2021年5月26日水曜日

2021 J1リーグ 第15節 ヴィッセル神戸戦

■スタメン
レッズは前節からの入れ替えは柴戸が敦樹に、小泉が汰木に変更。神戸は前節から前川が飯倉に、井上がイニエスタに、中坂がリンコンに変更。

■おおまかな流れ
今季リーグ戦全試合スタメンだった小泉がベンチスタートということでレッズは立ち上がりに後方からつなぐビルドアップができずロングボールを前線へ放り込むシーンが目立つ。ターゲットは主にユンカーだが相手のライン間に蹴ってもライン裏へ蹴っても容易に収められずボール保持は安定しない。そのため立ち上がりから神戸がボールを握る展開。

神戸のビルドアップは(神戸から見て)右サイドの狭いスペースに相手を密集させてから早めに左へ展開し相手がスライドする前に縦に早くボールを出してエリア内へ進入。その際キーになるのは山口。3:09と10:43には右から左へのサイドチェンジを酒井へ展開。5分に古橋から始まった連続ワンタッチにも山口は絡み最後にイニエスタから酒井の裏抜けは実に鮮やか。シュートは岩波が止めたが。
山口はビルドアップだけでなく守備においても要所要所でレッズの攻撃を寸断。8:55に阿部への前を向かせないプレス。11:26に武藤の股抜きを読んでしっかり股を閉じてタックル。

12分あたりからレッズにもつなぐビルドアップが見られるようになる。キーは汰木。9:10に田中へのサイドチェンジ、12:10に岩波から長い縦パスを受けて前を向いて明本へ出す。汰木はカウンターの局面でも誰より反応が早く走り出してボールを受けていた。
だが肝心なところで一部の選手に小さいミスが多発しなかなかシュートまで辿り着けない。崩し切ったとは言えないまでも攻撃を何度かシュートで終えた神戸とは対照的。

前半をスコアレスで終えるとレッズは後半頭から阿部と武藤を下げ小泉と柴戸を投入。すると後半開始2分でレッズに先制点が生まれる。あまりに早い先制点のため双方ハーフタイムにどんな修正をしどんな変化をつけようとしていたのかがわからなかったが、先制ゴールの一連の流れに小泉と柴戸が絡んだことは確か。
失点した側は前への圧を強め先制した側は少し受けに回ることによって失点した側にボールを持たれ押し込まれるような展開になることはJリーグでよく見る光景だが、先制後のレッズは容易くボールを手放すことなくボールを握り続ける展開になる。この点に関しては確かに交代選手、とりわけ柴戸投入の効果がはっきり出ていた。

その後神戸は佐々木ら複数の選手にアクシデントが発生し55分に一気に3枚替えを敢行。イニエスタの強行突破によって一度危険な場面を作られるものの鈴木と槙野の奮闘でゴールを死守。84分にはレッズが追加点を決める。その後88分にも一度相手に危険なシュートを許してしまうが岩波がブロック。なんとかクリーンシートで試合を締めた。

■ポジティブ
仙台戦にしろ徳島戦、大分戦にしろ、たとえ前半に良くない内容で試合を折り返したとしても後半に結果を出す試合がこうも続くと、リカルド監督のハーフタイムにおける修正力が秀でていることは最早疑いようがない。さらにピッチの中で選手自身の判断で修正し徐々に押し返すサッカーが出来ている。監督自身はそんな選手が揃っていることを「幸運」と言ってはいるものの筆者は監督の指導の賜物だと思っている。強くなるとはただ結果を出すことではなく現実的にはこういう成長のことを指すのではないかと思っている。

■気になった選手
鈴木
スタメンとして出た仙台戦からのことだが危険なボールを通そうとして自陣で奪われるシーンが1試合で2度以上見られる。スキル的な問題は無いと思われるが判断力のところでまだ未熟さが残る。
武藤
ボールを持った時にヘッドアップできないことが今の武藤の一番の課題。ずっと足元のボールを見ながらでないとキープができない。
汰木
ビルドアップではいい位置で受けてサイドへ前線へと上手く供給するし、危険な位置で受けて相手のプレスを受けても簡単には奪われないし、見事なクロスで1アシストを記録しているし攻撃面ではマンオブザマッチ級の活躍と言っていいほど。一方守備時の対応がどうしても気になる。1on1で圧倒してくれとは言わないので2対2や3対3の局面ではもう少し味方とやり方を詰めてほしい。
山中
AT含め30分程度の出場にとどまったが試合終盤に見せたタックルが悉く成功し実に珍しいことに守備での活躍が目立った。
槙野
体を投げ出すシュートブロック等守備でいつもながらの貢献は見せていたがこの日はむしろ攻撃面で目立っていた。こぼれ球に対しダイレクトで鋭く縦に入れて前線の選手に供給する場面が3度以上見られた。総合的に見てマンオブザマッチ


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