2024年8月5日月曜日

2024 J1リーグ 第10節 名古屋グランパス戦の感想

名古屋はレッズのビルドアップ時はグスタフソンに森島がベッタリ張り付いてボールを入れさせない。名古屋のビルドアップ時には渡邊の裏に長いボールを蹴って開始5分までに3度も狙い撃ちにする等、事前によくレッズ対策を講じてきた動きを攻守に見せる。8分に倍井のファーストシュートもあり序盤の流れは名古屋が掴む。負けじとレッズも10分に中島がグラウンダーミドルを放つも単発に終わり続かない。

直後のボールキープでヒートアップしたサンタナが河面と揉めてイエローカードを貰う等、どう見てもレッズによくない流れになっていたにもかかわらず23分唐突に先制点をあげるレッズ。兆しがあったとすれば直前の前田とサンタナで高い位置でボールを奪ったプレス。これがスイッチになってその後の相手GKのスローに敦樹が前プレをかけ前田が続き石原も安居もサンタナも呼応した結果相手のミスを誘い転がり込んできたチャンスを今季初スタメンの安居が見事にモノにして見せた。

先制後、劇的に流れが変わることもなく互いに前からプレスをかけては蹴っ飛ばしロストするかセカンドボール争いからのトランジション勝負を繰り返し後ろから繋いでクリーンに前線に供給するような場面は双方に見られない。35分を過ぎたあたりでようやくレッズのビルドアップに改善が見られ敦樹か安居が下りて相手がそれについてきたら空けたスペースをグスタフソンが使う動きで相手を下げさせジワジワラインを上げる。39分にはグスタフソンと敦樹のエリア内シュートが生まれたかと思えば直後の40分にはロングボール一発で渡邊の裏を取られ折り返しを永井が合わせる決定機を作られ互いにまるで安定しない守備を見せつつ前半終了。

後半立ち上がり、名古屋は渡邊だけでなく石原の背後も狙うようになって50分までに1回の敵陣深い位置への進入と1回の決定機を作る。これを続けられれば一方的に押し込む時間を作れそうなものを前半にもあったように肝心なところでラフプレーをしてしまいその勢いを自ら殺いでいるように見えた。

かと言ってグスタフソンが米本に削られて得たプレー中断の時間でレッズが立て直しに成功したかというと全くそんなことはなく再開直後の57分には倍井の決定機を許しているがミートしなかったおかげで失点は免れた。その後も互いにシュートを打ったり打たれたりを繰り返す野球のような攻守交替を続けていたら67分に前田がエリア内で倒されPK獲得。サンタナが難なく決めてレッズの追加点。

結局その後も何本かシュートを浴びATにはCKから1点返されるもなんとか逃げ切り成功。2試合ぶりの勝利となった。

結果的には迂闊なラフプレーにより相手が自ら敗戦を招いたおかげでレッズは勝ち点3を得たが、それにしても90分一度も試合を落ち着かせることが出来ず終始バタバタしたまま終えたこの試合を見終えた感想は、とても勝ち試合を見た後のそれではなかった。気になるのはやはりボール非保持、守備の部分。相手をどこに誘導してどこで奪うかを設定しチーム全体で共有することは守備の基本のはずだが今のレッズを見ているとそれが徹底されているように見えない。連敗を経てもこの有様なので改善されることはこの先も期待できないのだろうか。

2024年8月3日土曜日

2024 J1リーグ 第9節 ガンバ大阪戦の感想

立ち上がりで主導権を握ったのはレッズ。ショルツのスタメン復帰、中島発スタメン、大久保のIH起用等幾つかトピックがあった中でビルドアップに積極的に関わろうとする大久保の存在が一際目立った。レッズのビルドアップにおけるグスタフソン封じが浸透しつつある中で7分のようにグスタフソンと入れ替わるようにアンカーポジションに下りてきたり、22分のように大久保にマークがつけばグスタフソンが浮いたり、大久保とグスタフソンが互いに活かし合う関係が良好だった。同じヴェルディ育ちの中島との相性も良さそうで14分には中島が下りて入れ替わりで大久保が前に出るシーンも確認。

例によってレッズが押し込めど崩せず、シュートも打てずにいると28分くらいから双方にファウルが増え度々試合が止まり退屈な時間に。同時に少しずつガンバのポゼッションが回復。互いにシュートも少なくこれといった決定機も無いまま前半終了。

HTに選手交代は互いに無し。45分右CKからホイブラーテンが頭で合わせる。47分には右サイドを崩してグスタフソンのシュートは枠外。51分サンタナのミドル。54分渡邊のファークロスに敦樹のヘッドはポスト直撃。後半立ち上がり立て続けにチャンスメイクするレッズ。

一方ガンバも50分唐山が渡邊を振り切って惜しいシーンも。64分にも唐山と交代で入った岸本に抜け出されエリア内で倒す危険なシーンも。前半も石原とウェルトンの1on1で危ういシーンがあった。レッズのウィークポイントはSBであることはわかっていたものの徐々にそれが顕著になる。

65分に前田と中島を下げて松尾と安居を投入すると直後の67分に渡邊のミドルを一森横っ飛びセーブ。徐々に試合が動きそうな気配。72分に2本あったような松尾への裏抜けロングボールが目立つレッズ。(どちらも通らない)

75分に大久保とショルツを下げて小泉と佐藤を投入するレッズ。すると直後の77分に坂本にエリア内でシュートを決められ失点。守備対応で言いたいことも無くはないが問題はむしろその直前。松尾が持ち上がったカウンターの局面でサンタナと小泉の2人しか上がってこなかったこと、三浦のディレイ対応に松尾が遅らされまんまと相手の帰陣を許し松尾はあえなくバックパス。この時点でカウンターが不発に終わっている。それに対しガンバは鈴木が敦樹からボールを奪うと一気にウェルトンまでロングボールを展開。エリア内でホイブラーテンと1on1になるもワンフェイント入れて坂本へラストパス、先制ゴールとスピードを落とすことなく見事にカウンターをやり切っている。しかもウェルトンがラストパスを出す直前エリア内にガンバの選手はウェルトン含め5人も揃っていた。鈴木が敦樹から奪った瞬間前に残っていたのは宇佐美とウェルトンの2人だけ。つまりあとの3人は自陣深い位置からしっかり走ってゴールの瞬間エリア内に飛び込んで見せた。ネガトラは互いにしっかりやってて互角だったとしてもポジトラでは残酷なまでにくっきり明確に差が出てしまった。

その後レッズは82分に敦樹を下げて興梠投入。前からは奪いに行かず自陣でしっかり構えて撤退守備のガンバ。押し込む時間も作りシュートも打てたものの決定機は作れないレッズ。そのまま危険なシーンをレッズに作らせることなく試合を締めて見せたガンバの勝利。

ウノゼロというスコア、失点した時間帯、クロスに中央で受けられての失点の仕方ということで前節と同じ負け方という印象を受けた人も多いかもしれないがミス連発で主導権を相手に握られた前節に対し多くの時間でゲームを支配したこの試合とでは内容に雲泥の差があった。まるで決定機を作れなかった前半に対し後半立ち上がりの猛攻。スコアが動いたシーンの直前に見せた両チームの振る舞いの差。示唆に富む試合だったように思う。

2024年8月2日金曜日

2024 J1リーグ 第8節 柏レイソル戦の感想

この日の立ち上がりのレッズは2分に小泉が自陣エリア内で山田へのプレゼントパスであわや失点のピンチ。5分にグスタフソンが誰もいない逆サイドへのサイドチェンジで直接ラインを割る。11分にホイブラーテンがビルドアップで躓いてボールロストと、序盤のレッズはミスを連発。特に2分に小泉のミスは直後のCKも含めると計3発のシュートを打たれていてこの時間を無失点で切り抜けられたのは運が良かった。

レッズはミスから上手くボールを繋げず序盤は柏がボールを握る。柏はGKがエリアを出てビルドアップに参加する。CBとGKの3人で開始してレッズも前からプレスをかけようとはしないのにロングボール主体のビルドアップをする柏。最後方から蹴るときは中盤ライン際の川口やジエゴへ、もう少し前から蹴れるときは渡邊の裏へ戸嶋を走らせたり、石原と山田を競り合わせたり、対角にロングボールを入れてレッズのSBと勝負させていた。

しびれを切らしたようにサンタナが下りてくると少しレッズのビルドアップに改善が見られそうだったもののやはりミスが減らずまるで繋げない。背中を向けたサンタナの踵に向かってグスタフソンがボールを蹴った時はさすがに目を疑った。

25分くらいからようやくレッズのミスが減り小さく細かく繋いでリズムが掴めるようになり徐々にゴールにも迫っていたが相手のブロックが堅く放り込んでは跳ね返されシュート数は増えない。ミスが減ったため守備でも簡単にやられなくなり時折カウンターは食らうもののこちらもシュートは打たせず膠着状態のまま前半終了。

前半から引き続き早めに蹴っ飛ばす柏と対照的に打って変わってビルドアップで繋ごうとするレッズ。49分に小泉の枠外ミドル。53分にジエゴのヘッド。直後にサヴィオのヘッド。54分にサンタナのヘッドと、互いに1ターンずつ攻守交替するような展開ではあるものの作るチャンスの質は柏が上。組み立てはレッズがやや上手いがゴール前での振る舞いは圧倒的に柏が上。

レッズのビルドアップが通用したのは後半立ち上がりだけで柏がすぐにこれに対応し繋げなくなるとレッズもまた蹴っ飛ばすようになる。57分に小屋松、戸嶋を下げて木下、島村を投入する柏。59分にはレッズも小泉と前田を下げて中島と大久保を投入。

65分にミドル、71分にエリア内左足シュートと中島が徐々に存在感を発揮していた矢先の71分、木下の先制ゴールでついに試合が動く。レッズの左サイドを2人掛かりで突破しようとする相手に何故か渡邊1人で対応させられた結果自由にクロスを入れさせてしまったうえ、エリア内に十分に人数は揃っていたにもかかわらず死角から飛び込んで来る木下を誰も捉えることは出来なかった。

失点後もビルドアップの出口になったりフィニッシュに絡んだりと躍動したのは引き続き中島。75分には松尾を下げて安居を、78分には敦樹を下げて興梠を投入するも決定機どころかシュートもロクに増やせないレッズ。85分のサンタナのミドルでシュートは打ち止め。ラスト15分のポゼッションが柏38%レッズ62%とは信じられないくらいのノーチャンスのままあえなく敗戦。

スコアこそウノゼロという僅差の結果ながらも内容を総合的に振り返ると勝ち点3に相応しかったのは柏だったように思う。レッズのシュート数が8本に対し柏のシュート数が15本というスタッツにも十分それが表れている。やはり前半立ち上がりだけでなく90分通してやたらとミスが目立ったことが勝敗を分けたように思えてならない。相手のプレスによって誘発されるミスならいざ知らずノープレッシャー下での自発的なミスを度々目にすると、次々とスタメンどころかベンチからも消えていくレギュラー陣のことも相まって日頃のトレーニングとその強度に疑問の目を向けたくなる。この日唯一の収穫は中島のコンディションが良さそうなことくらい。