2019年8月4日日曜日

2019 J1リーグ 第16節 鹿島アントラーズ戦

16節鹿島戦に向けて17節広島戦、18節磐田戦、20節鳥栖戦を予習した。
何故19節仙台戦だけ見ないかというと、浦和戦で乱暴狼藉を働いて出停を喰らい主力2人を欠いた仙台を相手に大勝した試合を見てもあまり参考にならないと思ったため。

3試合のスタッツだけを見ると鹿島はボールを持ちたがるとも持たせたがるとも言えない絶妙なバランスをとっている。
ただ、どちらに転んでもしっかり結果を出せるあたりやはり鹿島。
今シーズン19試合をこなし34ゴールという数字はマリノスに次いでリーグ2位。
マリノスのように圧倒的にボールを保持してシュートもバンバン打つわけではないためシュート成功率がかなり高くこちらもリーグ2位の数字。
まあ直近の磐田戦と仙台戦の結果が押し上げているのは言うまでもないが。

<広島戦感想>
  • クイックリスタートに警戒
  • 右SB永木は攻守に難あり
  • リーグ戦では4節以降ゴールの無い伊藤の決定力
  • 広島の守備が上手いせいかロブパスで前線へのフィードが目立つ鹿島

<磐田戦感想>
  • おそらくは次の仙台戦とこの試合のスタメンが現状の鹿島のベストメンバーでは
  • ひたすらボールを保持され守勢に回っていたが、危険なシュートも打たれていたため持たせていたようには見えない鹿島
  • 流れのないところから点が取れる小池のロングシュートに警戒

<鳥栖戦感想>
  • 4-4-2同士でシステムが噛み合うと滅法強い鹿島
  • お互い繋ぐことにこだわらずに浮き球のフィードが多い
  • 鹿島にしては珍しくオープンな展開になる後半
これら3試合を見た感想が
・繋ぐビルドアップはあまり得意ではないため浮き球や長いボールに対ししっかり寄せて前を向かせない
・流れのないところからゴールが奪えるため試合を優勢に進めていてもボールを支配していても油断できない
・ホームの高い勝率に対してアウェイでは若干落ちる
・スタメンが読み難い

個人的に最も参考にしたいと思ったのは広島戦。
これを書いている現時点では既に見れなくなってしまったが広島は繋ぎも崩しも他の2チームより優れていた。
もっとも、ACLで2戦してからの3戦目という条件付きのためこの試合だけを見て判断するのは不安ではあるが。

読みづらかった鹿島のスタメンだがレオシルバに代わって名古が入った以外は(こちらの想定する)ベストメンバーといった布陣。
レッズも前節からは柴戸に代わってエヴェルトンが復帰。

レッズはマウリシオのパスミス、橋岡のクリアミス、CKで競り負けてバーに救われるといった最悪の立ち上がりを見せるものの何とか落ち着きを取り戻し決定機を2度作った。
開始5分の間に作った2度の決定機はどちらも左サイドからのクロスによるものだった。
この日の鹿島はラインが高い割にトランジションが遅いように見えた。
そのためDFラインの裏を取れるシーンが前半から複数回見られた。

鹿島のビルドアップは事前に予習した通りロングボールが多かった。
ターゲットへの寄せについては、そもそもこの日のロングボールは精度が低く簡単にボールを手放すシーンが何度か見られた。
その代わりカウンター、セットプレー、スローイン等のプレーには非常に集中していてレッズはゴールを脅かされた。
回数は多くないものの鹿島は強引なドリブル突破による前進も効果的だった。

前半途中からエヴェルトンにミスが目立つようになる。
前半限りで宇賀神と交代してしまったマウリシオもパスのズレが目立ち調子は悪そうだった。
最悪の立ち上がり然り、2度の決定機を逸する場面然り、鹿島のビルドアップ然り、この日はお互いに序盤からミスが多発。
ナイトゲームにもかかわらず気温31度という今季最高気温でのキックオフとなったこの日の環境がそうさせていることは想像に難くなかった。
全体的にボールコントロールや体のキレだけでなく集中力も散漫だったせいか序盤からオープンな展開が続きカウンターの応酬が見られた。

後半頭からマウリシオに代わって入った宇賀神は慣れ親しんだはずの武藤や槙野との連係が合っておらず度々ボールロストする。
そして暑さに疲れも加わったせいかお互いにファウルが増える。
それまで殆どミスの無かった関根に立て続けにミスが発生する。
前半に輪をかけてオープンになる。
と、後半は立ち上がりから様々な変化が見られ一気に試合が動きそうな様相を見せ始める。

結果的には采配が明暗を分けたように思える。
伊藤を投入してから明らかにシュート数が増えた鹿島と山中を投入してから失点したレッズとの差。
確かに後半からミスが増え疲れが見えていた関根を下げる判断は一見妥当にも思える。
だが山中投入後、鹿島は露骨にレッズの左サイドを狙って攻撃を仕掛けていたことからも山中の守備的不安は最早周知の事実。
最終的には左サイドを土居に突破され悠々クロスを上げさせてしまったことからも、あくまで結果論に過ぎないながらも山中投入は失策だったように思える。

とは言え山中投入には2重3重の意図があったことも付け加えておきたい。
第一に前述した関根の疲労。
第二に攻撃面で全く上手くいっていなかった宇賀神。
あの出来ならいっそ右に回して山中を使ったほうがマシと考えるのも無理はない。
第三にその後に投入予定だった杉本を活かすためのクロッサーとしての役割。
これはその後実を結ぶので半分成功といったところか。
本を正せばマウリシオが負傷交代してしまったことがそもそもの誤算だったはず。
そのため橋岡を1列下げざるを得ずその橋岡も失点に絡んでしまった。
もし、マウリシオが負傷しなければ・・・。
もし、ベンチに鈴木が居たならば・・・。
もし、宇賀神のパフォーマンスがもう少し良ければ・・・。
たらればは尽きないが様々な要因が絡み合っての失点だった。

もっともレッズの失点が交代策が原因なら鹿島の失点も同様に交代策が原因だったと見ることも可能ではある。
何故なら同点時の山中のクロスに対して正対していたのは交代直後の遠藤だったから。
それまであのポジションで山中が持った際に対応していたのは永木だったが失点シーンのみ遠藤が付いていた。
とは言え永木が対峙していても79分に山中のアーリークロスにニアに飛び込んだ杉本が決定機を作っているので永木なら常に完璧に対応できていたわけでもないが。

劇的幕切れを多く演出している大槻監督が勝負師としての勘や豪運を持っていることに疑いの余地は無いが、物事には裏表があるためメリットだけに目を向けていては本質は掴めない。
今回は監督として打った博打に半分負けて半分勝ったというところだろう。
あとは想定外の事態とそれを予見する分析力、判断力の精度をさらに高めていければ勝率も上がってくるはず。


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