レッズは前節からの入れ替えは阿部が柴戸に、武藤が小泉に変更。広島は前節から柏が東に、川辺が柴崎に、浅野が長沼に、青山がハイネルに、森島がエゼキエウに、浅野が長沼に変更の大幅なターンオーバー。
また、レッズは前節から中3日の日程に対し広島は中2日。しかも第7節の4月3日から17連戦中の16試合目。
■おおまかな流れ
立ち上がりはお互いに長いボールを蹴り合って中盤でのセカンドボール争いが多発。広島のロングフィードのターゲットは主にジュニオールサントス。サントスへのボールはマンマークのタスクを与えられたかのように槙野が徹底的に跳ね返す。一方レッズのロングフィードは主にユンカーがターゲット。広島同様ユンカーまでボールを届けることはできない。
8分くらいからお互い最終ラインから最前線へ一気のロングフィードは止めて後方からつなごうとするビルドアップが見られ始める。ただここでもお互いにビルドアップを完結し崩しの局面まで持っていくことはできない。
そんな中、レッズがこの試合初めてラインブレイクできた13分に最初のチャンスをいきなりものにしたユンカーが先制点をあげる。どちらかと言えば撤退守備をベースにした堅守のイメージがある広島だがこの試合に関して言えばラインは高めに設定されていて、その高いラインの裏のスペースを狙った田中とそれに呼応した小泉のスルーパスがまず見事。こぼれ球にしっかり詰めて左から再度クロスを上げた汰木も、そして倒れた後すぐに立って押し込む準備が出来ていたユンカーも良かった。
おそらく広島としてはトランジションに全集中の呼吸で中盤でボールを奪ったら速攻でカウンターをかけて一気にゴール前に迫りたい意図があり、そのための高いライン設定だったのではと思われる。
流れの無い中から不意打ち気味に先制点を食らった広島だがその後ほどなく同点にする。左CKをハイネルが直接ねじ込んだ。
問題は試合を振り出しに戻されたこの後の展開。ポゼッションは確かにレッズが上だったがピッチの中では広島の選手の方が手応えを感じていたのではないかと思えるほどレッズのビルドアップは上手くいかなかったし、対照的に広島のビルドアップはアタッキングサードまでボールを運ぶことに成功していた。もっともシュートは殆ど打たせなかったが。
レッズのビルドアップが何故上手くいかなかったかは広島の守備がハマっていた以上のことはわからなかったが、広島のビルドアップが何故上手くいっていたかは幾つか思い当たる節があった。
1つはCBである野上と佐々木が思い切って前に出る回数が多いこと。サイドの攻防において数的有利を作ることに成功していた。
2つ目に中盤でボールを持てて簡単に後ろに下げない選手が何人かいたこと。
最後にユンカーの前からのプレスが弱いこと。時折気まぐれにユンカーがプレスをかけると中盤で奪い返せることが多かったのでもっと行って欲しかった。
後半に向けて見えた僅かな光明もあって、それこそが前半終盤に小泉が見せた前線からの守備のスイッチ。小泉が前からプレスをかけた場合は中盤でボールを奪うことに成功していたシーンが実は前半終盤だけでなく16:35や18:20のシーンなど序盤にもあった。
後半、広島は小泉に対し佐々木がマンマーク気味に再三背後からプレス。そのせいか前半から引き続きレッズのビルドアップはままならない。立ち上がりに2度カウンターを仕掛けるシーンがあったがどちらも決定機には至らず。後方から細かくつなぐことを諦めたように無茶なスルーパスを通そうとするも前の選手は触れずにロストするシーンが増える。「光明」と表現した小泉の前プレスは後半も見られたが前半ほどのボール奪取は成功せず。
広島のボール保持は立ち上がりこそ上手くいかないものの57分に浅野と川辺を投入すると57分に浅野のフリックでエゼキエウにラストパス、61分に川辺のチャンネルランで裏抜け即シュート、63分に川辺のスルーパスに浅野の裏抜け成功とそれぞれアタッキングサードで決定的な仕事を再三見せてレッズゴールを脅かした。
後半飲水タイムの前後にユンカーが少し下りてビルドアップが成功するシーンが計3度見られるがいずれもシュートは打てず。惜しまれながらもユンカーは興梠と交代。
その興梠が83分にエリア内で荒木のハンドを誘いPKを獲得し自らこれを決める。その後AT7分を含めた残りの13分ほどは完全にポゼッションを放棄し相手に一方的に攻められ続ける時間が続く。徐々に徐々に危険なシーンを作られATに川辺のミドルによって失点。そのままドローで試合終了。
■課題
別の試合の課題でも何度か挙げているように、途中交代で入った選手が状況を改善させられなかったこと。確かに2点目は交代で入った山中のフィードと同じく交代で入った興梠の折り返しによるPK獲得だった。だがそのPK獲得のシーン以外で試合の流れを取り戻すまではいかなくとも相手の攻撃をもう少し制限をかけるくらいの働きはできなかっただろうか。ダメ押しの追加点を取りに行く素振りすら見せず完全に逃げ切る意思統一はチーム全体でできていたはずだがそれでも耐えきれず失点してしまった。前半を無失点で耐え後半に攻守の要を同時投入し相手に主導権を渡さないまま2ゴールを奪い快勝した前節との名采配ぶりと比べると今節はあまりにも残念過ぎる結果に終わってしまった。
■気になった選手
- 汰木
- 前節前半にビルドアップの機能不全を何とかしようと一人で打開してくれたあのプレーをこの日ももう一度と期待しながら見ていたが期待したプレーは最後まで見られなかった。
- 槙野
- サントスへのフィードを何度も跳ね返し。抜かれた明本のカバー。クロスをクリア。ドリブルをブロック。1試合に1度くらい見せる持ち上がってのビルドアップが成功すれば完璧なのだがまあそれが無くても十分な働き。マンオブザマッチ。
- ユンカー
- あっさり先制点を奪ったシーン以外前半は殆どボールを届けられなかったが、後半関根にレイオフ、フリックで柴戸へつなげて決定機のお膳立て、間で受けて前を向いてサイドに流して中央へ飛び込む等、前線で張ってるだけでも十分な脅威になるが下りてビルドアップの出口になってもしっかりと前線へつなげフィニッシュの一歩手前まで漕ぎつけていた。何か起きるとすれば彼だけのように見えたのでできれば90分最後まで見たかった。
- 柴戸
- いつもより前を向く回数が少なかったかなとは思うものの、パフォーマンス自体に大きな不満は無い。ただもう少しプレースタイルを変えて欲しいと思うシーンが目立つ。接触プレーや交錯シーンによって倒れ足を痛めているシーンが多々見られた。体を張ってボールを守らねばならない重要なポジションであることは重々承知しているものの、自らを危険に晒すプレーを続けているといつか取り返しのつかない怪我をしそうで見ていて怖い。替えのきかない選手だけにどうしてももっと体をいたわるプレーを願わずにいられない。
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