2025年7月18日金曜日

2025 J1リーグ 第20節 京都サンガ戦の感想

4/16(水) 19:30 埼玉スタジアム2002

前回2月の試合からひと月半と余りに早い再戦となった京都サンガとのホームゲーム。京都との試合ではハイプレスとマンマークをどうかわすかを問われるのがボール保持におけるお決まりのテーマ…ではあるものの低い位置ではそれほど苦労せず繋いでも蹴ってもビルドアップを完結出来ていたのが2月のアウェイゲーム。この日はどうかというとスタメンが入れ替わっていたせいかアウェイゲーム時よりも京都のプレスが早くアウェイゲーム時よりもレッズは余裕が無く立ち上がりから自陣で何度か相手にボールを奪われる。

というわけで立ち上がり流れを掴んだのは京都。とは言えシュートを打つには至らずにいると14分にサヴィオのスルーパスに抜け出した松尾のフリックに長沼が合わせる決定機が唐突に訪れる。須貝のタックルによりディフレクトしたボールは鈴木の手に当たり主審は即ペナルティマークを指さしPK獲得。OFRによりPK無しになったもののここから流れはレッズに傾き19分に松尾のミドル、21分にサヴィオのミドルと立て続けにシュートを放ち23分にはCKから松尾の2試合連続ゴールを決めて先制に成功。

この先制ゴールの理由を探すとすればレッズ側よりは京都側に求めたほうが分かり易い。京都は肝心なところでファウルをしてしまいチャンスをふいにするためせっかく立ち上がりに掴んだ流れを自ら手放していた。長沼の1stシュートも自陣でグスタフソンがファウルを受けてからのクイックリスタートで作ったチャンスだった。

京都は立ち上がりからひたすら縦に急ぐだけのボール保持だったが先制されたことによって逆に落ち着きを取り戻したかビルドアップで何度も後ろからやり直すようになって繋いで前進しようとする。京都のビルドアップ時に松尾と渡邊のプレスは無理にCBに食いつかず川﨑へのパスコースだけは必ず切りつつ外へ誘導するようにプレスをかけていたが29分にこの2人の背後に立つ川﨑への縦パスが通ると前を向いて一気にカウンター。米本のフィードを原がエリア内で落としてエリアスが石原を突き飛ばしながら合わせるも西川が足でなんとかセービング。

その2分後に米本がサヴィオへファウル。傾きかけた流れをまたもファウルで手放してしまう京都。ファウルをしなければ止められない、ボールを奪えないほど相手が上手いのはあるにしても京都目線だと勿体ないと言わざるを得ない。

とは言えレッズもヒヤリとしたのは事実のようで前からのプレスを強めてCBへ食いついてしまうと相変わらずハイプレスは下手なままなので奪い切れずプレス網を抜けられて押し込まれてしまう。ファウルの減らない京都とハマらないプレスに焦るレッズで終盤ややオープン気味になりながらもなんとか1-0のまま前半終了。

HTに京都は米本と佐藤を下げて福岡と福田を投入。46分エリア内で金子のマイナスクロス。47分バイタルから金子のミドル。その30秒後にグスタフソンのポケット突撃からのクロスは僅かに渡邊に届かない。相手の交代の意図を探るよりも先に立て続けにチャンスメイクするレッズ。

それまで一方的に攻め込まれていたはずの京都が唐突に同点ゴールを決めたのが54分。アドリブ的に左サイドに人数をかけて崩し切ってエリアスがエリア内であっさり決めた。布石は見当たらないものの後半立ち上がりから何度も作ったチャンスを決め切れずにいた罰をレッズが受けたということか。

追いついて息を吹き返した京都と追いつかれて危機感が高まったレッズで互いにボールホルダーへのプレスが強くなりボールの奪い合いが激しくなる。プレスが下手なレッズには分の悪い勝負に見えたが58分にまたも京都は自陣でサヴィオへファウル。ここで得たFK自体は得点に結び付かなかったものの直後の60分に渡邊の勝ち越しゴール。どうしても迂闊なファウルが流れを手放しているように見えてしまう京都。

直後に渡邊と金子を下げて松本と原口を投入するレッズ。京都も奥川を下げてマルコを投入。勝ち越しゴールによってレッズが落ち着きを取り戻した、というよりは落ち着いてボールを運べないしファウルも減らない京都はレッズにボールを握られ流れを引き寄せられない。とは言え同点ゴールも流れが無い中で唐突に決めた京都には一発の怖さがあるためレッズも気は抜けない。

74分に松尾とサヴィオを下げて長倉と関根を投入。直後に原を下げてムリロを投入し交代枠を全て使い切る京都。すると徐々に流れは京都へ。ボールキープに長け相手のファウルを誘発できるサヴィオを下げたことにより京都のボール保持が改善されたように見えた。

85分にカウンターチャンスを作って長倉と松本が抜け出したあたりでもう一度落ち着きを取り戻すレッズ。一方的にボールを握り倒すわけにはいかないものの危険な場面を作らずに試合をクローズ。

現地で見た際には「また交代で流れを悪くしている」などと悪態をついたが時間にしてみれば終盤に相手の流れになった時間は10分も無いくらいなので気にし過ぎるほどのことでもないのは事実だが意思統一がなされているかどうかは再確認すべきだと思った。交代で下げる選手と全く同じ役割を果たせる選手などそういないのでそれは仕方ないにしても特徴が似通っている選手ばかりベンチに揃えているように見えたことは気になった。交代枠が余っているにもかかわらず落ち着いてボールを持てる大久保を最後まで使わずに終わったことも含めて。とは言え今季初の連勝。ここから始まるホーム5試合に向けて弾みをつけられたことは喜びたい。

2025年7月11日金曜日

2025 J1リーグ 第10節 町田ゼルビア戦の感想

4/13(日) 14:00 国立競技場

まず立ち上がりの主導権は町田が握る。町田の攻撃のキーはやはり相馬。縦に突破しようとするのも相馬。クロスを入れるのも相馬。ただ本人も打開しにくかったと語る通り用意した相馬対策がほぼ完璧だったレッズ。3分のシーンでは安居と石原の2人で挟んで奪った。5分のシーンでは石原から金子にマークを受け渡し中山のオーバーラップを警戒。ただ相馬は抜き切らなくとも鋭いクロスを放り込めるのでそこは2CBを中心に粘り強く跳ね返し続けた。10分には中山のアーリークロスを西川が弾いてこぼれ球を林のダイビングヘッドで町田が先に決定機を作る。

一方この日はカウンターが冴えるレッズ。1分に安居の縦に渡邊フリックに金子抜け出し。7分に相手のパスミスをグスタフソンが奪ってサヴィオが中央爆走。13分に右サイド深い位置からロングカウンター。どれもシュートまで打てていないもののエリア内まで持ち込むことは成功。13分のロングカウンターの直後に長沼のミドルが相手に当たって獲得したCKからレッズの先制点が生まれたので一連のカウンターにも意味があったと言える。

レッズ先制後も状況は大きくは変わらない。町田はロングボールもショートパスも使いながらゴールに迫り24分には相馬のクロスから西村が長沼の頭上で合わせる決定機。直後の西川のフィードからサヴィオが頭で裏へ出すと渡邊が抜け出しGK谷と1対1の決定機を作る。直後の町田のビルドアップを金子が高い位置でひっかけてショートカウンター。直後の町田のビルドアップでパスミス。レッズが決定機を作ったことと前からのプレスを強めたことで徐々にプレッシャーを受け始める町田。かと思えば直後にグスタフソンやボザのミスから町田に危険なシーンを作られる。34分にはまたも裏抜けに成功した渡邊が決定機でシュートを放つ惜しい場面もあり互いに全く安定しない様子を見せる。

レッズ的には許容したくないオープンな展開になり始めた矢先の37分、レッズに追加点が生まれる。西川の低弾道フィードが一気にセンターサークル内の渡邊まで届き渡邊はフリックで松尾へ。そのまま1人で一気にエリア内まで持ち込みGKだけを飛び越えるループ気味のシュートで松尾の今季初ゴールが決まった。

41分に下田のインナーラップから相馬のスルーパスでレッズを崩しこの日最大のチャンスを作る町田だが西川決死のセーブで辛くも難を逃れるレッズ。前半無失点のまま後半へ。

HTにオセフンと林を交代でデュークと藤尾を入れる町田。後半立ち上がりに2発のシュートを浴び劣勢に陥るレッズ。特に2発目はエリア内どフリーでデュークに打たれているため町田からすれば決定機だったがここでシュートブロックしたのは石原。直後の相馬の突破を抑え込んだのも石原。この時間帯に守備での奮闘が際立った石原。

55分に後半3本目のシュートを打った西村にアクシデント発生でナサンホ投入。60分には下田のスルーパスにナサンホが抜け出しエリア内で受ける危険なシーンも。が、その直後の64分のシュートも滑ってミートできなかったように依然として降り止まない雨のせいかミスが出てしまい決め切れない町田。

この危険な時間帯をレッズが耐え切ると町田の攻勢も沈静化し試合は膠着状態へ。72分に白崎OUT仙頭IN。74分に金子OUT松本IN。77分に安居OUT原口IN。互いに交代カードを切るも流れは変わらない。そのまま決定機を作られるようなシーンもなく無難に試合をクローズしたレッズの勝利。

セットプレーで今季初得点。いつも状況を悪化させていた交代カードで流れを変えずに勝利。首位を相手に勝利。アウェイゲームで今季初勝利。しばらく結果が出ていなかった国立での勝利。幾つか課題も残るもののそれ以上に初初尽くしで内容を伴って結果を出せたことを評価したい。

2025年7月7日月曜日

2025 J1リーグ 第9節 アビスパ福岡戦の感想

4/6(日) 14:00 ベスト電器スタジアム

スタッツ的にはボールを握ったのはレッズだけど相手を押し込んで敵陣でポゼッションできたわけでもなければシュートを打ちまくったわけでもないので数字ほどの主導権を握った感は無い前半立ち上がり。むしろ3分の松岡のミドルはいいとしても9分のザヘディの裏抜けエリア内枠外シュートで決定機を作られ先制パンチに成功したのは福岡の方。

これに味を占めた福岡は12分にも村上がレッズのCB裏にザヘディを走らせるロングボールを蹴るも2回目はしっかり修正したボザが対応し石原に繋げた。そもそも9分のザヘディ裏抜けが成功したのはこの日のレッズが直近の数試合と違って福岡CBに前からプレスをかけていたためハイライン気味になっていて裏にスペースが出来ていたことが原因とみられる。9分の1回だけ出し抜かれたもののそれ以外はハイプレスで蹴らせて後ろで回収が概ね成功していたレッズ。

30分を過ぎたあたりから徐々に流れが福岡に傾く。きっかけとなりそうな変化としては松岡が田代と安藤の間に下りてビルドアップを始めるようになったことや、岩崎と前嶋が左右入れ替わっていたことや、レッズの前からのプレスがハマらなくなり福岡が簡単に蹴らなくなったこと。特に右に大きく開く前嶋と見木の連携が巧みでレッズは何度も押し込まれてしまう。3つ目のプレスがハマらなくなったのは相手がかわし方を覚えたというよりは松尾、サンタナ、松本の前3人のハイプレスに後ろがついてこれなくなっていることが原因のように見えた。

この時間帯相手のシュートこそ2本に抑えたものの誰の目にも明らかな劣勢のレッズはなんとかスコアレスで前半を終える。

HTの選手交代は互いに無し。人も変わらず立ち位置も変化したように見えなかったがHTになんらかの修正があったせいか前半終盤とは打って変わって福岡を押し込んで攻勢に出るレッズは60分までに4本のシュートを放つ。65分には松本を下げてサヴィオを投入しまさにこれからという時間の67分になんてことないCKから失点。布石があったとすれば押せ押せの時間で少し前掛かりになっていたことと前線へのボール供給に再現性が見られずどこでひっくり返されても不思議ではなかったこと。

反撃に出なければならない筈のレッズだがリズムよくボール回しを出来ても後方自陣内に留まり中盤より先にボールを届けられず自陣でボールを奪われ逆にシュートを打たれてしまう。互いに交代カードを切り合うも流れに変化無し。唯一可能性があったとすれば相手が敵陣でファウルをしてくれるので何度かFKを得られたこと。だがゴールには繋げられず逆にFKからオフサイドで無効になったものの幻の追加点を決められてしまうレッズ。そのまま見せ場もシュートも無いまま試合終了。

スコアこそウノゼロという僅差ではあるものの90分を振り返ると内容的に勝利に相応しかったのは福岡の方だったように思える。レッズにとっての流れのいい時間より福岡の時間の方がトータルでは長かったから。とは言えこの試合一番流れが来ていた後半立ち上がりには決定機も作れていたので決して負けるべくして負けた試合だったとは思わない。あれを決め切れていれば逆の絵が見れていた可能性も十分あった。

だがやはり気になるのはセットプレーによる失点が減らないこと。湘南戦、鹿島戦、清水戦でそれぞれ1点ずつCKから失点している。一度も披露したことの無いパターンで所謂初見殺しのような緻密にデザインされた形による失点なら仕方ないのかもしれないがそういう失点はこの日も含めて無かったのでは。往々にして選手も「やり続けるしかない」としかコメントしようがないのもセットプレーの守備なのでこちらとしても「前迫コーチ頼む!」としか言いようがないが。