浦和レッズに移籍して以降ハイペースでゴールを量産しJリーグを席巻しているキャスパー・ユンカー選手。あまりにも絶好調過ぎるからか彼に対する心配のコメントで最近やたらと見かけるのが「日本の夏ガー」「暑さへの慣れガー」といった文言。涼しい北欧出身の選手だからアフリカ人でもキツイと言われる日本の夏に適応できるか?という疑問は確かにわかる。しかしここまで心配されるというのは「北欧の選手は暑さに弱そう」という短絡的な思い込みだけではなく、夏場に大きく調子を落とした具体的な過去の選手名をJリーグサポーターは思い浮かべているのかもしれない。何しろ筆者は2012年以降のJリーグしか知らないのでそういう選手が過去にいたとしても不思議ではない。そこでJリーグに来た外国人選手を調べてみることにした。
全外国人選手をしらみ潰しに調べるのは無理なので
・北欧から来た選手
・J草創期と今とでは同じ夏場でも気温差があるので2000年以降
・J1でシーズン11ゴール以上を記録
以上に絞って調査開始。
なおソースは全てJリーグデータサイト。Jリーグデータサイトには試合ごとの気温が載っているため気温ごとの出場時間とゴール数をグラフにした。
まずはノルウェーのフローデ・ヨンセン。計13ゴールを挙げた2007年の名古屋グランパスでの気温ごとのゴール数。
計12ゴールを挙げた翌年のグラフ。
少なくともヨンセンに関しては暑くても涼しくても点が取れている。
さすがにサンプルが1人では説得材料として弱いので本当は当初シーズン12ゴール以上としていた条件を11ゴールにしてギリギリひっかかったスウェーデンのシモヴィッチの場合。計11ゴールを挙げた2016年のこれまた名古屋の記録。
シモヴィッチに関しては気温が低いほど点が取れているのが見て取れる。北欧出身で11ゴール以上縛りだとこの2人のみになるので欧州の中でも比較的涼しいイングランドから来たジェイも調べてみた。計14ゴールを挙げた2016年のジュビロ磐田での記録。
ヨンセン同様暑くても涼しくても点が取れている。出場時間当たりのゴール数では若干気温が低い方がゴールが増える傾向にはあるが。
念のため北欧縛りを除外し2人のブラジル人でも調べてみた。まずは2005年にガンバ大阪で計33ゴールを挙げたアラウージョの場合。
気温が高くなるほどゴールを量産している。もう一人のブラジル人は2018年の名古屋のジョーの場合。
31℃以上の試合で2度もハットトリックを達成しているジョー個人の成績もさることながら、この年は30℃越えの試合が6度もある地獄の猛暑シーズンだった。ちなみにこの2人を選んだ理由は年間33ゴールが最多記録だったことと、年間最多ゴール数を順に並べて割と最近のデータを選んだ場合2018年のデータが相応しかったため。昨シーズンはクラブ数が20だったり大幅な中断期間や降格なし等イレギュラーが多すぎるため通算28ゴールのオルンガはあえて除外。
「気温だけじゃなくて湿度も考慮に入れるべきだろ」とか「日本人外国人関係なく調べるべきじゃね?」とかそういう感想を抱く人もいそうな調査内容であることは認めるが、結論としては「夏場に極端にゴールが減った外国人ストライカーなど存在しなかった」という結論に至った。
そもそもユンカーのリーグデビュー戦となった5月9日の仙台戦は(レッズの)今季最高気温の27.6℃で、つい10日ほど前の天皇杯富山戦は26.2℃でユンカーはどちらもゴールを挙げている。なので正直なところ暑さへの不安視をするくらいなら他にもっと懸念事項はあるのではないかというのが個人的な感想になる。このまま使い詰めでもコンディションは落ちないか、休ませるならどのタイミングか、休ませた時にユンカーが来る前までのサッカーを表現できるか(既にユンカーに依存しすぎてはいないか)といった懸念になる。しかしそれらの懸念を吹き飛ばしてくれそうなさらなる大型補強も既に発表されている。いちサポーターとしては今の浦和レッズには大きな期待しかない。
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