」という短絡的な思い込みだけではなく、夏場に大きく調子を落とした具体的な過去の選手名をJリーグサポーターは思い浮かべているのかもしれない。何しろ筆者は2012年以降のJリーグしか知らないのでそういう選手が過去にいたとしても不思議ではない。そこでJリーグに来た外国人選手を調べてみることにした。

全外国人選手をしらみ潰しに調べるのは無理なので
・北欧から来た選手
・J草創期と今とでは同じ夏場でも気温差があるので2000年以降
・J1でシーズン11ゴール以上を記録
以上に絞って調査開始。
なおソースは全てJリーグデータサイト。Jリーグデータサイトには試合ごとの気温が載っているため気温ごとの出場時間とゴール数をグラフにした。

まずはノルウェーのフローデ・ヨンセン。計13ゴールを挙げた2007年の名古屋グランパスでの気温ごとのゴール数。

計12ゴールを挙げた翌年のグラフ。

少なくともヨンセンに関しては暑くても涼しくても点が取れている。
さすがにサンプルが1人では説得材料として弱いので本当は当初シーズン12ゴール以上としていた条件を11ゴールにしてギリギリひっかかったスウェーデンのシモヴィッチの場合。計11ゴールを挙げた2016年のこれまた名古屋の記録。

シモヴィッチに関しては気温が低いほど点が取れているのが見て取れる。北欧出身で11ゴール以上縛りだとこの2人のみになるので欧州の中でも比較的涼しいイングランドから来たジェイも調べてみた。計14ゴールを挙げた2016年のジュビロ磐田での記録。

ヨンセン同様暑くても涼しくても点が取れている。出場時間当たりのゴール数では若干気温が低い方がゴールが増える傾向にはあるが。
念のため北欧縛りを除外し2人のブラジル人でも調べてみた。まずは2005年にガンバ大阪で計33ゴールを挙げたアラウージョの場合。

気温が高くなるほどゴールを量産している。もう一人のブラジル人は2018年の名古屋のジョーの場合。

31℃以上の試合で2度もハットトリックを達成しているジョー個人の成績もさることながら、この年は30℃越えの試合が6度もある地獄の猛暑シーズンだった。ちなみにこの2人を選んだ理由は年間33ゴールが最多記録だったことと、年間最多ゴール数を順に並べて割と最近のデータを選んだ場合2018年のデータが相応しかったため。昨シーズンはクラブ数が20だったり大幅な中断期間や降格なし等イレギュラーが多すぎるため通算28ゴールのオルンガはあえて除外。

「気温だけじゃなくて湿度も考慮に入れるべきだろ」とか「日本人外国人関係なく調べるべきじゃね?」とかそういう感想を抱く人もいそうな調査内容であることは認めるが、結論としては「夏場に極端にゴールが減った外国人ストライカーなど存在しなかった」という結論に至った。

そもそもユンカーのリーグデビュー戦となった5月9日の仙台戦は(レッズの)今季最高気温の27.6℃で、つい10日ほど前の天皇杯富山戦は26.2℃でユンカーはどちらもゴールを挙げている。なので正直なところ暑さへの不安視をするくらいなら他にもっと懸念事項はあるのではないかというのが個人的な感想になる。このまま使い詰めでもコンディションは落ちないか、休ませるならどのタイミングか、休ませた時にユンカーが来る前までのサッカーを表現できるか(既にユンカーに依存しすぎてはいないか)といった懸念になる。しかしそれらの懸念を吹き飛ばしてくれそうなさらなる大型補強も既に発表されている。いちサポーターとしては今の浦和レッズには大きな期待しかない。

2021年6月9日水曜日

2021 J1リーグ 第17節 名古屋グランパス戦

■スタメン
レッズは前節からの入れ替えは汰木が山中に、田中が関根に、敦樹が武田に変更。名古屋は前節から相馬が長澤に、齋藤が山崎に変更。

■おおまかな流れ
立ち上がりこそ五分の内容で攻め合っていたものの7分ぐらいから名古屋が確実にゴールに迫り始める。
名古屋はまずビルドアップにおいて蹴っ飛ばすのをやめて後方から丁寧につなぐことを選択。起点は左SB吉田。名古屋は柿谷山崎の2トップの関係が非常に良く7分と17分の決定機はどちらも2人の連携によって演出されていた。ただし、どちらも鈴木のファインセーブによって失点を阻止。
名古屋はネガトラにおいてもハマり始めそこからのショートカウンターでゴール前までボールを運ばれていた。特に米本の出足の速さが光っていた。
名古屋は守備も前からのプレスがハマりレッズは再三ボールをGK鈴木まで戻させられロングフィードを蹴らされ早々にロストしていた。

控えめに言っても防戦一方のレッズはビルドアップではロングボールを蹴っ飛ばしあっさりロスト。守備においては前からのプレスもハマらず簡単に押し込まれ最終ラインで何とか跳ね返すばかり。ネガトラは多少成功したシーンもあったものの、奪ってからのポジトラにおいては多くの選手にミスが多発しこれまたロスト。

後半頭から武田を下げて敦樹を投入。これがいきなり奏功してか立ち上がりはレッズがボールを握り名古屋を押し込む時間が増える。
前半と比べ最も変わったのは守備。前半はボール非保持でユンカーと武田で前からプレスをかけていたのが武田が交代になり小泉がこの役目を担うと後ろの連動性が前半と全く変わり見事に守備のスイッチ役として機能していた。あるいは監督がもう少し前から守備に行くようハーフタイムに修正があったのかも。
前からの守備がハマり出すと中盤でのセカンドボール回収率も上がりこれもまたポゼッションが上がる効果になった。名古屋のビルドアップでボールをランゲラックまで戻させて長いボールを蹴らせて奪うシーンも何度か見られ前半と逆の構図になった。

ボール保持においても選手一人一人の落ち着きが前半と段違いで圧倒的にミスが減った。60分の槙野や65分の柴戸のフェイント等は前半のビルドアップ時には一切見られなかったプレーだった。

後半、試合の流れは支配できていたものの相変わらずシュートが殆ど打てない。しかも後半2本のシュートは2本とも関根の宇宙開発。一番ゴールが生まれそうだったシーンは70分に汰木の裏抜け成功からのユンカーへのクロスを入れたシーン。結局お互い決定機は作れずスコアレスドローで決着。

■ポジティブ
これまで再三課題として挙げてきた交代カードを切ってからの守備強度低下の問題だが、この試合に関しては交代で入った選手が組織として機能し交代前までの流れを途切れさせることなく最後まで締まった内容で試合を終われた。勿論ゴールを奪えれば理想的ではあったもののコンディション向上の兆しが見えただけで今は満足。もうここまで来たらはっきりと言ってしまうと興梠のことなのだが前節の試合後コメントで「近いうちに取れるだろうという思いはありました」とか「もっと良くなると思います」とか言っていたのでようやく調子が上向いてきたのは間違いないものと思われる。

■気になった選手
鈴木
前半2CBがいいようにあしらわれ柿谷や山崎に簡単に抜け出されるせいでこの日の鈴木は大忙し。前半だけで2度のファインセーブ。防戦一方と言って差し支えない内容で勝ち点1を取れたのは間違いなく鈴木の尽力が一番大きかった。マンオブザマッチ
小泉
鈴木の次にゴール前で最も相手のチャンスを摘み取ったのが小泉。危機察知に長けているというか攻め込まれると最後はいつも小泉がラストパスを中央で止めていた。一方で攻撃面は不発。
敦樹
足元のない選手というのはボールを止めて収めることが苦手でラフなボールをワンタッチで返して次の受け手にもラフなまま出してしまうことが多い。今季ここまで敦樹の試合を見てきた個人的な評価で言えば敦樹には足元がある。なので受け手に負債を負わせるパスを減らして欲しい。
関根
判断力の悪さ遅さばかり目立った。リーグ戦は4試合ぶりのスタメンなのにこの出来では再びベンチ生活に戻ったとしても不思議ではない。


2021年6月3日木曜日

2021 J1リーグ 第16節 サンフレッチェ広島戦

■スタメン
レッズは前節からの入れ替えは阿部が柴戸に、武藤が小泉に変更。広島は前節から柏が東に、川辺が柴崎に、浅野が長沼に、青山がハイネルに、森島がエゼキエウに、浅野が長沼に変更の大幅なターンオーバー。
また、レッズは前節から中3日の日程に対し広島は中2日。しかも第7節の4月3日から17連戦中の16試合目。

■おおまかな流れ
立ち上がりはお互いに長いボールを蹴り合って中盤でのセカンドボール争いが多発。広島のロングフィードのターゲットは主にジュニオールサントス。サントスへのボールはマンマークのタスクを与えられたかのように槙野が徹底的に跳ね返す。一方レッズのロングフィードは主にユンカーがターゲット。広島同様ユンカーまでボールを届けることはできない。

8分くらいからお互い最終ラインから最前線へ一気のロングフィードは止めて後方からつなごうとするビルドアップが見られ始める。ただここでもお互いにビルドアップを完結し崩しの局面まで持っていくことはできない。

そんな中、レッズがこの試合初めてラインブレイクできた13分に最初のチャンスをいきなりものにしたユンカーが先制点をあげる。どちらかと言えば撤退守備をベースにした堅守のイメージがある広島だがこの試合に関して言えばラインは高めに設定されていて、その高いラインの裏のスペースを狙った田中とそれに呼応した小泉のスルーパスがまず見事。こぼれ球にしっかり詰めて左から再度クロスを上げた汰木も、そして倒れた後すぐに立って押し込む準備が出来ていたユンカーも良かった。
おそらく広島としてはトランジションに全集中の呼吸で中盤でボールを奪ったら速攻でカウンターをかけて一気にゴール前に迫りたい意図があり、そのための高いライン設定だったのではと思われる。

流れの無い中から不意打ち気味に先制点を食らった広島だがその後ほどなく同点にする。左CKをハイネルが直接ねじ込んだ。
問題は試合を振り出しに戻されたこの後の展開。ポゼッションは確かにレッズが上だったがピッチの中では広島の選手の方が手応えを感じていたのではないかと思えるほどレッズのビルドアップは上手くいかなかったし、対照的に広島のビルドアップはアタッキングサードまでボールを運ぶことに成功していた。もっともシュートは殆ど打たせなかったが。

レッズのビルドアップが何故上手くいかなかったかは広島の守備がハマっていた以上のことはわからなかったが、広島のビルドアップが何故上手くいっていたかは幾つか思い当たる節があった。
1つはCBである野上と佐々木が思い切って前に出る回数が多いこと。サイドの攻防において数的有利を作ることに成功していた。
2つ目に中盤でボールを持てて簡単に後ろに下げない選手が何人かいたこと。
最後にユンカーの前からのプレスが弱いこと。時折気まぐれにユンカーがプレスをかけると中盤で奪い返せることが多かったのでもっと行って欲しかった。

後半に向けて見えた僅かな光明もあって、それこそが前半終盤に小泉が見せた前線からの守備のスイッチ。小泉が前からプレスをかけた場合は中盤でボールを奪うことに成功していたシーンが実は前半終盤だけでなく16:35や18:20のシーンなど序盤にもあった。

後半、広島は小泉に対し佐々木がマンマーク気味に再三背後からプレス。そのせいか前半から引き続きレッズのビルドアップはままならない。立ち上がりに2度カウンターを仕掛けるシーンがあったがどちらも決定機には至らず。後方から細かくつなぐことを諦めたように無茶なスルーパスを通そうとするも前の選手は触れずにロストするシーンが増える。「光明」と表現した小泉の前プレスは後半も見られたが前半ほどのボール奪取は成功せず。

広島のボール保持は立ち上がりこそ上手くいかないものの57分に浅野と川辺を投入すると57分に浅野のフリックでエゼキエウにラストパス、61分に川辺のチャンネルランで裏抜け即シュート、63分に川辺のスルーパスに浅野の裏抜け成功とそれぞれアタッキングサードで決定的な仕事を再三見せてレッズゴールを脅かした。

後半飲水タイムの前後にユンカーが少し下りてビルドアップが成功するシーンが計3度見られるがいずれもシュートは打てず。惜しまれながらもユンカーは興梠と交代。
その興梠が83分にエリア内で荒木のハンドを誘いPKを獲得し自らこれを決める。その後AT7分を含めた残りの13分ほどは完全にポゼッションを放棄し相手に一方的に攻められ続ける時間が続く。徐々に徐々に危険なシーンを作られATに川辺のミドルによって失点。そのままドローで試合終了。

■課題
別の試合の課題でも何度か挙げているように、途中交代で入った選手が状況を改善させられなかったこと。確かに2点目は交代で入った山中のフィードと同じく交代で入った興梠の折り返しによるPK獲得だった。だがそのPK獲得のシーン以外で試合の流れを取り戻すまではいかなくとも相手の攻撃をもう少し制限をかけるくらいの働きはできなかっただろうか。ダメ押しの追加点を取りに行く素振りすら見せず完全に逃げ切る意思統一はチーム全体でできていたはずだがそれでも耐えきれず失点してしまった。前半を無失点で耐え後半に攻守の要を同時投入し相手に主導権を渡さないまま2ゴールを奪い快勝した前節との名采配ぶりと比べると今節はあまりにも残念過ぎる結果に終わってしまった。

■気になった選手
汰木
前節前半にビルドアップの機能不全を何とかしようと一人で打開してくれたあのプレーをこの日ももう一度と期待しながら見ていたが期待したプレーは最後まで見られなかった。
槙野
サントスへのフィードを何度も跳ね返し。抜かれた明本のカバー。クロスをクリア。ドリブルをブロック。1試合に1度くらい見せる持ち上がってのビルドアップが成功すれば完璧なのだがまあそれが無くても十分な働き。マンオブザマッチ
ユンカー
あっさり先制点を奪ったシーン以外前半は殆どボールを届けられなかったが、後半関根にレイオフ、フリックで柴戸へつなげて決定機のお膳立て、間で受けて前を向いてサイドに流して中央へ飛び込む等、前線で張ってるだけでも十分な脅威になるが下りてビルドアップの出口になってもしっかりと前線へつなげフィニッシュの一歩手前まで漕ぎつけていた。何か起きるとすれば彼だけのように見えたのでできれば90分最後まで見たかった。
柴戸
いつもより前を向く回数が少なかったかなとは思うものの、パフォーマンス自体に大きな不満は無い。ただもう少しプレースタイルを変えて欲しいと思うシーンが目立つ。接触プレーや交錯シーンによって倒れ足を痛めているシーンが多々見られた。体を張ってボールを守らねばならない重要なポジションであることは重々承知しているものの、自らを危険に晒すプレーを続けているといつか取り返しのつかない怪我をしそうで見ていて怖い。替えのきかない選手だけにどうしてももっと体をいたわるプレーを願わずにいられない。


2021年5月26日水曜日

2021 J1リーグ 第15節 ヴィッセル神戸戦

■スタメン
レッズは前節からの入れ替えは柴戸が敦樹に、小泉が汰木に変更。神戸は前節から前川が飯倉に、井上がイニエスタに、中坂がリンコンに変更。

■おおまかな流れ
今季リーグ戦全試合スタメンだった小泉がベンチスタートということでレッズは立ち上がりに後方からつなぐビルドアップができずロングボールを前線へ放り込むシーンが目立つ。ターゲットは主にユンカーだが相手のライン間に蹴ってもライン裏へ蹴っても容易に収められずボール保持は安定しない。そのため立ち上がりから神戸がボールを握る展開。

神戸のビルドアップは(神戸から見て)右サイドの狭いスペースに相手を密集させてから早めに左へ展開し相手がスライドする前に縦に早くボールを出してエリア内へ進入。その際キーになるのは山口。3:09と10:43には右から左へのサイドチェンジを酒井へ展開。5分に古橋から始まった連続ワンタッチにも山口は絡み最後にイニエスタから酒井の裏抜けは実に鮮やか。シュートは岩波が止めたが。
山口はビルドアップだけでなく守備においても要所要所でレッズの攻撃を寸断。8:55に阿部への前を向かせないプレス。11:26に武藤の股抜きを読んでしっかり股を閉じてタックル。

12分あたりからレッズにもつなぐビルドアップが見られるようになる。キーは汰木。9:10に田中へのサイドチェンジ、12:10に岩波から長い縦パスを受けて前を向いて明本へ出す。汰木はカウンターの局面でも誰より反応が早く走り出してボールを受けていた。
だが肝心なところで一部の選手に小さいミスが多発しなかなかシュートまで辿り着けない。崩し切ったとは言えないまでも攻撃を何度かシュートで終えた神戸とは対照的。

前半をスコアレスで終えるとレッズは後半頭から阿部と武藤を下げ小泉と柴戸を投入。すると後半開始2分でレッズに先制点が生まれる。あまりに早い先制点のため双方ハーフタイムにどんな修正をしどんな変化をつけようとしていたのかがわからなかったが、先制ゴールの一連の流れに小泉と柴戸が絡んだことは確か。
失点した側は前への圧を強め先制した側は少し受けに回ることによって失点した側にボールを持たれ押し込まれるような展開になることはJリーグでよく見る光景だが、先制後のレッズは容易くボールを手放すことなくボールを握り続ける展開になる。この点に関しては確かに交代選手、とりわけ柴戸投入の効果がはっきり出ていた。

その後神戸は佐々木ら複数の選手にアクシデントが発生し55分に一気に3枚替えを敢行。イニエスタの強行突破によって一度危険な場面を作られるものの鈴木と槙野の奮闘でゴールを死守。84分にはレッズが追加点を決める。その後88分にも一度相手に危険なシュートを許してしまうが岩波がブロック。なんとかクリーンシートで試合を締めた。

■ポジティブ
仙台戦にしろ徳島戦、大分戦にしろ、たとえ前半に良くない内容で試合を折り返したとしても後半に結果を出す試合がこうも続くと、リカルド監督のハーフタイムにおける修正力が秀でていることは最早疑いようがない。さらにピッチの中で選手自身の判断で修正し徐々に押し返すサッカーが出来ている。監督自身はそんな選手が揃っていることを「幸運」と言ってはいるものの筆者は監督の指導の賜物だと思っている。強くなるとはただ結果を出すことではなく現実的にはこういう成長のことを指すのではないかと思っている。

■気になった選手
鈴木
スタメンとして出た仙台戦からのことだが危険なボールを通そうとして自陣で奪われるシーンが1試合で2度以上見られる。スキル的な問題は無いと思われるが判断力のところでまだ未熟さが残る。
武藤
ボールを持った時にヘッドアップできないことが今の武藤の一番の課題。ずっと足元のボールを見ながらでないとキープができない。
汰木
ビルドアップではいい位置で受けてサイドへ前線へと上手く供給するし、危険な位置で受けて相手のプレスを受けても簡単には奪われないし、見事なクロスで1アシストを記録しているし攻撃面ではマンオブザマッチ級の活躍と言っていいほど。一方守備時の対応がどうしても気になる。1on1で圧倒してくれとは言わないので2対2や3対3の局面ではもう少し味方とやり方を詰めてほしい。
山中
AT含め30分程度の出場にとどまったが試合終盤に見せたタックルが悉く成功し実に珍しいことに守備での活躍が目立った。
槙野
体を投げ出すシュートブロック等守備でいつもながらの貢献は見せていたがこの日はむしろ攻撃面で目立っていた。こぼれ球に対しダイレクトで鋭く縦に入れて前線の選手に供給する場面が3度以上見られた。総合的に見てマンオブザマッチ