2022年11月13日日曜日

リカルド・ロドリゲス監督解任によせて

先月31日にリカルド・ロドリゲス監督の監督職の解除が発表された。リカルド監督と歩んだ浦和レッズの2年を振り返りどんな監督だったか、どんな2年間だったかを残しておく。

リカルド ロドリゲス監督との契約について | URAWA RED DIAMONDS OFFICIAL WEBSITE

■1年目
開幕戦のホームFC東京戦の衝撃が今でも忘れられない。2020年までのレッズのサッカーはとにかくビルドアップがメタメタで中盤より前にボールが出せないし運べないし蹴れないしで酷かった。西川か岩波が橋岡目がけて蹴っ飛ばして繋がればラッキーくらいのパターンしか思い出せない。ところが開幕戦で見せた新生レッズのビルドアップは有利な立ち位置でボールを受けスムーズに前を向き劇的に改善されていた。

もっとも順調な滑り出しとは言えず6節までで1勝3敗2分け(カップ戦も1敗1分け)で苦しい立ち上がりとなった。怪我人の復帰やシーズン中に次々に加入が発表される新戦力もあり4月から着実に結果がついてくるようになる。リーグ戦では終盤に失速を見せたものの終わってみれば勝ち点63で6位フィニッシュ。天皇杯を優勝しACL出場権まで得られたのは望外の結果だった。

■1年目のオフシーズン
1年目終了時点でのいちサポーターとしての来季に向けた勝手な期待は「1年目に築いたサッカーをベースに弱みを克服し強みをさらに伸ばした順当な強化」といった方向性でのチームビルドを期待していた。ところがいざ2022シーズンが始まってみるとレッズのサッカーはその期待を裏切るものになっていた。フットボール本部が当初に掲げたコンセプトと1年目に見せたリカルドのサッカーに乖離が見られたためおそらくそこへの軌道修正を強く意識したトレーニングと補強を進めたものと思われた。

「チームコンセプトに準じて評価しているので、そのフィードバックは半期に1回やりました。ポゼッション重視なんだけれど、レッズのカラーとして縦に速いサッカーも求められているし、魅力でもあると。だから、『速攻ができるときには狙うべきではないか』といった要望もクラブとして伝えました。リカルドも理解してくれています。
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そのためのオフシーズンの大幅な放出と加入だと考えれば納得がいく。具体的なソースこそ見つけられなかったもののオフの編成も監督よりフットボール本部主導によるものだったのでは。その結果どうなったかと言えばコンセプトの体現はおろか1年目に出来ていたことすら失われてしまうマイナス収支の補強になったことが開幕してから明らかになった。

■2年目
リーグ戦は5節磐田戦を最後に1敗8分けで9試合勝ち無し。天皇杯は3回戦敗退。ACLでもグループステージ突破はなんとか果たしたものの大邱FCには1ゴールも奪えず課題は残ったまま。折り返しの17節名古屋戦くらいからリーグ戦でも勝ち星を積めるようになりACLも過酷な日程ではあったもののホームの利を活かして決勝進出。しかし好調は長く続かず1年目同様終盤は失速し勝ち点45で9位フィニッシュ。監督解任が発表され今に至る。

■リカレッズの終焉
掲げたコンセプト実現のために獲得した選手が間違っていたか、そもそもリカルドにその適性が全く無かったかはわからないが「二兎を追って一兎も得られず」なシーズンに終わってしまったリカレッズの2年目。

コロナ感染やコンディション不良や怪我人にシーズン中ずっと悩まされたことは監督に同情の余地がある。しかし編成の失敗さえ無ければ使いたくても使えない選手が出たとしても勝ち星が拾えていたのでは。シーズン中の補強が1年目の6人と比べ今季はたった2人だったことも苦しむ監督をフロントがフォローできなかった。なので2年目の失敗の根本原因は昨季オフの編成の失敗に集約されるというのが個人的な結論になる。

とは言えリカルドに全く非が無いわけではなくフットボール本部の掲げるコンセプトは就任当初から聞かされていたはず。それを実現しないまま1年目にある程度の結果を出したがそれで良しとせず監督にさらに要求したこと自体も悪くはない。問題は軌道修正をやり過ぎたことにある。

慎重に慎重を期して少しずつやるべきところを1年目のオフで大きく舵を切り過ぎてしまった。性急に事を進め過ぎた。そこまで急いだ理由は何か。ここで3年計画がネックになる。「優勝という計画は達成できたのにコンセプトは全く実現できませんでした。」とはさすがに言いたくなかったのかもしれない。

2年目が失敗に終わり解任も発表されてしまった今となっては1年目の路線を継続したリカレッズを見てみたかったとつくづく思う。この2年で得られた学びが「フロントの失敗からの成長」だけでなくリカルドが植え付けたサッカーも来季に活かされることを願いたい。

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