2018年4月15日日曜日

堀監督解任について

後でこの解任劇を振り返った時の備忘録のためにも、ACLを獲った堀監督が何故解任されるに至ったかをまとめておく。

■何故解任されたか
言うまでもなく勝てなかったから。
「たった5節で?」「早すぎるだろう」といった他サポの意見があるのは昨季のレッズを見ていないだけ。
重要なのは今季だけの判断ではなく堀監督就任以降全ての試合結果を受けての判断であること。
「昨季も含めるならACLを獲ったし尚更解任は無いだろう」という意見も通らない。
昨季はリーグ戦ではあまり勝てずに上位に負け、中位と分け、下位に勝つを繰り返した。
今季は既に昨季は勝てた広島に負け、監督も選手も殆ど変わっていないどころか明らかに昨季より戦力低下した(ムサエフもアダイウトンもいない)磐田にも負けた。
レッズは完全に後退してしまったと受け取られて差し支えない状況。
指揮官解任はやむなしだろう。

■何故勝てなくなったか
おそらく一番言われているのはラファエルシルバ退団。
堀監督就任以降のリーグ戦でラファエルが先発出場した試合、途中出場した試合、出なかった試合の3つに分けて勝敗を集計してみたところ以下のようになった。

先発:4勝1分2敗
途中:1勝2分
なし:2分2敗

はっきりと勝率に表れており確かにこの説は有力。
ちなみにACL、天皇杯、ルヴァンカップも含めるとその差は歴然となった。

先発:8勝4分3敗
途中:1勝3分1敗
なし:2分3敗

■何故補強できなかったか
では何故ラファエルの抜けた穴を今オフの補強で埋められなかったか。
年が明けての沖縄キャンプ中に電撃的に引き抜かれてしまったことが最大の理由。
補強を一通り終えてから移籍されてしまったらさすがにお手上げ。
さらにラファエル以外の選手も近年のレッズからは考えられないほど多くの選手を放出した。
ただラファエルは誰が見ても大打撃だったがそれ以外の選手で致命的と言えるほどの移籍は高木一人だけだったと個人的には思っている。
抜けた穴は埋めようと思っても埋められなかったのであればそこは責められない。

■タイミングは適切だったか
解任のタイミングが適切だったかどうかで言えば適切とは言えなかっただろう。
もう1試合早く解任していれば代表ウィークによる中断期間を次の監督のために使えたのだから当然だ。
但しそれは結果論に過ぎずフロントとしてはあくまで堀監督続投を望んでいたものと思われる。
つまり2週間の中断期間でなんとか建て直し磐田戦を勝って続投させるのが理想だった。
あわや降格の憂き目にあった2011年と昨年の2度の緊急登板だけでなく、ACLタイトル獲得という10年ぶりの快挙まで成し遂げた監督なのだからそれくらいの慈悲はあってもよいのでは。
結局はそのラストチャンスもフイにしてしまったためあえなく解任とはなったものの監督本人としてもフロントとしても双方納得の幕引きだったのでは。
どこかの国の代表監督の電撃解任よりは余程納得できる。

■堀監督の評価
昨年末時点では堀監督は2017年いっぱいまでの就任で来季は新監督を招聘してくれるものと思っていた。
ACLまで獲った監督なのだから続投があり得ないとは思っていなかったが個人的な希望としては昨季一杯まででの退任だった。
何故ならリーグ戦の采配がかなり物足りなかったから。
「守備を建て直しACLを獲得したのは堀監督の手腕によるもの」とは専らの堀監督評だが、それはACLだけを見た場合であり、その裏でリーグ戦の試合結果を見ると失点はまるで減ることもなく勝ち切れない試合が続いていた。

それでも続投があり得ないとは思わなかったのは
・ACLとCWCを最優先しリーグ戦もカップ戦も主力を温存して勝てなかっただけ
・シーズン中の就任では未完成でも、キャンプ期間にみっちり堀監督の戦術を叩き込んでくれればチームとして完成するのでは
といった理由があった。

そもそもペトロビッチ前監督の解任が現実味を帯びてきた頃、自分は堀監督の就任を密かに期待していた。
ヘッドコーチが内部昇格で監督就任というのは安直で逃げ腰の人事だと批判の的になりやすいにもかかわらず何故それを希望したかというと、近年のJ1リーグ優勝監督がまさにそのパターンだったため。
広島の森保監督は4年で3度優勝し、鹿島の石井監督もシーズン中の就任でカップ戦を優勝し翌年にはリーグ優勝、川崎の鬼木監督も初監督でいきなり優勝した。
この3人はコーチからの監督就任だ。
勿論コーチを監督に昇格させれば必ず勝てるわけではなく、上手くいかずにあえなく解任となった監督も大勢いることは承知している。
優勝できないまでも、到底上位に食い込めるとは思えない戦力で上位争いさせたり、クラブ史上最高順位にまでのし上げたりする例もあることから、コーチから昇格した監督で躍進できる可能性は五分だと考えていた。
※正確に数字を調べたわけではない
そしてそこに期待したわけだが、結果は期待通りというわけにはいかなかった。

堀さんの最も残念なところであり上記の3人との決定的な違いは、ペトロビッチ監督の下で5年半もコーチをしていたにもかかわらず戦術的な学びもなく、残した遺産も有効活用できなかったことだろう。
前任者の長所は残しつつ欠点を補うように修正していったからこそ上記3人はタイトルを獲得できたのだろう。
こう書くと堀さんに何もいいところが無いように聞こえるが、堀さん就任中のレッズのベストゲームはACLの準決勝と決勝の4試合だと思っている。
ミシャレッズの頃は、そのあまりの軽い失点癖から攻めダルマになってボールを支配することでしかゴールを守れないとばかり思い込んでいたが、その4試合では撤退守備を選択しワンチャンスをものにして勝利をもぎとっている。
CWCのカサブランカ戦で見せたような試合をベースにチーム作りをしたかったらしいが、どちらかと言えば他の誰でもなく堀さんに向いているチーム作りは堅守速攻とカウンターのチームだったのではないだろうか。
上海上港やアル・ヒラル相手にできることが国内チーム相手にできないはずはない、というのがそれを支持する一番の理由だったのだが・・・。
もっとも、その戦術には絶対に欠かせないピースとなるラファエルがあのような形でチームを離れることになってしまった時点でどちらを選択していたとしても堀さんの解任は避けられなかったのかもしれない。

新参サポーターゆえ選手時代こそ知らないものの、Jリーグを見始めた時期にレッズを指揮していたのがまさに堀監督その人だった。
解任発表から2週間が経ち今現在その動向はわからないが、いつの日かこのJリーグの舞台に戻ることを期待している。

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